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産学連携プロジェクトの難しさ

自分は大学院の博士課程まで進学して研究について学び、現在は株式会社を設立して事業を行っているので自ずと産学連携プロジェクトに関わることが多くなります。今回はそこで起こりやすい問題についてまとめてみようと思います。

産学連携とは?

産学連携(さんがくれんけい)とは、新技術の研究開発や、新事業の創出を図ることを目的として、大学などの教育機関・研究機関と民間企業が連携することを言います。

政府・地方公共団体などの「官」を加えて、「産学官連携」「産官学連携」というプロジェクトになることも多くあります。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/産学連携

まず結論

「可能な限り長期的なビジョンの共有」

これが最も重要なことかと思います。理想論で言えば事業であっても、学問であってもやはり最終的には世界をより良い方向に導くための活動を行うべきかと個人的には思います。

しかし、民間企業と学術機関ではやはり求められる成果には違いがあります。よって、最初に目先の目的でなく将来的にどれだけ世界・社会にとって有用なことを協力して目指すかということを話し合った方が良いかと思います。

それを行うことで、お互い協力して行う範囲と、それぞれの目的で行う範囲が明確になり無駄にストレスを感じることが減ると思います。今で言えばSDGsはお互いの共通認識として確認しやすいと思うので、これから協力して解決を目指す社会問題を確認しておくと良いかと思います。

NIH症候群に注意

「自社で発明した技術が一番優れていると強く信じ込み、他社の技術を軽視する」という多くの研究者や企業が陥りがちな独善主義を"not invented here"の頭文字をとって「NIH症候群」と称することがあります。

人間は少なからず自分が考えて生み出したものは美化しがちな傾向にあると思います。特に研究者や企業の新規事業開発に関わる人は自分のアイデアがクリエイティブだと感じると主観的に高評価をつけすぎることもあるかと思います。

ここで産学連携に関しては、新たな組み合わせによって学問的な新規性と企業としての新規事業性がそれぞれ生み出される可能性はあるのですがそれぞれの方向性によって微妙に形を変えていく可能性があります。そこでお互いを理解して納得できるかは先ほど話した長期的なビジョンを共有して、そこからブレていない必要があると思います。

それぞれの短期的目的

そうとは言え、上の内容は理想論で実際にはやはり連携によって短期的な目的も達成する必要があると思います。まず前提として、それぞれの組織の大きな目的を簡単にすると以下のような形かと思います。

産(民間企業)
→利益をあげること(特に株式会社)
学(教育・研究機関)
→学問としての新規性を明らかにすること。

企業においては学術機関と連携することで新たな知見を得て、自社の新たな事業を創造することが目的になります。それが早くて、価値も高く、世の中にも広がる可能性があるものであれば企業としては大変価値のあるものになるでしょう。
学術機関においては、企業と連携したプロジェクトによって新たな学問の可能性を広げて学会発表をしたり論文を投稿したりすることになるかと思います。またその企業や、他の行政などと関係を広げて新たな研究費の獲得を行っていくなども可能性はあります。

このように短期的な目標が違うので、いったんプロジェクトが進み出した時に何かお互いの会話が噛み合わなくなってうまく進まなくなることもあるように思います。そこはお互いの組織の特徴を理解しあって、かつ長期的なビジョンを見つめ直して進めていくとより強固な関係性が築けるのではないでしょうか。

まとめ

まとめると産学連携プロジェクトにおいては、「長期的なビジョンの共有」をもとに「短期的な目的」をお互いに理解しあって協力して行っていく必要があるかと思います。

難しさはあるものの、うまく行うとお互いにとって新たな世界に進める可能性は大いにあるので参考にしていただけたらと思います。

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