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【保存版】風水で攻撃?香港の不思議な建物の形とその理由。セントラルの街並みとともにご紹介。

こんにちは、パンダバスです。前回の記事では「風水ってどんなもの?」ということをお伝えさせていただきました。今回は風水を重んじている香港では実際にどのように使われているのか、またそれにまつわるアレコレをお伝えします。もし龍が本当にいたら、彼らは快適だろうな~というほど龍にやさしい街の設計になっています。

中環(セントラル)の風水と風水ビルについて

香港、そして中環(セントラル)の地形をみていきましょう。九龍の九つの山脈から流れ出した強いエネルギーである「龍脈」と呼ばれる気の流れが、九龍半島を南下して、ビクトリア湾の「水」を得て勢いを増し、一気に南にあるビクトリアピークへ駆け上った登った後に、下りてくる、よい気が集まる場所。 

これが、中環における気のイメージです。お金(経済)と権力(政治)の重要な拠点とするには理想的な土地といえます。香港では 「幸せになるためには、龍が駆け抜ける場所に住め」 と言われているのです。

中環の気

セントラルの風水ビルはその類まれなありがたい「龍脈」のパワーをできるだけ享受するために、 「龍(=ドラゴン)」たちが巻き付いて登りやすいように、ビルの真ん中にわざわざ空洞を作って、龍通り抜けしやすいようにと、デザインされたものが多いです。初めて見る方はなぜそこに穴?まさか作るの忘れちゃったわけじゃないよね?と思うはずです。(私も作り忘れにしては大きいなぁ…と思った1人です)

リッポー

また、ビルの上の部分を下の部分よりも敢えて太く大きく天に向かって末広がりに作っているビルも多いのですが、これはできるだけたくさん宇宙からの「気」を受け取れるように、と、それぞれ意味を持っています。

ピークタワー

香港では、ビルを新築するときに、設計やデザインをする建築士のほかに、かならず、風水師も呼ばれます。意見が合わないときには、なんと!建築士ではなく、風水師の意見のほうが重要視されます。それゆえ、風水の理想を追求するために、手間やお金や構造的なリスクを惜しまない作りの建物が香港には数多く建てられていて、それがこのビクトリア湾両岸の独特なスカイラインを彩っているのです。

スカイライン

ICCとIFC

下の写真が香港島で一番高いIFC=インターナショナル ファイナンス センターの第二期オフィスビル(420m)です。香港で一番高いICC=インターナショナル コマースセンター(484m) (九龍半島)とともに、香港への門=ゲートを形作っているように見えます。

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↑IFCです

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↑ICCです

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実際の役割としても、IFCは香港国際空港までたったの20分少々でつなぐ鉄道=エアポートエクスプレスのターミナル駅でもあるMTR香港駅に直結

ICCはエアポートエクスプレスの駅=九龍駅とつながるのみならず、2018年にオープンした香港西九龍駅と直結し、中国各地への高速鉄道のターミナル駅にもなっているんです。 2011年にはICCの102階から最上階の118階までを利用しリッツカールトンがオープンし、香港で一番高いホテルとして話題になりました。 最上階には、ルーフトップバーもあります。香港で1番高いBARとなりますので、大人気となっています。 

オゾン

ICCはよく見てみると、トップとボトムの部分が中央部分よりも細くなっていて 、近くでみるとわかりますが、四隅が鱗(うろこ)を模したデザインになっているんです。 そう! ビルそのものが天空に登る、龍=ドラゴンをイメージしているのです。また、そのICC周辺エリアは西九龍文化地区と言って、香港の文化の中心となる劇場やイベント会場や公園も建設中の広大な開発地区にもなっています。

西九龍文化地区

IFCもICCも、それぞれ、オフィスビルやショッピングモールなど大きな複合商業施設の中心的なビルとなっています。

エクスチェンジ スクエア

そしてIFCの近くのこちらのすこし茶色がかったビル群がエクスチェンジ スクエアです。香港証券取引所をはじめ、世界の有数の証券会社が多く入るオフィスビルで、日本の領事館なども入っています。

入口の噴水には、お金が回るといわれ縁起のいい数字の8をイメージしたオブジェや、お金を掌握する牛のオブジェなど、風水的象徴を並べています。

エクスチェンジスクエア

ジャーディンハウス

その左手の丸い窓がたくさんあるのがジャーディンハウスというオフィスビル。 このビルが、1970年代ではアジアで一番高いビルでした。 立地はもとよりオフィスビルとして非常に造りが良いそうでテナントが長く利用することで有名です。 なお、風水で、丸い窓は龍の通り道とされています。

ジャーディンハウス

香港中央郵便局

その手前の白い低い建物が香港中央郵便局です。中環でも一等地に建てられているのは、風水で 「幸運を招き入れる場所」とされているからでしょう。普通の郵便局としてワークしているほかに、HONG KONG POSTのオリジナル商品や記念切手など、お土産ものを探すにも楽しいのでおすすめです。

中央郵便局

マンダリンオリエンタルホテル

左へ行くと、マンダリンオリエンタルホテル。 客室はもちろんロビーやスパなど、いたるところに風水的な要素を取り入れ「気」の流れに配慮したことで有名なホテルです。 このマンダリンのビルで25階建てですから、その周りのビルがどれだけ高いかわかるかと思います。

マンダリン

ビルをつなぐ歩道橋

マンダリンオリエンタルはその奥のショッピングモールとオフィスが入ったプリンスビルと歩道橋でつながっています。 中環のこのエリアでは、たくさんの中心的な建物が隣同志だけではなく、大通りをまたいで歩道橋つながっています。

そのためGoogle Mapのストリートビューなどで確認しておけば、地下鉄の中環駅や香港駅からずっとビル伝いに移動できますから、雨の日でもまったく濡れずにショッピングや食事を楽しむことができるのも、この中環の魅力です。その分方向音痴さんにはちょっと難しい作りになっています(笑)

歩道橋

スタンダードチャータード銀行ビル

その奥の少し細長くみえる茶色いビルがスタンダードチャータード銀行ビルです。はす向かいにあるスタチュースクエアに風水的に長期的な金運が認められたたことで、そのパワーを受け取るために、広場に面した部分をわざわざ斜めにカットし、正面から対峙させたことで有名です。

スタンダード

HSBC~香港上海銀行本店ビル

その左手の中央にガラスをたくさんつかったビルが、HSBC=香港上海銀行の本店ビルです。このHSBC本店ビルは1985年に完成しましたが世界初の「吊り構造」を利用した超高層ビルとして話題になりました。 

柱ではなく、ケーブルが引っ張り合う力で支える構造になっています。 このビルも、ビクトリアピークからの「気」の流れを遮らないように地上階に壁や窓のない吹き抜けを採用したり、床面に凹凸を作って勢いのある龍の背を表現したり、エスカレーターを龍の口に見立てて八の字に設置したり、入口に大きな獅子の像を2体配置したりと、いたるところに風水の要素を取り入れています。

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中国銀行タワー

その少し左にある尖ったユニークな形のビルが中国銀行タワーです。 スタンダードチャーター銀行と、HSBC=香港上海バンクと、中国銀行の3つの銀行が、香港の紙幣=香港ドルを発券している3大銀行です。

ところで、この、中国銀行タワー、何の形にみえますでしょうか? 鋭利な刀や包丁のように見えませんか? 右にあるライバルのHSBCの本社ビルに切りかかっているようにも見えます…。建物で喧嘩を仕掛けるとはなかなかですね。

中銀タワー

中国銀行

中環(セントラル)風水戦争

建物が作られた1990年当時は、刃の部分が向けられた周辺のビルの運気を下げている、などと、話題になっていましたが、運気を下げられた被害者筆頭のHSBC本社ビルもそれに対抗して、中国銀行タワーに向けて、屋上に大砲の形のオブジェを造りました。 

風水的には、刃物(金)に対して大砲(火)は、火が金属を溶かすことから相剋(そうこく)の図となります。風水の基本を使って悪い「気」を打ち消した形です。 HSBCは大砲を作った翌年から業績を回復したということですが、この2つのビルは中環(セントラル)風水戦争の立役者になっています。 

もう、こんなにバチバチと…という感じですがこれが香港の街並みを楽しくしてくれる要素でもありますね。

風水戦争

長江センター

中国銀行から少し右に戻って四角い超高層ビルが、アジアの鉄人=李嘉誠(リーカーシン)の長江実業ビル=長江センターです。 長江実業は、不動産、証券、保険、通信、電力、バイオテクノロジーなど、いろいろな分野で活躍している、香港最大の有名なコングロマリットのホールディング会社です。

香港で100ドル使うと10ドルはリーさんの財布に入る、と言われているくらいの圧倒的なシェアをもっています。 このビルは、中国銀行タワーとHSBC本社ビルの間に割って入る形で1999年に建てられ、セントラル風水戦争は沈静化したこととなっていますが、このビルも、隣の中国銀行タワーから切り掛かる刀に対して鉄格子のような窓枠をもって対抗しているといわれています

長江センター

まとめ

風水的な見地から、中環(セントラル)地区の地理や、代表的なビルをピックアップしてみてきましたが、このほかにも、九龍のICCの横にある凱旋門、そして、金鐘(アドミラルティ)ではリッポービル、中国人民解放軍ビル、香港政府新庁舎、湾仔ではコンベンションセンターなど、このエリアには風水を実践したビルがたくさん建てられています。

似たようなビジネスの建物が集まっているとはいえ、会社をあげて攻撃的なモチーフのビルも多くて文化の違いを感じることが出来たのではないでしょうか?

秘められた風水の考え方などを紐解いてみると、香港の人々が運気、そして、方角や、色や、数字などをはじめとしたものごとに、ていねいに風水的な意味を結び付けた上で、生活していく。とても前向きで建設的な発想や思考を常に行いながら生活をしている様子を見ることが出来ました。 風水は精神衛生的にもよさそうですね!

今回は風水をメインに紹介しました。中環の街歩き観光ではぜひ上を見上げてみてください。いつもと違った景色が見られるはずです🐼 

中環ビル群

長い記事になりましたが最後までご覧いただきありがとうございました!

それではまたお会いしましょう~。

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