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7番房の奇跡

友人とお薦め映画について語り合って見てみようと思っていた映画

ふとした時に私の前に現れた。


澱んだ世の中にもみくちゃにされて
心を律するために
そんな夜にはホラーや心霊系などゾクっとするような人間の真理をあらわにするような映画を見る傾向にあった私。

感動系の映画は
心の浄化作用はあるけど、清い心を持って世の中を生き抜けるのか
清い心は目を曇らせるような気がして避けていた自分がいた。


ふと目の前に現れたこの映画は

私の心を一瞬で掻っ攫って行った。



ここからは一部ネタバレする可能性があるので
これから映画を見ようと思う方は、映画を見てからぜひ購読してほしいと思います。



知的障害を持つ父親でしたが、娘にとって最高の父親。
娘の気持ちをしっかりと汲み取ることのできる彼。
子育て支援をしている私にとって、これほど最高な父親はいないと思いながらストーリーが進む。
どこの国でも貧富の差は、子どもの心に寂しさや物足りなさを感じさせます。
子どもの暮らす環境はやっぱり平等な方がいいような気がするけど
大人の価値観は、経済力によって優劣を与える。

私は、比較的裕福な家庭環境だったと思うから(両親が医療者)
環境的には満たされていたけれど
心の貧しさを感じ育った気持ちが強い。

それでも、学ぶための資金援助は苦労せず過ごせたことに感謝して生きています。

映画は、因果関係が明白で、お金持ちの子どもが、知的障害の父親の欲するものをチラつかせ、崖から転落する最中に頭部外傷後に水辺へ落ちていきます。

医療者からすると、ここで救急医療を受けられたら死なないだろ!と突っ込みたくなりますが、そのまま殺害現場に立ち合わせたかのように冤罪が成立するのです。

死因の特定もできてないのに、犯人になるなんて

という理不尽な審判に隠せない憤りに涙が自然と溢れてくるのです。
その無意識の中に、障害があるからといって野蛮な行いをすると思い込まれてしまっている事態に怒りがあるから涙が溢れてきたのかなと感じていました。
そのまま、思い込みでボコボコにされる主人公。

それでも、怒りをどれだけ受けようとも、反撃もせず怯え縮み上がる主人公の人格に対して、また涙。どれだけ優しい子に育ったんだ!という影響の背景に育てたおばあちゃんの存在があるんです。

僕は頭が悪いんだと自らいう姿に、そんなことを言われても、お前はいい子だとおばあちゃんが育て上げたのです。どれだけ嫌なことをされても、自分を想ってくれる唯一の存在があることが、彼の強さを最大に育て上げたんだと思うと、また、涙・・・・。涙腺が破裂するかと思いました。

そんな大切な人は、彼が冤罪で自由を奪われている間に他界してしますのです。
それを知った瞬間の彼の悲しみに共感してしまい、また涙。
知的な障害がありつつも人間としての人格や事実を知る力はしっかりと機能しているということがはっきりとわかります。
無邪気で目の前のそのものを感じている姿。それこそが、彼らしさ。

同じ房に在籍している罪人が複数名いるのですが、
彼の振る舞いに、本当に罪を犯したのか?という疑問が次第に膨らみます。

彼に愛娘がいると知り、次第に彼の希望を叶えてあげたい気持ちが動かされ、囚人たちも次第に変化し始めるのです。
そのことそのものが奇跡だったのだと、私は感じてなりません。

悪いことだと脳は認識していても、生きるために手段を選ばず、法に触れてしまう人間は、数多くいるのです。
法に触れなくとも、人に優しく接することができない人も多くいるのです。

タイムリーなとことに
今日の仕事でも、ここまで頑張らなくても私にとってメリットになるものってなんだろう?と思いながら一人で残業をしていました。
でも、私に与えられたのは、相手が楽になったと喜んでくれたこと、この人が我が子にとって良いとするものを続けられる手助けをしたことです。
私の報酬が増えるわけでもなく、役割だからと労力を尽くしたことが、この子どもにとって良い効果となるのであれば、必要な仕事だったんだなと
そんな時間に共通するメッセージが届いたと思ったのです。

結局ストーリーの中では、娘を失った権力者が、罪なき人の命を奪い
悲しみを癒している姿が映し出され、歪んだ世界に間違っていると思う人間がただただ、耐えている世界が映し出されていました。
それでも、その父親の命を守り愛娘の元に帰し、逃亡させる結末でしたが
なぜ、誰も間違っているということを正そうとできなかったのか

そういう誰もがおかしいと思っている物事が覆されない状況は
今も昔も変わらない
なぜ?

私が思う意見は
やはり、そこには悪に戦うエネルギーがいる。
人間なんて浅はかで、悪どい自分を見て見ぬ振りをする
子どものような純粋さでもコントロールしようとする。
そんな人間の弱みがあること意識しない限りは意識や風潮は変わらない。
どうやったら優位な立場にいられるかを考える心の根底と自信が向き合わないと物事は変わらないのだと思う。

優位な状況と、自身の心に正直になれるか

美しいものを見て、美しいと思うのに
美しくはなれない己の弱さと向き合わなければ
真の美しさを味わうことはできないのだ。

この作品を見て、人としての美しさを改めて感じ
それを美しいものだと感じられる自分の感性を守っていこうと思った。

生きる時間には限りがある。

その時間を美しく生きたい。

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