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葛西には仲の湯がある話

私が住んでいるのは葛西というきな臭い町だ。
大体最寄り駅の説明は

「最寄りどこ?」
「葛西駅です。」
「葛西?」

となり

「あ、葛西臨海公園があるところです。」

で終わるか。そうでなければ

「浦安の手前で、ディズニーの近くです。」
「あ、千葉!?」
「ギリ東京です。」
「あ、ごめん。」

で終わりだ。都内で育ったスポーツマンには葛西工業高校で伝わる。

とにかく子供が多い江戸川区の南部。
一説によると江戸川区と千葉県は南にいけばいくほど治安が悪くなるらしい。
私の家はほぼ最南部だが、友人は全員健在で、指も全部ある。バイクで5mふっとんだとか、大学行ってないとか、いてもそれくらい。なんといってもやさしいズさんが我が小学校の出身なんだから、優しいに決まってる。あとKREVAさんと須賀健太。

自慢は公園と小学校が多いことと、千葉界隈のアウトレットが近いことだ。
ほらみろ、二つ目の自慢は千葉の自慢だ。
住みやすさに全フリしたので仕方ない。


そんな我らが葛西にも銭湯はある。

一つは大御所「スーパー銭湯 湯処葛西」だ。
2001年にイトーヨーカドーの隣にできた都内最大級の露天風呂を持つスーパー銭湯。
大人平日600円。
昔はよくお父さんと来て、風呂上りにコーヒー牛乳とポテトフライを食べさせてもらってた。最近は自分へのご褒美でここに行く。遅くまでやってるからライブが終わって帰ってきても行けるんだなこれが。
中はいわゆるスーパー銭湯で特にこれといった目玉はないが、広くてきれいなんだから言うことはない。
併設されてるヨーカドーやホームズで遊ぶのもありだし、ちょっと歩いてうまい焼き鳥屋に行くのもあり。公園で遊んでから来てもいい距離。ね、住みやすい。


そしてもう一つ、葛西にある銭湯といえば

今回紹介したい

「仲の湯」


駅から徒歩7分くらいの、大通りから一本入ったところにある、煙突の見える小さな千鳥破風の宮造りがこの仲の湯だ。
4-5年前に改装してから清潔感のある見た目を保っている。
入口に入ると左右に下駄箱が広がる特殊な構え。自動ドアが開くとすぐに板張りの床に木製のフロントが現れる。ここが狭くて笑える。普通風呂から上がったらフロントの横ないし前にあるソファーでどっかりくつろぐのだが、そのスペースは一切ない。休むなら脱衣所で休めというスタイル。そのくせこの狭いところに自動販売機があるんだから、パンイチで来るのは賭けだ。
愛想のいいお父さんとやらされてる感満載の女の子がフロント番。いいじゃん。
脱衣所は普通サイズ。座るところは多め。
浴室も至ってシンプル。洗い場が三列あり、奥に浴槽。
バイブラのでかい浴槽と深い浴槽。
絵はドーンときれいな富士山。
ソープ類あり。
温度は銭湯レベル。

これが仲の湯だ。
余計な飾りの一切ない、いわゆる銭湯。

私が行ったのは計三回。
おもしろいのが毎回感想が違うとこだ。
初回はバイト帰りの18時ごろに行って、ほとんど貸し切り。まだお湯がぬるめだったので「子供向けの温度かぁ」なんて思いながら、入りやすいし素朴な感じで素敵だなぁと感じた。
二回目は地元の友人と訪問。20時ごろだったか。お湯が結構熱く設定されていてすぐにあがった。あれ、ゆっくりできるのがよかったのにな。熱すぎて脱衣所でしばらくだべってしまったもの。わりと混んでいたし、なんとなく初回よりよくないなあって印象。
そしてつい先日三回目。先輩と訪問。閉店前の40分。今回はちょうど初回と二回目の中間くらいの温度で、一般的な銭湯の温度になっていた。何よりだ。そして気づけば今回も貸し切り状態。こうなるとやっぱり最高だった。

仲の湯のいいところは平日特に人が少ないところだ。
経営的には痛手なのかもしれないが、利用者的には大変うれしい。
また、下手にお湯の種類が多くないことが広さと熱さを集中して楽しめる演出になっている。

シンプル。
私の中では、原点の銭湯、と呼んでいる。
青シャツに、チノパンみたいなもんだ。


もし葛西に仲の湯目当てで来ることがあれば、おすすめなのは終わってから環七まで出て、インドカレーを食べるルートだ。西葛西まで行ってカルカッタで食べるのもいい。葛西で済ませたいのであれば、お金があるなら肉バルへ行くのもありだし、さくっとしたいならちばき屋かケバブ屋で食うのもいい。古い見た目だが駅前の桜すしも見逃せない。日本酒が好きならばろばた旭がうちの親の定番だ。



なんでもそろう葛西。
すべてがちょうどいいレベル。真ん中だ。
「仲」もまんなかって意味あるらしいよ。

いや、人と人とのつながりって意味の方がかっこいいな。子供も多いし、そっちの「仲」でとらえるべきだ。あぶない。変なまとめするとこだった。
つながりの葛西。
これにしよう。あぶねー。


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