彼氏(夫)に情緒不安定と言われたらどうすればいい?
私は気分の浮き沈みが異常に激しい病気「境界性パーソナリティ障害」というものに24年もかかっていて、その経験や分析考察を9年間発信してきました。
おかげさまで、病気を克服して心理カウンセラーになってからも、「気分の浮き沈みが激しすぎて困っている女性(ときどき男性)」のご相談を多く受けます。
中でも多いのが「彼氏(夫)に情緒不安定なことを指摘された」です。
そこから派生して
・おかげで毎日猛烈なケンカをしている、しんどい
・おかげで別れ(離婚)を突きつけられた、しんどい
・おかげで別れてしまった、しんどい(できれば復縁したい)
などの悩みに行き着くのですが……。
というわけで本日は「そういう状態になったらどうすればいいか」の話です。
情緒不安定を治す過程
私のカウンセリングでやっている手順は大体に以下の通りです。
1.そもそも何が情緒不安定の原因になっているか突き止める
↓
2.突き止めた原因を取り除くあるいは緩和する
↓
3.すぐに情緒不安定を治せない自分も受け入れる
↓
4.しばらく経って振り返ると……
あれ? もしかして前より情緒不安定良くなってる?
私自身の情緒不安定治療もこの流れでした。
相手がいる問題の場合は、以下の観点で問題を分析することもあります。
これは私の敬愛する心理カウンセラー・根本裕幸さんが「人間関係や心の問題を治療する過程はこの順番になる」と仰ったものです。
根本さんは常々「パクっていい」とおっしゃっているので、遠慮なくパクった上に自分の解釈を上乗せして分析しています。
人間関係も心の問題も、スタートはどんな人でも依存から始まります。その後「これではいけない」と相手から自立しようとして、自立したからもうオッケー! と思い込んでしまう人が多いのですが、自立も問題を生みます。
最終的に目指すのは、自分も相手を頼るし助けるし、相手も自分を頼ってくれるし助けてくれるという、相互依存の状態です。
ちなみに共依存とは全然違うのでご注意ください。
(共依存は1番目の「依存」に含まれます)
依存・自立・相互依存は語ると長くなるのでこの記事ではいったんここまでとします。(機会があったらまた記事を書きます)
では最初に書いた過程に沿って、情緒不安定を治すのにどうすればいいのか見ていきましょう。
1-1.そもそも何が情緒不安定の原因になっているか突き止める〜体の問題編〜
「自分は精神病じゃないか」とすぐ疑ってしまう人も多いですが、うつ病などはともかく、情緒不安定の精神疾患はそう簡単になるものではないんじゃないかな、というのが個人的見解です。
※こちらの記事も参考にしてください
まずは体の問題から見ていき、その後、心の問題に注目してみましょう。
「いや体の問題なんて有名だし知ってるし、そんなことよりもっと専門的な話をしてよ」と思う方もいらっしゃるでしょうが、体の問題があまりにも常識すぎて見落としている人は沢山います。
心と体は繋がっているので、体の状態を無視して心だけ治療しようとしてもまったく良くなりません。私も自分の境界性パーソナリティ障害を治そうとする時、体の状態を整えることにはかなり気を配りました。
1.便秘
便秘でイライラするなんて猿でも知ってるとばかりに軽視する人が多いですが、「なんか最近謎にイライラするな〜……あれ、そういえば最近出てない……!?」といったことは往々にしてあります。
また、体がウンコを溜め込んでいるということは、心も言いたいこと(ウンコ)を溜め込んで便秘状態になっている場合があります。
心と体は繋がってますからね。
心のウンコを溜め込みすぎて人に投げつけている人も大変多いです。↓
2.睡眠不足
こちらも当たり前の話ですが、睡眠不足も情緒不安定の原因です。
「そんなこと言っても、布団に入っても眠れなくて……」と言いながら、不眠に関する対策を何も取っていなかったり、自分に合わない対策をとって「効果が出ない」と嘆いている人もいます。
不眠に関しては以下の記事に書きましたので、参考になりましたら!↓
この記事は弊サイトの無料相談コーナーに移動します↓
3.生理前症候群(PMS)
昔に比べて随分有名になった生理前症候群(PMS)ですが、まだまだ「初めて聞いた!」という方もいらっしゃると思います。
ちなみに私は境界性パーソナリティ障害とPMSがドッキングして最悪な状態になり、まずPMS対策を行ってから境界性パーソナリティ障害治療をやりました。
下記にその経緯を書いておきましたのでご参考になりましたら。
なお、私は薬で何とかしましたが、薬がどうしても無理な人もいると思います。私の言うことが絶対ではないので、他の方法も探してみてください。
4.水分不足
精神的に消耗しやすい人は水を飲んでいない、と言われています。
水(熱すぎず冷たすぎないもの)を飲んで胃腸を動かすと副交感神経を刺激する作用があるのですが、おそらくこれをしないと
・交感神経が優位になりすぎる(興奮状態が続く)
・交感神経と副交感神経が急激に切り替わってしまう
ので、心身ともに疲れやすい(消耗しやすい)状態になるのではないでしょうか。
私も精神的不調が続いていた頃、ためしに1日の水分摂取量を測るアプリを使ってみたら、「午後からほぼ水分をとっていない」という結果が出て愕然としました。
そこから、ちゃんと水分を取る習慣をつけています。
今はだいたい午前中〜昼過ぎまでで600ml、昼過ぎ〜夜までで600mlくらい白湯(さゆ)を飲むようにしています。後述しますが、体・内臓をあたためることも情緒の安定に繋がります。
ただ心因性多飲症や水中毒など、水分を摂りすぎて起こる問題もあるので飲み過ぎにはご注意ください。何でも過剰はよくありません。
5.カフェイン摂りすぎ
カフェインには利尿作用があるので、お茶やコーヒー、エナジードリンクなどを水分として過剰摂取していると水分不足になり、上述した通り心身ともに消耗しやすくなります。
また、カフェインには覚醒作用もあるので、カフェイン耐性の低い方はある一定の時間以降にカフェインを摂取すると眠れなくなることもあるそうです。
(カフェイン耐性が低い友人がおりまして、その友人は午後5時以降にカフェインを含む飲料を飲むと夜まったく眠れなくなる、ということでした)
またカフェインは興奮作用もあるため、知らない間に体のエネルギーを使ってしまい、カフェインが切れた途端に猛烈に疲れが出てきたりもします。
体の疲れが精神不安定を生み、飲用中の興奮状態との落差で情緒不安定になる場合もあるでしょう。カフェインの摂りすぎにはお気をつけください。
カフェインが悪なのではありません。(私もコーヒーとか好きです)
過剰摂取や摂る時間に問題があるだけです。
※農林水産省のサイトでもカフェインの過剰摂取について注意喚起がなされています↓
6.冷え性
以前、気分の浮き沈みに悩んで当カウンセリングに来た人に「冷え性かどうか」を聞いたことがあるのですが、ほとんどの人が当てはまっていました。
冷え性を改善する対策をとっただけで気持ちが上向きになった人もいます。
ひとつ前の項で水分不足についてお話ししましたが、冷たいソフトドリンクやビールをガブガブ飲んでいる人は体が冷えて情緒不安定になりやすいので気をつけてください。
というかビールはアルコールなので、別の理由でも情緒不安定になりやすいのですが……
そこはいちいち言わなくてもお察し事項だと思うので、省略します。
7.砂糖摂りすぎ
砂糖は情動ストレス(イライラ・不安・落ち込み)を和らげるように作用するという研究結果の報告があります。(2010年のものですが)
しかし近年、思春期に砂糖を過剰摂取すると、精神疾患に対する遺伝的な脆弱性を抱えていた場合に、さまざまな精神疾患症状が出るという研究結果も報告されました。(2021年)
精神疾患の発症は遺伝的な要因も含まれるとはよく言われています。
なので遺伝的な脆弱性がない方は問題ないのかも知れませんが、とにかくカフェインも冷たい飲み物も砂糖も、何でも「過剰に摂りすぎる」ことが問題なのです。
「ストレスや疲れが溜まったから、仕方なく……」と言って過剰摂取していると、より身体や精神面に問題を起こす場合があるので気をつけましょうね、というお話です。
8.運動不足
便秘も睡眠不足も冷え性も結局は運動不足につながっています。
事実、精神的な問題で相談をする人の中で「体が弱くて運動ができない」という人は少なくありません。体感で6〜7割程度でしょうか。
私も元々は体が弱いほうで、精神を健康にするために体を鍛えろと言われても何もしない人でした。
が、どんなに体が弱くても、5分くらい散歩をしたり、家の中で軽くストレッチや体操をするくらいならできます。
私がまさにそうでしたが、「体が弱くて運動ができない、鍛えられない」という人のほとんどが、完璧主義をこじらせており、いきなりスポーツマンレベルの運動をしようとしてしまうのです。
それで体を傷めたりしんどくなったりしてやめてしまうんですね。運動をして体を鍛える前に、まず自分のこじらせ完璧主義に気づきましょう。
ちょっとだけやればいいのです。
そこから少しずつ運動量を増やしていけば、いつのまにか函館を4時間歩き続けられる体力がついたり、険しい岩山を喜んで登るようになったりもできます(私です)(私のはやりすぎです)。
ここまでにはならなくてもいいので、とにかく少しだけ、5分だけでも、いや2〜3分でもいいので体を動かすようにしてみましょう。
1-2.そもそも何が情緒不安定の原因になっているか突き止める〜心の問題編〜
さて、いよいよ心の問題について切り込んでいきます。
この記事を読んでいる人が一番読みたいのはここじゃないかと思いますが、私も心理カウンセラーとして全力で記事を書くので途中から有料になります。
1.完璧主義
情緒不安定に悩んでカウンセリングに来る人のほぼ9割くらいにこの傾向がでているのではないか、と感じるのが「完璧主義」です。
完璧主義の形は人によって色々あります。
完璧に家事をこなしたい、完璧な経歴を持ちたい、完璧な家族の形を作りたい、誰にも文句言わせない完璧な仕事をしたい、アンチが出てこないような完璧な作品を作りたい、などなど……。
そもそも激しい怒りやひどい落ち込みで悩む人は、「それらの気持ちを完璧にゼロにしたい」という想いで相談にこられる方が多いです。
まずその「完璧に良くしたい」気持ちが、激しく怒ったり死にたいくらい落ち込む原因になっているのだと認識してくださいね。
2.高すぎる理想と期待
上記の完璧主義に通ずる所がありますが、低め目標の完璧主義の人よりも高め目標の完璧主義の人のほうが圧倒的に多いです。
例を挙げると
・今の売上を今すぐ50倍にしたい
・毎日家中がぴかぴかで手の込んだ料理を笑顔の家族と囲む家庭にしたい
・周囲に自分の力を認められて自分しかできない仕事を求められていつも取引先から褒められる高収入の仕事をしていきたい
・自分のことを理解して優先して守ってワガママも聞いてくれてちゃんとした企業に勤めていて収入が多くて結婚してくれる子供好きな彼氏が欲しい
みたいな感じです。なんとなく想像がつきましたか?
ちなみに上記はかつての自分が求めていたことと、相談者さんがよく求める内容をごちゃごちゃにかき混ぜて造った例なので、誰か特定のことを言っている訳ではありません。
が、「自分にも似たような覚えはある……」という人はいるはずです。
上記の例4番目にも入っていますが、自分に対して高すぎる理想を掲げる人は、それを叶えるために頑張りすぎるあまり、同じように頑張らない周囲の人に猛烈に腹が立ちます。
わかりやすく言うと「自分が結婚のために家事や仕事や貯金を必死で頑張っているのに、彼氏が協力的でないとブチ切れる」みたいなことですね。
自分に高い理想を掲げる、ということは、「自分はそのくらいすごいことができる人のはずだ」と自分に大きな期待を持っている、ということです。
あるいは、誰か(多くは親)の高すぎる期待を叶えようとしている、という場合もあるでしょう。
自分に大きな期待を持つ人、誰かの期待を過剰に叶えようとする人は、同じように周囲の他人にも大きな期待を持ちます。
そして、自分が周囲にやっているのと同じように、「あなたも私の期待を叶えようと必死で頑張って欲しい」と無意識に求めます。
しかしながら多くの人は、他人の期待を叶えるために必死に生きたりしません。
周囲の人の頑張りが足りない&頑張らないのは、私のことがどうでもいいから/低く見ているからだ、と感じ、怒り爆発したり、逆に死ぬほど落ち込んで無気力になったりするのです。
※こちらの記事でも言及しています↓
3.「このくらい大丈夫」という我慢
当カウンセリングにいらっしゃる人の中でもうひとつよく見る傾向が、
・頑張り屋、努力家
・我慢強い、忍耐強い
というものです。
さらに良くないのは、ご本人はそれをまったく認識していない場合が多い、ということです。
「めっちゃ頑張ってるじゃないですか」と言っても、
「え、このくらい普通じゃないですか……?」と返されたり、
「よくそんなに我慢してきましたね」と言っても、
「この程度は我慢しなきゃいけないと思っていました」と返されたり。
育った家庭環境や職場環境、過去の恋人遍歴なども関係ありますが、とにかくみなさん揃って「このくらいのこと当たり前」だと思い込んでいるのです。
人には向き不向きがあり、人によって我慢できること/できないことは全然違いますので、誰かが「このくらいのこと我慢しろ」と言ったとしても、あなたが同じことを同じレベルで我慢する必要は全くありません。
だって「このくらいのこと我慢しろ」って言ってくる人、たいてい私が簡単に我慢できることを「我慢できない!」ってキレてますから。
そんなもん人それぞれでいいんですよ。
しかし他人や社会を軸にして自分が何をすべきか決めがちな人は、「自分が我慢すべきこと/すべきでないこと」も他者基準で決めています。
その結果、本当はめちゃくちゃ嫌なのに、「このくらいのこと我慢するべき(社会人的に)」などと思い、自分の心に「このくらい大丈夫」と嘘をつき、多大な精神的負担を抱えます。
で、それが積もって積もって積もって積もって……突然ものすごくささいなことでブチ切れたり暴力を振るったり、あるいは落ち込みすぎて自殺・自傷行為に走るんですね。
※こちらの記事でも言及しています↓
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