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蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・訂正

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2020年3月の記事一覧

39. 蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 24

星星峡 2012年1月号 N.168 P22-27
魔法使いの弟子(承前)

 チャンは、四十分を見事に弾きこなし、二次審査を終え
た。
 チャンは、四十分を見事に弾きこなし、二次予選
を終えた。

 二次審査からはアンコールも許される。 
 二次予選からはアンコールも許される。

 あの子なら--風間塵なら、宇宙も当たり前に感じられ
るような気がする。
*前後に空白行

 亜夜が聞き返すと、マサ

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40. 蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 25

星星峡 2012年2月号 N.169 P2-7
黒鍵のエチュード

 一次審査の時よりはずっと落ち着いていると思う。もち
ろん緊張しているけれど、これはよい緊張だ。
 一次予選の時よりはずっと落ち着いていると思う。もち
ろん緊張しているけれど、これはよい緊張だ。

 一次審査の時の緊張は凄まじかった。
 一次予選の時の緊張は凄まじかった。

 二次審査の四十分。
 二次予選の四十分。

 一次審査

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41. 蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 26

星星峡 2012年3月号 N.170 P72-76
黒鍵のエチュード(承前)

 一次審査の、気の遠くなるような(自分の出番までも、
そのあとも)長い待ち時間に比べれば、ずっと気分的には
楽である。
 一次予選の、気の遠くなるような(自分の出番ま
でも、そのあとも)長い待ち時間に比べれば、ずっ
と気分的には楽である。

 おばあちゃーん。
*前後に空白行

歩いている。明石は波打ち際を歩いている。

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42. 蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 27

星星峡 2012年5月号 N.172 P10-15
ロノド・カプリチオーソ

 二次審査に残ったと知って、彼がまず感じたのは安堵だ
った。
 二次予選に残ったと知って、彼がまず感じたのは安堵だ
った。

 二次審査の一日目は、演奏のレベルも高くて、一次審査
の時よりもずっと心地よく音を呼吸することができた。
 二次予選の一日目は、演奏のレベルも高くて、一
次予選の時よりもずっと心地よく音を呼吸する

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43. 蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 28

星星峡 2012年6月号 N.173 P14-19
音の絵

「だがねえ、お兄さん」
「だがねえ、おにいさん」

 だんだん分かってきた。ホフマンの言う「劇薬」の意味
が。
 我々はたいへんなジレンマを背負わされるってことさ。
*前後い空白行。

本 224-231

いやぁ、たったこんだけ。
そんな日もありますね。

https://youtu.be/ZIJFQ2SSQ3M

44. 蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 29

星星峡 2012年7月号 N.174 P50-54
ワルキューレの騎行

 マサルは二次審査二日目のトップバッターだ。
 マサルは二次予選二日目のトップバッターだ。

 全員が同じ曲を弾く、というのは二次審査のこの機会し
かない。
 全員が同じ曲を弾く、というのは二次予選のこの
機会しかない。

 二次審査の重要なポイントではあるが、決して要ではな
い、とマサルは判断していた。
 二次予選の重要な

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45. 蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 30

星星峡 2012年8月号 N.175 P30-38
ワルキューレの騎行(承前)

 二次審査二日目。
 二次予選二日目。

 本人はうぬぼれるでもなく、緊張するでもなく自然にそ
のことを受け止めていた。
 本人は自惚れるでもなく、緊張するでもなく自然
にそのことを受け止めていた。

 むろん、今の自分が完成形だとは思わない。まだまだ荒
削りで、訓練したり深めたりしなければならないことがい
くらでも

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46.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 31

星星峡 2012年10月号 No,177 P18-23
恋の手ほどき

本246―252

 マサルは内心、ため息をついた。きっと、チャンはアー
ちゃんの演奏は聴いてないんだろうな。
 マサルは内心、溜息をついた。きっと、チャンは
アーちゃんの演奏は聴いてないんだろうな。

「うん、これから三次審査のレッスンがあるから」
「うん、これから三次予選のレッスンがあるから」

 当然三次審査に進むと思っ

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47.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 32

星星峡 2012年11月号 No,178 P74-81
月の光

本P252-261

 二次審査二日目もレベルは高かったが、「春と修羅」の
演奏に限って言えば、やはり最初のマサルの演奏を上回る
ものはなかったように思えた。
 二次予選二日目もレベルは高かったが、「春と修
羅」の演奏に限って言えば、やはり最初のマサルの
演奏を上回るものはなかったように思えた。

 椅子を調整し、蓋を開けてすぐにウ

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48.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 33

星星峡 2012年12月号 No,179 P22-26
虹の向こうに

本P261-266

 二次審査三日目、最終日。
 二次予選三日目、最終日。

  明石の絵はもうじゅうぶん溜まっていた。二次審査を通
過すれば更に撮ることになるだろうが、彼が一次審査を通
ったことで、ある程度見ごたえのある番組を作れるだけの
絵を確保できた。
 明石の絵はもうじゅうぶん溜まっていた。二次予
選を通過すれば更に

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48.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 34

星星峡 2013年2月号 No.181 P10-17
春の祭典

本P267-276

 二次審査三日目、最終日。
 二次予選三日目、最終日。

  しかし、奏では噂や会場の空気から、彼が正統派の演奏家
や審査員からはいわば「色もの」扱いされていることを敏
感に感じ取っていた。
  しかし、奏では噂や会場の空気から、彼が正統派の
演奏家や審査員からはいわば「色モノ」扱いされて
いることを敏感に感じ

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49.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 35

星星峡 2013年3月号 No,182 P10-14
春の祭典(承前)

本P276-281

 実際、今回の一次審査で、同じ年に行われた大きなコン
クールの本戦に残ったようなコンテスタントが何人か落ち
てしまっていて、話題になっていた。
 実際、今回の一次予選で、同じ年に行われた大き
なコンクールの本戦に残ったようなコンテスタント
が何人か落ちてしまっていて、話題になっていた。

 今日は二次審

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50.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 36

星星峡 2013年4月号 No.183 P10-13
春の祭典(承前)

本P281-285

 客席全体がふうっと浮き上がったような錯覚。
*前に空白行

 客席が凍りついた。
*前後に空白行

 「修羅」なのだ。
*前後に空白行

最高に少ないかも、風間塵の演奏の時は少ない傾向があるような。

51.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 37

星星峡 2013年5月号 No,184 P10-13
春の祭典(承前)

本P285-289

 二次審査からは曲ごとに演奏者が挨拶し、拍手をしても
よいことになっている。
 二次予選からは曲ごとに演奏者が挨拶し、拍手を
してもよいことになっている。

 むしろ、譜面を消し去ろうとしているかのような―
*前後に空白行

 むきだしの、生まれたままの姿の音楽を舞台の上に出現
せしめる― 
 剥き出し

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