スペインバスケットボールの育成哲学 〜全カテゴリ共通〜

 ある一定の年代だけ国際大会で活躍できるが、その後はパッとしない。
 そのようなことが少ない国の一つがスペインです。

 欧州選手権:2009年〜2017年の過去5大会のうち3回優勝
 オリンピック:2008 準優勝、2012 準優勝、2016 3位、2020 ベスト8

 と、国際大会において近年、無類の強さを発揮しており、屈指の激戦区である欧州でも一際目立つ存在となっています。

 今回は、そのようなスペインが一体どのようにして覇権を握り続けているのかについて、その独自の育成哲学の観点をご紹介することを通じてお伝えしていきます。


1.バスケットボールを理解させる

①「バスケットボールはスポーツであり、ゲームである」

 当たり前のことじゃないか…と思う方もいると思います。初心に帰り、バスケットボールというスポーツを考えてみる(別記事)で紹介したバスケットボールの本質をしっかり踏まえた上で指導、プレーしようという考えです。
 ただ、知らないうちにその目的がずれてきてしまうことが多々あります。元々はバスケットボールを楽しむためにやっているはずです。そして次の段階として、その試合に勝つために練習をしているのです。
 ただ、皆さんの中にも、技術を習得するような練習をしているとついつい「そのスキルを習得することが目的となってしまう」経験は無いでしょうか?

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