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あめ なみ なみだ

今日は愛犬らっしーの日
思い出したこと書きます。

お昼の休憩時間に妹から電話がきた。
らっしー、もうだめかもしれない。
最期にひとめ会いたくて
なんとか休みをもらって島を出た。
会えたのは夜の10時過ぎだった。
目が合った。頭をなでて、声をかけた。
抱き上げることは出来なかった。
夜中の2時に逝ってしまった。
待っていてくれたのかな私のこと。

飛行機を乗り継ぎ乗り継ぎ 南の島の海辺の工房へ
帰ってきた。もう梅雨が始まっていた。
待っていたのは期日の迫った新作作りだった。
見習いの自分に、そんなチャンスが来るなんて
ありがたい限りなのに
悲しみに打ちひしがれてご飯もろくに食べられない
そんな状態で良いものができるか不安の方が大きかった。気力、体力がもつのだろうか。

毎日雨が降る。頭の上には雨の音。
先輩が作業を手伝ってくれたり、ご飯を作ってくれたりと支えられる日々。
その日の作業を終えると そのままの格好で海に入った。
もう会えない命に涙する。
波にゆられて涙する。
空と海の色に涙する。
まわりの人の優しさに涙する。
雨と波と涙がみんな一緒になる。

泣きはらしてずぶ濡れのまま工房へ帰り、
ホースで頭から水をかける。
部屋へ帰ると来ていた服を洗濯機に放り込み
シャワーを浴びる。
「私ずっと水分にふれている。海の生き物になっていきそう。」
新作は期日ギリギリに出来上がった。
憂いがあって良いと褒められた。

途端に私のブレーカーが落ちた。
これ以上無理をさせないシステムになっているらしく、うつの波にのまれていく。
梅雨があけて、工房を去ることになるのだった。


読んでくれて、心からありがとうございます。