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第3章:仕事と人間

「どうすれば働く人が成果を上げられるのか?」

書店を巡ると、「こうすれば成果をあげられる」「部下にはこんな指示をすれば良い」なんて本が目を引きます。でも、はっきり言ってそれは嘘です。唯一絶対の答えはまだありません。あるのは可能性だけです。

マネジメントの第二の役割は、生産的な仕事を通じて、働く人たちに成果をあげさせることである。しかし、このことについて、われわれの知るところはきわめて少ない。

我々にはまだ会社組織が誕生して十分な歴史がありません。だから、自分たちで試行錯誤していかないといけないんです。そして、答えがないからこそドラッカーはマネジメントを書きました。マネジメントを読んでも「こうすれば成果をあげれる」という答えを知ることはできません。でも、マネジメントを読めば「こうすれば成果をあげやすくなる」というヒントを得ることはできる。

私はまだまだ下っ端サラリーマンですが、誰よりもドラッカーのマネジメントを読んで理解しようと行動しています。な私ですが、「どうすれば働く人が成果を上げられるのか?」について考えていこうと思います。


▼前提 絶対唯一の答えはない

前提として、世の中には「絶対正しい、絶対成功する、絶対成果をあげる」なんてものは存在しません。資本主義社会において、常に同じものが存在し続けることはありえないからです。古いものはなくなり、新しいものが次々に誕生するのが世の常です。

人の働き方も同じです。

イギリス産業革命によって人は家から組織に属するようになり、肉体労働者と呼ばれました。その後、言葉が普及することによって肉体労働者が知識労働者に変わりました。知識労働者は言葉を使って提案したり、マニュアルを読み込んだり、より複雑な仕事をこなすようになります。

今、世の中の中心は知識労働者から「別の何か」に変わろうとしています。

言葉を受けて働く知識労働者の仕事は、ロボットが代わりに行うようになりつつあります。つまり、今まで「受け身の知識労働者の仕事」は衰退し続けることは間違い無いと私は考えています。ではどうすべきなのか。

必要なのは能動的な行動です

ロボットは打ち込まれた言葉によって行動しますが、勝手に動き出すことはないですよね。ドラえもんのように意思を持って動くロボットはまだありません。当然、ロボットと戦う必要はないですが、能動的に行動してロボットを活かす側ではいるべきだと思うのです。自ら変わらなければ、替えられるだけです。



▼仕事と労働は異なる

「仕事」と「労働」は異なります。

・仕事:客観的に存在しているもの、論理的に考えることができるもの。
・労働:主観的で一人一人異なるもの、人の感情を伴うもの。

仕事とは、スマホや本やテレビや車と同じように客観的に存在しています。だから、仕事は論理的に分析することができますし、人に与えることができます。

でも、労働は違います。「あの人とは仕事がしたくない」「ずっと同じ仕事だと飽きてくる」「寝不足だからやる気が起きない」などなど、労働は人が関わるからこそ、人の感情が大きく関係してきます。だから、人が「労働」するときには、それぞれの人に適した形に調整する必要があります


企業の目的と個人の目的も異なります。企業はある目的を持っていても、個人は一人一人異なる目的を持っています。

例えば、私は「様々なことを経験すること」を目的に企業で仕事をしていますが、企業はもちろんそんなことを目的としていませんよね。企業は私を意識した目的なんて持っているはずがありません。このように企業の目的と個人の目的は異なるのが当たり前です。

どちらか一方だけの目的を果たそうとすれば、必ずもう片方の目的が犠牲になってしまいます。だから、企業側も個人側もそれぞれの目的を達成できるように2つの目的の交差点を見つけ、調整する必要があります。そして、それこそがマネジメントの役割です。

もしもあなたの上司が「会社の目的」のために働けと強く主張するなら、彼の主張は明確に間違っています。だって会社の目的と個人の目的を調整するのが上司の仕事なんですから。(こんなこと、なかなか口にはできませんが、知っておいて損はないと思います。うん。)



▼仕事の生産性を上げれば…

仕事の生産性を高めることで人は生き生きと働くことができます。

パソコンのスペックが悪いせいで10分で終わる仕事が1時間かかったら誰でも嫌ですよね笑。それと同じイメージです。仕事の生産性はそのまま人の働き方に影響するんです。では、

仕事の生産性を高めるためにどうすれば良いのでしょうか?

ドラッカーが言う「仕事を生産的にするために必要なこと」は、仕事の全体像を理解し、仕事をより効率的に行えるように編集する。そして仕事を管理していくこととなります。うーん分かりにくいですよね。すみません。

でも、何より、仕事が「成果」に紐づいているか確認することがポイントです。

なぜ印鑑を押す必要があるのか?
なぜ毎月の数字報告が必要なのか?

一つ一つの仕事を分析して、それが成果に繋がるかどうか確認する。つながらなければそれを廃棄する。そんな作業の繰り返しによって自然と仕事の生産性は向上します。このnoteでも同じだと思います。いくら装飾を綺麗にしたり、イラストを入れたりしても、読んでくださる方が「言葉や想い」を求めていれば、それは成果につながらないでしょう。本当に時間をかけるべきは言葉であり、イラストではないのだから。そんな成果に紐づかない活動は意識して廃棄していかないといけないんです。

「成果」を意識して仕事をすることで、仕事の生産性は向上します。(自分で書いてて私も反省するところは多いです。。)



▼人と労働のマネジメント

人の行動は2つに分類されます。「人は怠惰だと考えるX理論」と「人は勤勉だと考えるY理論」の2つです。

「あなたはX理論とY理論のどっちに当てはまりますか?」

なんて聞かれたら困っちゃいますよね。

冷静に自分の行動を考えれば、全ての人がXとYのどちらにも当てはまると言う回答になると思います。私も毎月の数字管理では怠惰なX理論になりますが、得意先に提案するときなどは勤勉なY理論になったりします。

このように人は状況や環境に応じてX理論とY理論を行き来するんです。この、X理論とY理論のどちらが良いと言うことはありません。仕事によっては強制しなくてはならない場面もあると思います。でも、

極力Y理論に基づくマネジメントを行うべきです。

強い組織とは人が生き生きと働ける組織だからです。
人が責任を持って主体的に考えて仕事をする組織は強いです。それは過去に成功したIBMやツァイス社の例が物語っています。「人は“環境”によってX理論にもY理論」にもなるからこそ、人が生き生きと働ける“環境”を構築すべきなんです。



▼責任と保証を与えるべし

人が生き生きと働ける環境を構築するために、必要なのは、「責任」です。

責任を与えた個人は本気で仕事に取り組みます。

実際、アルバイトと社員の仕事に対する意識は違いますが、それは責任の有無が大きく影響しています。だから、優れた企業は個人に責任を与えてより真剣に働くように促します。でも個人は決して責任が欲しいわけではありません。

企業は責任を与えたい、個人が責任を負いたくない。

この対立する構造を打開するために、
企業は責任と一緒に「働きがい」も与えます。

働きがいがあれば、少しばかしの責任は取ろうと思いますよね。
想像してみてください。クラスの文化祭のリーダーやチームのために努力するキャプテンなど、どうして彼らは責任を背負っても役割を果たそうとするのか?彼らは責任以上にやりがいを感じているのです。それと同じです。「働きがい」があれば仕事の責任を受け入れようとします。

ただし、一方的な「働きがい」の押し付けはNGです。

当たり前ですが、「働きがい」は主観的な感情です。だから、個人の気持ちと擦り合わせながら、ちょうど良いバランスを見つけていかないといけないんです。いくら企業が働きがいのある仕事だと思っても、個人にとっては働きがいを感じないかもしれません。

そして、忘れてはいけないのは「仕事と収入の保証」です。安定した仕事と収入があるからこそ、人は組織に属します。安定した仕事と収入の保証は企業が個人を確保し続けるために必要不可欠なんですね。



▼人は最大の資産である

企業が成功するために必要なのは何よりも「人」です。一人一人が責任を持って主体的に働く組織は強いです。また、突き詰めれば、全ての物やサービスは「人」に帰結します。

トヨタもマツダもベンツもブランドや機能性能は異なりますが、本質的に異なるのは「人の違い」です。どんな優れたサービスも違いは「人」なんです。だから、人に生き生きと働いてもらうことこそ企業が成功するためには欠かせません。

でも、現実問題、人はコストとして捉えられることが多いでしょう。あの人は仕事が遅い、あの人はいつも会社の文句を言っている・・・。人が大切なことはわかっているけど、生かすことが最も難しいのが人なんです。どうすれば人を生かせるのか?

まずは「行動しよう」とドラッカーは言います。

一人一人が責任を持って強みを発揮できる組織を作るために、仕事と職場に対して成果と責任を組み込む、共に働く人を生かすべきものとして捉える、人の強みが成果に結びつくように配置する。

当然、これらのことをしたところで人を100%生かすことはできません。でも行動すれば少なくとも組織は強くなります。行動して問題が起こるなら、起こってから考えればよい。何も行動しなくてもどうせ問題なんて起こるんだから。

悩み続けるぐらいなら、理想を目指して行動すべし



▼まとめます

今回複数のパートを一気に書いたため、全体の流れが分かりづらかったかと思います。最後に全体をまとめさせていただきます。

働く人たちに成果を上げさせるためにはどうすれば良いか?」

ドラッカーが言いたいことは極めてシンプルです。それは、人をもっと大事にしろということです。

人が強みを発揮できるようにする。
人が目的を達成できるようにする。
人に責任と役割を与える。
人の労働に口を出さない。
人に与える仕事の生産性をあげる。
人が勤勉に働く環境を構築する。
人を活かそうと行動する。

こうすれば絶対うまくいくなんて単純な回答はありませんが、それでも人が企業の中心に存在することは恐らく間違いありません。

人を大事にするために試行錯誤する。

そうすれば限りなく理想に近づくことができるんです。


◆補足 行動しよう

ドラッカーのマネジメントを読んでいると、度々「行動しよう」と言うメッセージがあることに気づきます。事業の目標というパートの時も最後が「実行に移そう」でした。マネジメントを読んでも、結局のところ行動してみないとわからないことが世の中には多いと思います。

私もnoteを毎日更新してからいろんなことを学びました。

自分の想いを込めた文章は人が読んでくれる、独りよがりで読んでくれる人のことを考えない文章は読まれない、見た目を綺麗に整えてもコンテンツの質が重要、量をこなすことで初めて質が分かってくる、Twitterもちゃんと更新しないと人は見ない、興味を持ってもらうように工夫しないといけない。行動すればするほど自分の強みと弱みが明らかになる。

行動すればするほど、行動には価値があると知りました。

ドラッカーも「行動することの価値」を知っていたからこそ、度々行動しなさいと言うのだろうと思います。


ここまで読んでいただきありがとうございました!

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