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境界性パーソナリティ障害の妻・彼女・夫・彼氏・友人・家族を持つ全ての人へ

先日、LINEでこういうメッセージをいただきました。

「世の中には境界性パーソナリティ障害当事者の周りの人間側で、相談するあてもなく困っている人達が沢山いると思う。家族としてのカウンセリングは受け付けていないとのことだが、カウンセリングとまではいかなくても何か頼りどころを作っていただけるとありがたい」と。

まず大前提としてお伝えしたいのですが、私は別に境界性パーソナリティ障害当事者周囲の人のカウンセリングを全面的に拒否しているわけでは“ありません”。

私のカウンセリングサイトに「境界性パーソナリティ障害関連でお悩みの方へ」というページがあります。
 ↓

こちらのページの下半分には、「境界性パーソナリティ障害(かもしれない)当事者の周囲のかたへ」というコーナーを設けています。

そこの漫画には確かに「当事者さんのみ受付」と強調して書いています。
が、その下にこういう文章も併せて書いています。

当カウンセリングサイトの最初の
ご案内にも書きましたが、私は

「他人は絶対に変えられない。
変えられるのは自分だけ」


だと考えています。

ブログやnoteの記事などで再三
そのように発信してきましたが、
いつまで経っても

「当事者を心変わりさせたい」
「当事者を治させたい」
「当事者に病院へ行く気になって欲しい」
「当事者が病気に気づくよう仕向けたい」
など、ご本人さんを
操作(コントロール)しようとする
ご相談が後を絶ちませんでした。

なので、上記のルールを設けています。

ただ、当事者さんの周囲で
純粋に困っているかたが
いらっしゃる現状もわかっています。

まずは先述した記事をご確認の上、
それでもまだカウンセリングが受けたい
と思われましたら、その時は

「自分の悩み」としていらしてください。

「あの人を変えたい」
という趣旨のご相談は、
一切お受けいたしません。

この文章の意味がわからない人とは何万回話しても話が平行線になってしまう、そして同時にそれは自分の精神的負担になる、と考えているので、私は「当事者周囲の人の相談は、この文を理解した人のものだけを受ける」と決めています。

今回のお問合せをされた方は「〇〇〇〇といった特徴を持つ人(BPD妻)に巴さんのカウンセリングをうまく受けてもらう方法はあるのでしょうか?」と質問されたので、ぜんぜん文章の意味が伝わっていないな、と思って会話を終了させていただきました。

で、多分そもそもそういう部分が、この人の「奥さんを怒らせてしまう原因」なんだろうなと考えました。

妻にカウンセリングをうまく受けてもらう方法って、要するに「妻にカウンセリングを受けたいという気持ちにさせて、前向きに治したいと思わせる方法=彼女を自分の思い通りに動かす方法」ではないですか。

それが“ご本人さんを操作(コントロール)しようとする相談”なんですけど、やっぱりそれって悩んでいる当人は気づかないもんなんだなあ、あーあ、と思いました。

◆超能力者でなくても、人間の心は透けて見える

別に私が超能力者だとか、心理学を学んでいるから特別そういう能力があるというわけじゃなく、どんな人でも、相手の裏に隠れた心を透けて感じる能力は持っています。

もちろん、その感覚が鋭い/鈍いの違いはありますが……あなたも、思い当たることはないですか?
明らかに自分が得してやろうと思っている友人や店員から、甘い話を聞かされたことは?
「何か違和感を感じるな」と思っていた友人や取引先と、最終的に疎遠になったことは?

そういった時に人は、無意識に“裏に透けて隠れている心”を感じ取っているのです。

先ほど、「その感覚が鋭い/鈍いの違いはある」と言いましたね。
実を言うと私は、境界性パーソナリティ障害の(傾向がある)人はこの感覚が鋭いのではないかと考えています。

そしておそらく……今回問い合わせをしてきた人に限らず、境界性パーソナリティ障害の妻・彼女・夫・彼氏・友人・家族に悩んでいるすべての“周囲の人”に、以下の現象が起きているはずです。

病気の治療に関わらず、日常や人生のあらゆることに関して当事者さんに「こういう風に動いてほしい・こういう風に考えてほしい」という心があり、そしてそれが全部透けて見えているんでしょう。当事者本人さんに。

感覚の鋭い当事者の彼ら・彼女らは日々それを受け取り、なんとかその願いに応えようと努力していると思われます(あなたの目にはまったくそう映らないとしても)。
しかしいつもどうしてもうまくいかず、不定期に溜まった我慢や苦しみ・悲しみ・悔しさなどの負の感情を(主に怒りの形で)突然爆発させるのです。

しかし当事者周囲の人たちは、自分の心が相手に透けて見えていることにも、そもそも自分に相手を操作する心があることにすら気づいていません。
だからいつまでたっても平行線で、何年経とうが何十年経とうが状況が変わらないままなのです。

(実際、境界性パーソナリティ障害の症状を持つ家族に10〜30年悩み続けるかたのお話も過去聞きました)

だから私は、先述した注意事項の意味が理解できない当事者周囲の人のカウンセリングをお断りしているのです。

その状態で私に相談しても、時間とお金の無駄遣いで、その人のためにも得にもなりません。顧客利益を守り最大化することも、商品やサービスを提供する側の責務であると私は考えています。

◆良いサービスを提供し続けるには、提供者本人も守る必要がある

当事者本人を操作しようとする傾向のある“周囲の人”からのご相談をお断りするのは、もうひとつ理由があります。

それは、そういうタイプの人々と話していると、せっかく寛解して穏やかになっている私自身の「境界性パーソナリティ障害の症状」が再発しそうになるからです。

境界性パーソナリティ障害の妻・彼女・夫・彼氏・友人・家族をもつ周囲の人たちは、決して“当事者本人だけ”に「こういう風に動いてほしい・こういう風に考えてほしい」というコントロール心をぶつける訳ではありません。

実は、周囲の人全員にそれをぶつけているのです。特に、自分が心を許せると思った人には顕著にそれをぶつける傾向があります。

(私はこれを「境界性パーソナリティ障害の症状の伝染」と考えています。
実際にウィルスがいて伝染するわけではありませんが、まるでそうなったように、当事者本人と周囲の人がなぜか似てくる場合がよくあるからです)

今回お問合せをされたかたも、まさにそうなんですね。
「カウンセリングとはいかなくとも、頼りどころを作ってほしい」。

そして私の心を“変えさせる“ために、自分はこれまで何をしてきたのか、どういう状況でいかに困っているかを長文で綴ってくださいました。

これは、私が今まで出会ってきた境界性パーソナリティ障害の妻・彼女・夫・彼氏・友人・家族をもつ周囲の人たち9割に当てはまる傾向です。

残りわずか1割の人も最初はそうでしたが、早い段階でそのことに気づき、「私が向き合うべきは彼(彼女)ではなくて、自分自身の問題なんですね」と得心してカウンセリングを卒業していきました。

その中には後々ご報告してくださる方もいて、「妻との関係が以前より穏やかになった」「あの友人といい距離感で過ごせるようになった」「家族との言い争いが以前より減った」と嬉しいお言葉をいただいています。

しかしそれは私のおかげやパワーではなくて、私の差し出したヒントをもとに、その方達が自ら答えを導き出そうとしてくれたおかげなのです。

だから私はずっと、「そういう人達と話がしたい」と願っています。
その選別機が、上述したサイトでの注意文です。

私が境界性パーソナリティ障害を寛解できた理由のひとつに、“自分と相性が悪い人とは距離を置くようにした”というのがあります。
これは治すための方法というより、「悪化させないための方法」です。

私が“当事者周囲の人たちの心のよりどころになる場所”を安易に作らないのは、自分自身の心の平穏のためです。そんなことをしたら、今度は私がその人たちの「この人を操作したい」というターゲットになるからです。

境界性パーソナリティ障害、ボーダーは、「ターゲットを作る」って話を聞いたことがありませんか? 実は、逆もあるんですよ。
周囲の人が、“境界性パーソナリティ障害の傾向を持つ人をターゲットにする”ことがあるのです。

今までそういう人にけっこうな数、出会ってきました。

「申し訳ありません、申し訳ありません」と言いながら、自分の願望や都合をゴリ押ししようとしてくる人。なるべくお金を払わずに相談を聞かせようとする人。なんとか自分の思い通りにカウンセラーを動かそうとする人。自分が望む言葉をカウンセラーに言わせようとする人。カウンセラーに自分を全部助けさせようとする人。

「自分はあのヒドい人の被害者である」という意識が強い人ほど、そういうことをします。

カウンセラーは困った人を救う善意のものである——というイメージが一般的に浸透しておりますが、私の描くカウンセラー像は

・1人で歩く力が一時的になくなってしまった人の松葉杖(サポーター)
・自分自身を本気で変えたいと思う人のための道先案内人

です。

……精神的に不安定な妻や彼女や夫や彼氏や友人や家族に困り果て、誰にも助けを求められず、ネットで症状について検索をかけたら、元当事者だという人の記事が出てきた……そして自分の身近な人にすごくよく似ている……対策記事もとてもためになる……。
きっと暗闇に差し込んだひとすじの光に見えた人も少なくはないでしょう。

しかしながら、私はあなたの救世主ではありません。
あなたが全体重をかけて寄りかかろうとしてきたら、けます。
というか松葉杖に全体重をかけるのを想像してみてください。
倒れるでしょう?

自分の心と体を自分で守れる人間が他人をサポートできると信じているから、今までもこれからも、私はずっとこうやって生きるつもりです。

むしろ救世主どころか神様ですら、全力で寄りかかってくる人を救いはしないのですよ。

“Heaven helps those who help themselves.”(天は自ら助くる者を助く。)

私はこの西洋のことわざが大好きです。
では本日はこの辺で。ごきげんよう、さようなら。

◎当事者周囲の人向けの有料記事はこちら

途中まで無料で読めますので、試し読みだけでもどうぞ。

★当事者周囲の人の会は作りませんが、「苦しみから抜け出す心理学を面白く学ぶ会」は作りました。
カウンセラー(私)に質問したいことがあるかたはご利用ください。

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◎わたくしのカウンセリングについて

2024年2月分のカウンセリング受付は終了しました。
今後の予定は私のnoteや下記サイトで告知いたします。
早めにチェックしたい方はnoteをフォローいただければありがたいです。

また、カウンセラーサイト内で無料相談/質問にお答えしています。
自分が抱えている悩みと同じ悩みがあるかもしれません。
ない場合は、全採用とは参りませんがフォームから投稿してみてください。
 ↓

◎アイキャッチ写真について

撮影:いしとびさおり(Tsubaki_Rokka)さん
2019年に撮影いただいたものです。
a modo mio. (いしとびさんホームページ)
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