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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

女王の教室 レビュー(毒親・ACの観点から)


TVerにて、女王の教室の一挙配信をしています!
普段ドラマを見ない私でも没頭して寝不足になって友人におすすめするぐらい面白い作品なので、是非ご覧ください!



きっかけ


なぜ今回この作品を観ようと思ったかというと、過去に観たことがありその印象が強烈に残っていて、今回(愛用)TVerのサムネイルを目にしたからです。すぐに観始めました。このドラマの放送時、私はまだ学生だったのですが、"女王の教室"という端的で迫力のあるタイトル画面内に映る暗くて怖いシリアスな雰囲気を覚えていました。

「うわ!女王の教室だ!!!」と、見つけた瞬間すぐに再生し、そこから没頭してしまい次の更新まで本当に待ち遠しかったです。大人になってから理解できることが増えると、また一段と面白さが増しますね。
普段ドラマを観ない私がこういう感情になったのは初めてです。


ネタバレ無しレビュー


まあ〜〜〜天海祐希がかっこよくて眼福。鬼の教師の演技中だというのに何度も「このスタイルと顔になりたい・・・」と惚れ惚れしてました。そして演技も素晴らしい。エンディングの阿久津真矢から天海祐希に切り替わる瞬間、好きな人多いはず。 (笑)まんまとやられますよね。

 志田未来さんはじめ、子役の方々の演技もすごくて、声に出して関心してました。泣きの演技や怖い目つき、コミカルな演技等カメラの隅に映る方々も表情が真剣そのものでした。撮影終了後の取材インタビューを拝見しましたが、天海さんも子役の方々と一緒に出演する上で工夫をされていたとか・・きっと、スタッフの方々の目に見えない気遣いや配慮などをされていたからこその素晴らしい作品なのではないでしょうか。

 カメラワーク、音楽や光の調整などの演出がすごい・・・真矢が登場するシーンのちょいホラー感がたまりません。

 平成の懐かしグッズを拝めてエモい。エンジェルブルー、デイジーラバーズ、あと和美のベッドのところに飾ってある木の人形(小人さんとか動物のやつ)。




ネタバレ有りレビュー


ここからはネタバレも含みます!

このドラマは色々な視点で語ることが出来ますが、私は毒親問題やアダルトチルドレンについて興味があるため、その観点でいくつか印象に残ったことを挙げてみます。


一点目

まず、和美の家庭について。わかりやすい機能不全家族なのかなと思いました。
理由は、両親の連携が取れておらず子供の感情に寄り添えるような家庭ではないこと、子供が両親に気軽に相談できない環境であること、母子密着・父親の不在(物理的には存在しているが、子育て等全部丸投げ状態)で、母親が和美に対して過干渉になっていることです。

家族みんなが急いでいてただでさえピリピリしている朝。夫婦喧嘩が起こります。それを見て和美がわざと牛乳をこぼすシーンが印象的でした。子供のこういう行動に周囲の大人はどれだけ気づけるのでしょうか。和美のアダルトチルドレンさが垣間見えます。

また和美にはお姉ちゃんがいるのですが、和美の学校での悩み事や相談に乗ってくれる、たくましくて頼りになる存在として描かれています。
しかし、そのお姉ちゃんも実は学校に行くふりをして登校していませんでした。機能不全家族の特徴は、こうして家族全体にいきわたるものだと思います。

和美の母親は、"和美のためを思って"和美を私学に進学させようと躍起になります。SNSやインターネットが普及した今でこそ、"あなたのためを思って"というキーワードがどれほど毒されていてエゴの塊であるかが広まりましたが、資本主義の競争社会で生きていく人々や親がたくさん使ってきたであろう言葉なのではないかと思います。もしかしたらまだ耳にする機会もあるかもしれません。親は本当に子供の将来を考えている上での発言だとは思うのですが、過剰すぎたり子供の意見を伺わないと子供が自分を押し殺して従うことになりかねません。押し殺して意見を言わない習慣が身につくと、自分で決める力が育たなくなる可能性もあります。


二点目

和美の家庭だけでなく、クラスの子供達が何らかの問題を抱えていたりする。
過干渉気味に大事に育てられすぎてつけあがっちゃっている子、寂しさを抱えている子、心を閉ざした子・・・とてもリアルです。色々な親子関係が出てきます。
毒親問題やACなどは核家族化も原因の一つとされていますが、なかなか難しい問題ですよね・・。


三点目

これは本編終了後のスペシャルについての感想です。
part1、真矢と真矢の子供の翔(母子密着兼過干渉によるチック発症、夫婦喧嘩を見て自責する)がベッドで話すシーンが印象的でした。

「ママ?」
「なあに?」
「ぼくは産まれてこないほうが良かったの?」
「何言ってるの?そんなわけ無いでしょ?」
「だって、いつもぼくのせいでパパとママ喧嘩してるし。」
「全部、ママが悪いの。パパとママはね、翔のこと大好きなんだよ」
「ほんとに?」
「ほんとに。」
「ママ、ごめんね。ぼくなにも出来なくて。」
「謝らないの、もう。」
「ぼく、強くなるからね。大きくなったら、ママを幸せにしてあげるからね。」

女王の教室:女王の教室スペシャル エピソード1~堕天使~:日本テレビ,2006年06月21日発売.(テレビ番組・DVD).

思わず、うわーーーーって声が出ました(笑)
子供が子供として振る舞えない瞬間がもしかしたら翔にはたくさんあったのかもしれません。我慢の連続で。

でも、こんなセリフ、子供は中々言えないような気がします。もちろんこれはドラマなので視聴者にわかりやすいようにセリフとして表現されていますが、"自分なんて産まれてこないほうが良かったのかな"という子供の思いは実際は言葉にされて表に出てくるのは少ない気がします
不登校や自傷行為、問題行動など、子供は行動によって示す可能性のほうが多いのではないでしょうか・・(あくまで素人目線です!)


他にも沢山書きたいことがあるのですが、長くなりそうなのでここまでにしておきます!
というぐらい面白い作品で、20年ほど経った今でも通ずることが沢山あります。真矢の言葉にハッとなります。


TVerで配信しているこの機会に是非!

(何度も書きますが、あくまで個人の、素人の観点です!ここまで読んでいただき、ありがとうございました。)



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