幼い頃のフィクション三大トラウマ

いわゆる「怖い話」だとか、「ホラー」には普段好んでは近づかないようにしている。影響を受けてその先夜道を歩けなかったり暗闇が怖くなったりするなどの実害があるからだ。まあうっかりネットで都市伝説などを調べてどんどんドツボることもあるけど……(単純に不思議な話とかオカルト寄りだとむしろ好きだからそっち方面から寄って行ってしまう)。
子どもは怖い話が好きだとかいうけど、そんなの人による。私はなるべく避けるようにしていた。でも物語が好きだからうっかり踏んでしまったりする。
それで、幼稚園~小学校低学年くらいに、年単位で頭に染み着いて離れなかった、フィクションの中での「怖いもの」、三大トラウマがこちら。

絵本「ねないこだれだ」、怪談「耳なし芳一」、手塚治虫作品

この三つが、私のフィクション三大トラウマである。

「ねないこだれだ」

怖い絵本として有名。寝ていない子どもが、おばけに連れ去られてしまうという内容。ちぎり絵で作られたおばけは、シンプルなのに線に歪みがあって恐ろしい顔つきをしている。裏表紙には、連れ去られる子どもの下半身が白くおばけ化している絵が描かれていることも恐怖を煽った。
この絵本の啓蒙することは、寝ないことは罪であり、それへの罰が「自分としてのアイデンティティーを奪われる」なのである。ひどすぎる。「もし眠れなかったら?」と思うと幼稚園くらいの私は怖くてたまらなかった。

それと、この本を読んだのは病院の待合室で、自分の家にある絵本ではなかったので、読んだ私だけの個人的な恐怖になってしまったことと、読み返せずに記憶の中だけに留まってしまったことも怖さに拍車をかけていたのだろう。

「耳なし芳一」

こちらも有名。琵琶のうまい盲目の僧侶芳一が、悪霊に連れられて夜な夜な墓場へ行かされているのを止めようと、和尚が芳一の全身にお経を書いて悪霊から見えなくした。しかし、耳にだけ書き忘れたため、芳一は耳をちぎられてしまった、というストーリーだ。
芳一悪くないじゃん! 初期状態で盲目で、悪霊にも気付かない……って時点でもう怖いんだけど、お経を全身に書かれるのも不気味だし、他人の不注意で自分が酷い目に遭うって防ぎようがないし、耳ちぎられたら滅茶苦茶痛いだろう、グロテスク! 盲目の上に耳がなくなったら聴力も失うのか? 芳一死んでないしこの先どうやって生きていくんだろう……ということですごく怖かった。

これは、「ねないこだれだ」の恐怖がようやく薄れてきた小学二年生くらいの時に、担任の先生のお話として聞いてしまった。で、当時の私はクラスの誰とも喋らない人だったので怖さを共感で和らげることも出来ず、「寝ている時に耳が取られたらどうしよう……」と思って生きることになる。友達がいなくて本を読んだりアニメを見たりが好きな私に取っては視力聴力を失うのは「死ぬ」よりも怖いことだった。自分の部屋で眠れなくなり、親の部屋でしか眠れなくなってしまった。
書いたのが「ラフカディオ・ハーン」という外国人だという情報を知ったことが一番怖さを和らげたかな。(完全な創作&日本発祥ではないことが)

手塚治虫作品

具体的に挙げると、手塚作品中では比較的マイナーな「ザ・クレーター」と「ノーマン」とあと白黒版アニメ鉄腕アトム辺りか。
ザ・クレーターは短編漫画集なのだが、自分の開発したなんでも溶ける薬品を自ら被って自殺する男だの、人生での分岐点で二つの道を迷った青年が、パラレルワールドを行き来した挙句どちらも選べなくて、縦真っ二つになって両方の世界に横たわるオチの話だとか、理不尽にグロいし怖い。
パラレルワールドの方の話は、青年が道路を車で走っている時に真っ黒な標識を見つけてそれを辿っていくと分岐点に着く……という設定なので、子どもの頃、親の運転する車での移動中、人けのない道に来ると、親が黒い標識に魅入られて分岐点へ行ってしまうのではないか?という妄想にも襲われた。
ノーマンも王道作品の顔をしていながら殺されて塩になる描写が普通に怖い。仲間もそれで次々塩になってた。怖い。
白黒版鉄腕アトムは、トビオがいきなり交通事故死するところや天馬博士の髭のモジャモジャ感がなんか怖かった……。

手塚治虫各作品は、父が図書館で借りたりしたものを勝手に読んでいたので、「ねないこだれだ」の時に似て、記憶にだけ留まる個人的な恐怖になってしまった。
高校~大学くらいで「ザ・クレーター」を読み返してみて、そりゃ怖いわ!と改めて突っ込んだ。

その他

ついでに、三大には入らなかったけど、他に怖かった作品あれこれ。
・ドラマ世にも奇妙な物語「マイホーム」他
・みんなのうた「勇気一つを共にして」 絵が怖いし太陽に近づきすぎて羽根が溶かされ落ちるというのが怖い。これが流れると逃げていた。
・アニメ「笑ウせぇるすまん」のゴッホに憧れた男性が、「耳が聞こえないのかね?」という叱責に対して自分の耳を切り落とすオチの話、他


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