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ショートストーリー? 転生したら女子高生の人面瘡だった件 第18話

ね、昨日の優香の反応なんだったのかな

通学路の僕達の会話。彼女はやはり違和感を持っている様だ。あの鬼女の反応は普段からすれば信じられない反応だったみたいだ。
そんな彼女に知らぬ知らぬを通す僕。押し問答ばかりしているとあっという間の学校だ。
手慣れたようにクラスへと向かい、静かに扉を開ける。
もはや慣れてしまった静まる教室。

しかし、この日に限ってはいつもと違う。恐怖と興味が入り混じった目が彼女を囲う。

なあ、金井の上靴溶かしたってほんと?

堂々と聞く異様な質問。明らかに女子高生に対する質問では無い。しかし、それはもはやどちらでも良いのだろう。彼女を責める事が出来るのならきっかけは何でも良いと言う意思をクラス全体から感じる。おそらく今まではずっと溜まっていたのだろう。永見との噂はあれども矢面に立って責める勇気もない今時の高校生達。
しかし、そんな彼、彼女等には化け物への攻撃と言う大義名分が出来た訳だ。

黙る彼女。

馬鹿を相手する言葉が見つからないのであろう。その彼女らしさが僕は好きだが、今に限っては悪手となった。


化け物じゃん

どこからともなく聞こえる声。誰もそれを否定しない。
やがてその声はクラスに響く。皆、他人の言葉の影に隠れて自分の言葉を乗せてゆく。

化け物化け物化け物化け物化け物化け物化け物化け物化化け化け物物化化物物化け物化け物化け物化け化け物物化け物化け物化け化け物物化け物化け物化化け物化け物物物物化け物化け物化け物化け物物化け物化け物

無責任な言葉は大蛇の様に部屋中をうねり歩く。やがてその言葉は戸愚呂を巻き、徐々に彼女を締め上げる。

ずっと黙り続ける彼女。
彼女は決して化け物なんかじゃない。
僕こそが化け物なんだと叫びたい。しかし、それこそが彼女が化け物であると証明する事になる。

こいつ等、全員殺してやりたい

黒い黒い僕の感情。今の僕なら出来るかもしれない。僕は口をがばりと開ける。
すると、

お前等、何やってる

ピシャリと喧騒を断つ扉の音。あれ程おどろおどろしかった空気は凪の様に静かに消えた。
皆の視線は一斉に教卓の方へと向かう。

おい、どういう事だこれは

永見の有無を言わさぬ鋭い言葉。しかし、その言葉に数十の生徒達がいながら誰も答えようとはしない。生徒達は誰に責任を擦り付けるかだけを考えている様だ。
しかし、永見は見逃さない。

恥ずかしくないのか?

その言葉は問いかけではあるが、恥ずかしいとはっきり突きつけている言葉であった。
絶対に彼女を守ってみせる。その意思がはっきりと全員へと伝わってる。彼女にも伝わっている。

僕の役目だと思っていた。それを一番取られたくない男に取られた。
静まりかえる教室の中、教師らしい言葉が生徒達の心に沁みていく。
僕は彼女の顔は見えないが、はっきりと感情が伝わってきてしまう。
惨めな僕。

目を閉じ出来物へ戻ろうとする僕。すると、

にやり

ほんの一瞬の出来事だった。しかし、僕は見逃さなかった。机下から見上げる僕だからこそわかった。
明らかに異質な笑み。どす黒い下衆な顔。
この一連の騒動の中、確かに口角を上げる人間が数人いた。

   なあなぜお前が笑っているんだ?

         永見先生

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