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「なんか好き」

まだ、夏です。
ども、コーシです。

「好きに理由なんていらない。」
その通りですよね、と思う。

対象がものであれ人であれ、「好き」という感情は論理性に欠けるものだと感じている。
論理的である必要もない。
「なんか好き」を追求し続けた人間だけがたどり着く境地があって、そこには誰も辿り着けない。
そんな理論では辿りつかない絶対なるパワーを持つ感情が「好き」という感情なのだと思う。


ここで終えてしまえば、格好がつく
「いいこと言うじゃなぁぁ〜〜い。」と人にも言ってもらえそうだし、自分も鼻が膨らむ。

もちろん今述べたことも絶対的な本心で、弱冠20歳で得た知見だ。
しかしもう少し考えてみたくなってしまうのが、私という人間だ。


私の場合、理由や理論があって何かを好きになることはまずない。
「なんか良いじゃなぁぁ〜〜い。」があって、それに没頭してしまうタイプの人間だ。
今だに、こんな文章を書くことの何が好きなのかなんて、よく分かっていない気がする。

最近、夜に少し田舎の高速道路をドライブしていた時、視界にうっすらと見える山の影が「なんか好き」であると気づいた。
いつもなら「へぇ、俺はこんなことが好きなのか」とも内省することすらないが、流石に気になってしまった。

何故!!??
絶対に、緑の方が良くないか!!??
秋とかだったら紅葉とかあるじゃんか!!
なぜ、真っ黒な影を好きと思ってしまうんだい。。

そう自分に問い詰めながら山陰を横目で眺めていると、流れる景色がとある風景とリンクした。
それは深夜の、人がいない空港の風景だ。

私はあの雰囲気というか、空間を外から眺め、「なんか好き」を間違いなく感じていた。
そしてその「なんか好き」は、山陰を眺めて心に発生する成分と一致している。


それは、どんな成分なのか。
この問いは、なぜその風景が好きなのか、という問いと一致する。

自然と、最先端の建築物。
目に入る景色は対極に位置するような、お互いが別の次元に存在するような二つの景色

共通点は、生物の姿が確認できないことだ。
ただ、それを好きな理由として位置付けるのはなんか違う気がした。
自分に対して誤解があるように感じる。

味や色味や構図や音色とかって、こういった感覚的な何かを具現化してくれているものなんだな。すごいな。
などと世界一抽象的な関心を夜空に馳せつつ、アクセルを踏む

とにかく、他にも好きな風景や好きな場所を洗い出してみよう。

本屋さんは、場所としても景色としてもなんか大好き。
美術館はも、場所としても景色としてもなんか好き。
図書室もなんか好き。

先に出した2つの風景に対して、これらの場所には人がいる。
生物がいる。

ただ本屋さんや美術館にいるときは、「人がいる」という感覚がない。


新東名高速道路は東名高速道路に合流し、景色に建物が入り込んできた。
マンションの灯りは人がそこにいることの証明だ。
”生活”は尊い。
ただ、触れすぎてしまうと少し疲れる。


なんとなく、答えが出た。
客観が薄い場所だから、好き
そういうことにしておこう。

山陰を眺めている時も、人のいない空港を眺めている時も、そこには自分を見つめる誰かもいないし、自分が見つめる誰かもいない。
心地の良い不気味さを感じながら、自分と雑談したりしている。

本屋さんや美術館には人がいるが、その場にいる多くの人間は、本と、作品と向き合っている。
そこから芽生える感情は自分にしかないもので、他人が多くを理解できるものでもない。
だからある意味、人の気配が無い。
客観が薄い。

大学に行ってあそこまで疲れるのは、大学生という生物の多くが客観の押し付け合いで命を繋いでいる類の生物だと思ってしまっているからなのかもしれない。
勉強が第一優先とされない空気に疲れているのだろう。


そうやって結論付けて、色々考えると、かなりスッキリしてしまって、かなりのスピードが出かけていた。

論理性に欠けるものは魅力的だが、一方で違和感やムズムズする嫌悪感になることもある。
かといって”嫌な理由”を考える時間は死んでも避けたい。
そこで”好きな理由”を考えてみると、その頭にこびりつく嫌悪感や違和感とわざわざ対峙することなく、なんとなく落とし込むことができる。

あと、好きな理由を考える時間はシンプルに楽しい。

なんとなくスッキリしたら、そこからはまた「なんか好き」のままで良い。



私がエッセイを書くのが好きな理由は、絶対的で無いものを創ることができるからだ。
ただの、どこかにいる一人のハタチが言っていることとして漂わせることができるから。
自分の言っていることに自信なんて持てないし持つ気もあまりないけど、論じてみる権利が全員にあることは信じたい。
そんな俺にとって最適なんだろうな。

自己啓発本やビジネス本を読めない理由もここにある。

総じて、なんか好きってことで。


 フクダコーシ しそとツナ缶。
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