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トライ&エラーでいいじゃない〜中高生のための「脚本の書き方」講座

2023年2月12日(日)と3月12日(日)に、東山青少年活動センターにて、中学・高校生のための演劇ワークショップ「脚本の書き方」講座を開催しました。

この講座は、「もっと知りたい演劇の創り方!」と題して開催したワークショップの一環で、京都の演劇に興味がある中学・高校生向けに、学校を超えて自主的に演劇を知ることができる場を創りたいと、私が企画しました。

「脚本の書き方」「演技」「演出」の3部門で実施

このようなワークショップを開催したいと思った意図はまた別記事でちゃんとまとめようと思いますが、中・高校生向けの演劇講習会は「演技について」に特化したものが多く、私自身も何度となく講師を務めてきましたが、演劇を上演するためにはもちろんそこに「作品」があり、「見せ方」が存在します。私も高校生の頃から演劇に没頭していましたが、「作品」の創り方、「見せ方」はぶっちゃけわかったふりをしていましたし、後輩の手前、今さら聞けない…と思っていたことも素直な気持ちです。聞けたところで誰に相談するのが一番いいのかも見つけられずにいました。

そんな知りたい聞けないときに、学校の外に、自分の意志でヒントをキャッチしに行ける場ができないか。半ばあの頃の私にレスポンスをするような思いで、中高生のイマしか書けない、イマしか表現できないものを世に出すお手伝いがしたいと思いました。

「脚本の書き方」講座第1回のようす@東山青少年活動センター

私にとっては初めてのこころみ、「脚本の書き方」講座。
講師は、夕暮れ社 弱男ユニット村上慎太郎さんにお願いしました。
村上さんは京都出身で高校生の頃から演劇を始められ、現在も関西を中心にコンスタントに自劇団やワークショップ公演などでオリジナル戯曲(脚本)作品を発表し続けておられます。
今回の開催にあたっては私の思いなどもたくさんお話をさせていただいて、村上さん自身が脚本を書き始めた高校生の頃に感じておられたことや、今に繋がる劇作に関する思いなどもたくさん聞かせていただきました。
私にとって、自分では知り得なかった、同じ演劇でも別分野のお話がたくさんできること、またそれが話していくうちに私自身の演劇活動の原点にも直結していくようでとても充実した時間でした。打ち合わせって素晴らしい。

少し話がそれました。
今回の脚本講座には定員5名のところ、4名の高校生が集まってくれました。
演劇部での執筆経験がある参加者も、脚本を書くこと自体まったく初めてという参加者もいました。
初回は、学校や学年も当然バラバラなので、丁寧な自己紹介から始まりました。言葉を書いてみるにあたってのレクチャーの後、実際短い会話を書いてみて、それを他の参加者と回し読みをし、実際声に出して読んでみます。

「声に出して読んでみる」というところまでがセット。これが本当にいいなあと思いました。演劇は言葉を身体で立ち上げていくもの。人の身体を通すことで印象も伝わり方も変わる。

2回目は1ヶ月後なので、次回までに家で書いてみようということで宿題が出されました。その際に村上さんが言われたのは、「書きたいモノ」より「書きたいコト」を書いてみよう、ということです。作品のジャンルや印象に注目するより、自分の中にある伝えたいコトに注目してみよう、ということだと私は解釈しました。

力作が揃いました

第2回は、それぞれが書いた脚本を読んで、自分の作品を自分以外の人に声に出して読んでもらってそれを聞く、というところから始まりました。
それぞれに超力作揃いでした。側から聞いてたら上演したくなっちゃう。

村上さんからそれぞれに作品にかけた意図についての質問がされます。それに答えていくうちに、参加者の中にある感覚的なものが、具体的な「もっとこうしてみたい」に変化していくようでした。

そしてやはり印象的だったのは、「誰でもトライ&エラーだね」(私の解釈)ということです。

村上さんのプロットをみんなで覗き見

村上さんの初稿を見せてもらいました。無数の書き込み、修正につぐ修正。一筆目から完全なものになるはずはなく、限界まで「書きたいコト」に近づいていくためのトライ&エラーの繰り返し。書くことで気付く。書いてから検証する。深く、深く。

身体表現とはまた違う、言葉で表現する作業。物理的には机と紙に向かっている参加者は、この時自分の中にあるものに向き合っているんだなと改めて感じました。そしてそれが他人の身体を通して「作品」となる。
個人的に「俳優にできること」を新たな視点で考えることもできました。

中高生のための「脚本の書き方」ワークショップは2023年夏にも開催に向けて準備をしています。演劇部には入っていなくても、演劇に興味がある中高生にたくさん出会っていけることを願っています。

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