「これは軽めの拷問ですか」

もっぱら自転車を使用する事が多い日常である。以前も書き記したのだが、相棒は街乗りに最適なクロスバイクである。クロスバイクに乗る前はもっぱらママチャリ派であった。街乗りでありながらも心地よくスピードが出るクロスバイクは購入してからしばらく経つが今でもお気に入りである。

しかし購入当初はそうではなかった。僕のクロスバイクは過去に愛用していたママチャリとはひと味違ったのである。大きな違いというのはサドルにあった。

そう言えば久保田利伸氏が「流星のサドル」という曲を歌っていた記憶が蘇ってきた。

「流星のサドルのサドルって何やねん」

僕のクロスバイクのサドルはママチャリのサドルよりも細めのタイプである。それに加えてクッションが非常に少ない。デザインのイメージは湖池屋のポリンキーを想像していただけると良いのではないかと思う。

みなさんはポリンキーをご存知であろうか。

「わかる人にはわかる」　

この表現をされると僕の心の奥底はどんよりと薄暗闇の世界に侵食されていくのだ。

「わからん人にはわからん」

「そらそやろ」

と心の中で突っ込みたくなるのを抑えなければならないからだ。

サドルの話に戻していく。

初めてクロスバイクのサドルに跨った時の感想を率直に述べさせて頂くとすると

「これは軽めの拷問ですか」

今までに味わったことのないサドルの硬さに衝撃を受け、お尻にたっぷりとした痛みの洗礼を受けた。

「長時間乗る自信なんてものは一ミリもない」

短時間でも耐え難い痛さに目の前の景色が滲んだ。涙腺が決壊を実感した瞬間であった。

「スポーツバイクに乗る人たちはこんな痛みに耐えているのか」

そう思うだけで尊敬の念を抱いたのである。

しかし僕も購入当初から現在まで、痛みに我慢しながらサドルの変更はせずに乗り続けている。痛くなりにくいサドルというものが販売されていたので、そろそろ交換の検討も視野に入れているが、何とか痛みに順応している強靭で素敵な自分を讃えながらこのまま乗り続けようかと悩んでいる今日この頃である。

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