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昨日のヒーロー、今日の敗因

 ヤクルトスワローズの中継ぎ、清水昇(#17)。昨年、最優秀中継ぎ投手のタイトルをとったヤクルト自慢のリリーフの1人だ。そして、7月7日に本拠地神宮球場で初勝利をあげ、お立ち台にあがった。清水にとっては嬉しい1日だったに違いない。しかし、翌日の7月8日、清水は前日とは打って変わって敗因となってしまった。ヤクルトが1点リードで迎えた8回、清水はマウンドに上がった。雨足も強まり、足元を気にするような仕草もあった。結論を言うと、清水は梅野にタイムリー、大山に3ランを浴び4失点を喫し、降板。裏で山田哲人が2ランを打つも、ヤクルトは追いつくことができず敗北(阪神6-5ヤクルト)。
 一夜にして、清水は「英雄」から「戦犯」へとなった。
 この清水をみて思い出されるのが、元イングランド代表でマンチェスターユナイテッドなどで活躍したデイヴィッド・ベッカムである。彼は1998年フランスW杯のベスト16アルゼンチン戦において、アルゼンチンのDFであるディエゴ・シメオネを蹴り一発退場。チームもPK戦の末、敗北したことから、W杯敗退の戦犯とみなされた。しかし、そんなベッカムは3年後、英雄となったのである。2001年に行なわれた2002年日韓W杯欧州予選最終節、引き分け以上でW杯出場が決まるなかで、イングランドは既に敗退の決まっているギリシャに1-2と負けていた。90分終了時点においてもスコアは変わらず。しかし、後半AT2分、イングランドはFKのチャンスを得た。キッカーは、「戦犯」ベッカム。彼の蹴ったボールは芸術的な軌道を描きゴールへ吸い込まれていった。ベッカムのゴールでイングランドは追いつき、見事日韓W杯出場を決めたのであった。
 この日、ベッカムは「戦犯」から「英雄」へとなったのだ。

 間違いや失敗をおかさない人などいない。もしそれをしてしまったならば、ベッカムのように次にそれ以上のものを見せつけてやればいいのだ。確実に清水はベッカムになれる。確証はないが、そんな予感がする。もしかしたら、その機会はすぐにやってくるかもしれないし、かなりの時間がかかるかもしれない。しかし、どんなに時間がかかろうと再び清水がヒーローになることを心待ちにしている。

※日韓W杯本選出場を決めたベッカムの芸術的なFK

追記

現時点で清水は50Hを記録し日本記録を更新。そしてヤクルトスワローズを6年ぶりのリーグ優勝へと導いた。彼はベッカムと同等、あるいはベッカムを越えたかもしれない。そう彼はヒーローになったのだ。

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