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アンケートから見る精神疾患でお悩みの方の体型と、回復のためのおすすめ過ごし方

メンタル系疾患でお悩みの方の体型アンケートを行いました(概要)

先日、メンタル系の病でお悩みの方に向けた投票アンケートをTwitter上にて行い、「ご自身の今の体型(BMI値 = 体格指数)について」伺いました。(ご参加くださった方、誠にありがとうございました!)

Twitterでの日々の発信の際、「同じ病名であっても、人それぞれ回復のためのおすすめの取り組み方って違うんだよな…」と常々悩ましく感じていました。

おすすめの取り組み方を分ける指標としては色々あると思いますが、「体型」というのがひとつアプローチしやすい部分ですので、この度現状の把握も兼ねてアンケートを実施させていただいた、というのが今回のアンケートの主旨となります。

◎アンケート
期間 : 2022年5月11日から3日間
回答人数 : 253名
選択項目 : 現在の自分のBMI値が「標準以上(恒常的な服薬あり)」、「標準以上(頓服程度もしくは服薬なし)」、「標準」、「標準以下(BMI20未満)」以上4項目。

結果はこのようになりました。

◎利用させていただいたBMI値計算サイトSPORTS OASIS


項目が4つまでしか設けられない為、それぞれに細かな状況を聞けず無念ではありましたが、それにしても痩せ気味の方が多いのが個人的には印象深く感じました。

同じく、意外と標準体重の方が多いことにも驚き、同時に少し安心をした次第です。

※また今回「標準以下(痩せ気味)」の設定を「BMI 20以下」としたのには理由があります。(通常「標準以下」というのは「BMI 18.5未満」を指します。)
実はBMIが20を切ってくるとそれだけで不定愁訴が増えやすいのです…

次項ではそういった傾向やそれぞれのタイプの特徴を踏まえて、体型別に回復のためのおすすめ過ごし方をお伝えしていきます。
ぜひご参考になさってみてください。


◾️BMI 20以下 痩せ型タイプの方

痩せ型で筋肉や脂肪が少ない状態というのは、体を家で表すと家の中にストーブ(筋肉)や断熱材(脂肪)が少ない状態です。言い方が良くないですが、木板だけで作った小屋のような感じ。
外からの影響をモロに受け、体調が環境で左右されやすいタイプの方です。

その話で思い出すのが、一時期体調悪化で体重が40キロを切ってしまった時のこと。お風呂の湯船に浸かるとすぐに湯あたりをするようになってしまったのです。湯船でのぼせるなんてそれまで一度も経験がなかったのに。「環境の影響がモロに入る」とはこういった感覚です。

なので、このタイプの方は「外に出ると人に酔う、乗り物が苦手、調子が天気にすぐ左右される、謎のタイミングで吐き気やふらつきが出る」など、お医者さんに「治療すべき病気」とは言われないけれど、本人にとっては非常に厄介な不調に見舞われやすくなります。
メンタル系疾患でお悩みの方は、こういった不調が更に大きな不調の引き金となったりするので、何とかしたいところです。

おすすめの対策

この解決方法はなにより「体重を増やすこと」だったりします。BMI値を最低でも21くらいには上げる。
これが多くの妙な不調を一度に減らす最も簡単な方法なのですが、人によってはかなり難しい部分でもあります。(食べられない、太れないなど。)

実は私もこのタイプで、お薬をやめている時は体重を増やすのに苦労しました。
「体を作るには食べる必要があるが、食べると胃にくる・そもそも食欲がない・量を取れない」。

こういった場合、どうしても先に少し運動をして体内に巡りを作っていく必要があります。

●舌の様子にもよりますが、苔が多めだったり、全体がぽってりしている、水を飲んだ直後の様に水気がある、このような場合は特に、動いて体内を巡らせ、滞りを減らさないとなかなか快方へのスイッチが入りにくいと思います。

●逆に舌がペラペラに薄い、小さい、苔がゼロなどの方は「早く寝る」を最優先して、できる範囲で栄養のあるものを良く食べ、ごく軽い動きから始めましょう。このタイプで特に舌の色が全体的に赤めの方は、しんどいのに無理に動きすぎて消耗する傾向もあります。ペースを落とすことも大事ですよ。

舌の簡単な見方は下のツイートをぜひご参考に↓


痩せ型の方でも概ね運動は必要ですが、体力がない場合も多く、運動量のさじ加減が難しいです。
少し動いては食べる。食べすぎて不調が出たらまた少し動いて巡らせる。活動限界が早いので、動けなくなるまでは頑張らない。
こうして本当に微妙な範囲をやりくりして、行きつ戻りつ、体を作っていきます。「動けない」時期が必ず来るのがデフォルトなので、休み休み。でも迷わずに。
そうやって少しずつ刺激に強い体にしていきます。

また食が細いため、お菓子やパンなどでエネルギーを賄っている人が意外とおられると思います。お菓子やジャンクフードは胃腸に熱をもたらして消化能力を奪い、滞りが生まれて余計に食べられなくなる・鬱々とする(東洋医学)、血糖値を乱高下させて気分や体調を不安定にしてしまう(西洋医学)など、あまり良いものではないのでなるべく控えめにしてほしいです。
しかし、それを無理に減らすとまたガクッと体重が減る可能性もありますので、お菓子の種類を変える(菓子パンから魚肉ソーセージやナッツへ)などがおすすめです。プロテインの活用も◎上手にカロリーを増やしていきたいです。
私の場合はご飯を一度に摂れなかったので、分食などをして食事量をなるべく増やしました。


◾️BMI標準以上 お太り気味タイプの方

向精神薬を使っていると、どうしても太りやすい傾向があります。お薬の種類にもよりますが、服薬すると食欲自体も増進しますし、吸収も良くなり「さほど食べてないのにスルスル太る」そういった状態になりやすいです。
また療養が長くなると、服薬なしの場合でも運動不足や加齢などが相まって体重が増えやすくなる可能性があります。

私自身も昔初めて使った抗うつ薬と抗不安薬を飲み始め、確か2〜3ヶ月ほどであっという間に8キロ太り、事情を知らない職場の方に「元気そう笑」「楽してんじゃないのぉ?笑」などと嫌味を言われだしたのが非常にストレスだったのを覚えています。鏡を見るのもつらくなったりして。全てを諦めたくなります。

「元気そうに見える」というだけで、実際は全然しんどい。それがこのタイプの難しいところだと思います。自他の感覚のズレに悩んだり、「太っている」ということだけでまたストレスを溜めてしまい、気分を乱高下させやすくなります。

このように療養中にお薬や運動不足などのせいで太ってしまわれた、もしくは元々太り気味でメンタル系疾患に罹患された方の多くは、筋肉ではなく脂肪太りタイプの方が多いと思われます。

前項でもお話をしましたが、体を家で表すと、脂肪は断熱材の役割をします。筋肉(ストーブ)がないまま断熱材だけ厚い家に住むと、部屋(体)が冷えたら冷えたまま、暑くなったら暑いまま。外から良い何かを加えてもなかなか内側に変化が出ない、非常に住み心地が悪く苦しい状態となります。

また断熱材の間に水分を溜めこみやすく、肌のかゆみやずっと続く原因の分からない湿疹、頭痛やめまい、アレルギー、気象病等が起こりやすくなる可能性も。

なので、なるべくならこの断熱材を適度な厚みにし、筋肉量を増やして力を生み出せる体にしたいです。

おすすめの対策

対策としてはまずこのタイプの方も運動量を増やしたいのですが、なんせ動くのがつらい、すぐバテやすい。下手すると関節などを痛める可能性もあります。
なので、日々の生活にほんの少し動きをつけるところから始めます。「頑張ろう」と思わないくらいの、ごく小量を重ねる。(歯磨き中、数回足をあげるとか)。軽視されがちですが、そういったほんの少しの動きが体と心を間違いなく変えていきます。

またできるならダンス動画などを見つつ楽しんで動くことを取り入れるのも気分が上がっておすすめです。
実は痩せている方よりも脂肪がある方のほうが筋肉が付きやすいので、希望を持って少しずつ取り組んでみてください。(ちなみに、自重のおかげで骨密度も痩せ気味の方より高めとなります。これは歳を取った時かなりのメリットです。)

もしも過食があるのなら、我慢しすぎるのも良くないので、内容を「脳を養うもの、体を作るもの」に変えるのもおすすめ(タンパク質や良質な脂質など。チーズやナッツなどですね。他にも色々)

「痩せなきゃ(体重を減らさなきゃ)」とか「食べちゃダメなのに…」ではなく、「筋肉つけるぞ」という別の意識を持っていただくと、良くなりやすいし過ごしやすいかなと思います。


あと、可能であれば「太りにくい向精神薬に変えてもらえるか相談をしてみる」。これも根本的な解決策としてかなり良いと思います。
昔のお薬は太りやすい傾向がありますが、近年出たものは随分と太りにくくなっている印象があります。主治医の方とよく相談をしてみられてください。
先生によっては「太っても治るならいいじゃない」と言われたり、痩せることには注意しても太ることには割と寛容な場合がありますので難しい部分ではありますが…諸々の選択肢を広く持ってみてくださいね。

もしも、上記とは逆の「固太り体質(筋肉多め)」でメンタル系疾患に罹患されている場合は「減らすこと」を意識されるといいと思います。
食事量が多過ぎてその負担で滞りが生じ不調の原因となっていたり、活動力はあるため「摂って治そう」として、不要なサプリなどを摂り体をいじめてしまったり。
体が弱っている感覚はあるので「どこか足りない」と思いがちですが、「実は多すぎる」ということが往々にしてあります。その可能性を視野に入れてみてくださいね。

●特に舌に苔が多い方、更に苔が白ではなく色がついている方は「かなり多すぎ」ですので、量や質、摂り方に気をつけてみてください。(苔の色が薄黄色〜茶色は体に籠った「熱」を表します。油物や味の濃いもの、アルコールやタバコなど取り過ぎないようお気をつけを。)
ちなみに苔が真っ白の方は、体に「冷え」があります。冷たいものの取り過ぎにご注意ください。
※どちらのタイプも体に余分な滞りがあるのは同じです。

筋肉がついたり、少し体重が減ると動きやすくなりますし、行動意欲も上がります。
「ほんのちょっと普段とは違う動きを生活に取り入れる」。「舌を確認して自分を知る」。
小さなことから始めてみてくださいね。


◾️BMI標準 普通体型の方

体重が通常の範囲を保てている。この事実だけであなたの体も脳も、あなた自身も、とても良くやっている、そう思います。(もちろん他のタイプの方がよくやっていないということではありませんよ!)

というのも、長年自身の体調や周りの方の調子を見ていて、「体重の安定ってメンタルの安定だなぁ」と実感しているからです。

「いやいや、安定なんてしてない、山ほど問題あるから」と仰る方もみえると思いますが、あなたの体は意外ときちんと動いてくれています。
普段の不調に囚われて「自分ってほんと体調悪い」と思いがちなのですが、それ以外は実はしっかりと動いてくれてるんですよね。
普段見ているものが実際よりも大きく見える、これは人間の当然の心理です。
不調自体、機能がしっかり働いているからこそ出るものだったりもしますので、「自分は良くならない」と自分に自信を無くし過ぎないようにされてください。
あなたの体はよく働いてくれていますよ。

また、不調があるとはいえ、いっときより少し不調をハンドリングできるようになっておられるのではないでしょうか?
なんとなく自分なりの対処法ややり過ごす方法を会得されてきているのでは、と思います。

これって誰が褒めてくれるものでもないのですが、実はすごいことです。つらいなかご自身の体験から学んで、どうすれば良いのか考え、用意し、対応されているわけですから。

「同じ場所からずっと進めてない」と落ち込み気味の方もおられるかもしれませんが、いえいえ。あなたは、これから先歩いていくための力を、知恵を、静かに蓄えてきました。
これは目に見えないけれど、あなたの足腰を支える重要な経験値になっています。あなたは自分が思ってるより、もうレベルが高いですよ。
色んな方を見てきて、それに気づいていらっしゃらない方が多いなぁと、いつも口惜しく感じています。なので改めてお伝えしました。

今回は「体型」という視点で対策を見てきましたので、標準体重の方の「おすすめ対策」の項目は省略させていただきます。
ただ、標準とはいえ、人により「痩せ傾向」「太り気味傾向」など偏りがあるかと思います。
ご自身がどちらに寄っているか把握し「痩せ気味、太り気味」の項を参考に、日々の活動を行ってみてください。
その際、ご自身の舌も是非チェックしてみてくださいね。(詳細は各項にて。舌の記述には冒頭に「●」印をつけています。)。
また一歩、楽になりますように。



★全体型共通・体調改善ワンポイント

現在の研究では、人の体は「動いて、食べて、休んで、健康を保っている」ということが分かっています。そしてそれらのどの要素が欠けても、悲しいかな人は健康的には生きられないようです。

しかし療養中はどうしてもそのバランスをうまく保てないですよね。中でも特に運動は減ってしまいがちです。
だってそもそもがしんどいんですもんね…外に出るのも怖いですし…難しいですよ。私も「運動しろ」とか言われるの、正直嫌だったなぁと思い出すんですよ。。

ただ、動きが減って体から伝わる脳への刺激が長期に渡って減少すると、どんどん体が弱くなってしまう。これも事実です。
それは学術的にも言われていますが、なにより身をもって体験したことです。少し頑張って動いた翌日は倒れこんで熱がでるようになったりね。
定期的に動くことは大事だなぁと実感しています。

そこで、一気に話は変わりますが、「内耳」ってご存知ですか?
近年は気象病関連でよく取り上げられます。平衡感覚などを司り、最近では気圧の変化も敏感にキャッチすることが分かっているそう。自律神経などと密接に関わっています。

内耳の働きを逆に利用する

運動不足の方は、この内耳の働きを逆手にとり、体に良い運動刺激を与えることができます。
実は「立ち上がる」という動きだけで、この内耳を刺激でき、「体が動いた→不動ではない」と思わせることができるのです。

おすすめは「30分に一度は立ち上がること」。


前述したとおり、脳にとって「不動/刺激が入らないこと」は不調を引き起こす大きな原因となります。

脳は普段、体の各部位から常に感覚刺激を受け取り、自身や状況を把握しています。その刺激が弱まると、無意識に自分で体に力を入れて自身を確かめようとしたり、単純に使われない部分は働きが悪くなったり。
感覚の過敏や鈍麻が同時に起こり、安定しない弱い体になってしまいます。

療養が長引いているかたが、不動の状態が増え、刺激量が減って少しずつ弱り、病が良くならないだけでなく別の不調まで出始めてしまうのはこういった仕組みの影響が多分にあると思います。
なので、定期的に立ち上がり、脳と体に「動いてるよ〜」と知らせてあげるのです。
(これは今現在不調や持病が無い方にもおすすめです。デスクワークが多い方には特におすすめ。)

私が使っているスマートバンドでは、動きが少ないまま1時間が過ぎると「立って動きましょう」という通知が来ます。
スマートフォンなどでもゲーム形式で取り組める『Standland』やシンプルな『集中タイマー』など、使えそうなものが色々ありますので、合うものをぜひ探してみてください。(タイマーアプリの方が30分ごとなど細かい時間設定ができて良いかもしれませんね。)

もちろん、定期的な運動は必要です。
でも「そんなのできない…」って時が必ずある。
なので、そんな時は裏技的に「定期的に立ち上がる」、これだけでもぜひやってみてください。
(ただ、体を引きずってまでやらなくていいですよ。急性期など、刺激を入れず安静が必要な状態の時もありますので。)


大変大変長くなりましたが、読んでくださった方、本当にありがとうございます。
「体重」という視点からのみでお話を進めましたので、足りない部分や「?」と思う部分が多々あったかと思いますが、ヒントになりそうなものがあればぜひ参考になさってください。

またアンケートに答えてくださった方、重ねてお礼申し上げます。

こういった事に参加しようと思ってくださったり、実際行動してくださる方は非常に前向きでいらっしゃる。開かれているなと思います。
そういった方は、良い情報や言葉をキャッチされたり、だれかと関わりを持つことで、きっと快方に向かわれると思います。
今回参加されなかった方も、似たような機会がありましたらぜひ沢山、積極的に関わってみてくださいね。

今日が穏やかな日になりますように。


じぞう

ご覧くださり有難うございました。いただいたサポートは、これからもよりよい配信を続けられるよう経験と勉強を積むため大切に使用し、またいずれ違う形でお返しできるよう努めたいと思っています。