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境界性パーソナリティ障害は30〜40代である日突然発症したりしない。

こんにちは、境界性パーソナリティ障害(境界性人格障害)を克服して現在は心理カウンセラーをやっている者です。

境界性パーソナリティ障害という病気がどういうものか説明すると長くなるので、病気の詳細は下記記事をご参照ください。

さて、上記のような売り文句で心理カウンセラーをやっているため、「自分はもしかしたら境界性パーソナリティ障害かもしれない」「あの人は境界性パーソナリティ障害に違いない」というご相談が多いです。

境界性パーソナリティ障害の症状のひとつにこんなのがあるんですけども、
 ↓

これのせいで、「30代中盤や40代になってから突然感情の起伏が激しくなったので、境界性パーソナリティ障害が発症したに違いない!」と言われる方がおられます。

おそらくなんですが、……それ、たぶん違うと思うんですよねえ。

◆境界性パーソナリティ障害の診断基準

DSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition)という、アメリカ精神医学会による精神疾患の診断名と診断基準が記載された統計マニュアルがあります。

この中に境界性パーソナリティ障害の診断基準も載っており、この条件をある一定以上満たしていると境界性パーソナリティ障害ですよ、と診断するものですが、その末尾に

「症状は成人期早期までに始まっている必要があるが,青年期に生じることもある」

という文章があるのです。

この成人期というのはおそらく心理学者のエリクソンが提唱した発達段階か、教育学者のハヴィガーストが提唱した発達段階のどちらかだと思われます。

エリクソンが言う初期成人期は18歳〜40歳ごろです。
前成人期を20〜30歳頃としているので、早期に当たるのはこの辺りかもしれません。

いっぽうハヴィガーストは早期成人期を18〜30歳としています。
ともあれどちらの学者も30歳までとしていますね。

境界性パーソナリティ障害の症状は成人期早期までに始まっている必要がある、とのことなので、30代以降で急に感情の起伏が激しくなったものは境界性パーソナリティ障害とは呼べないんじゃないか、というのが私の見解です。

実際に当カウンセリングに来られた方でも、40代以降から急に感情の起伏が激しくなったというご相談で、詳しく症状を聞けば聞くほど統合失調症の症状に当てはまるものでした。

(統合失調調は10〜20代に起きやすい病気と言われていますが、女性の場合は40代にもう一度発症しやすいピークが来るのだそうです)

でもやっぱり一回思い込んじゃうと「絶対に境界性パーソナリティ障害だ!!」と思っちゃうんですよね。

なので私は常々「素人判断はやめてください。ちゃんと病院で診断してもらってください」と口を酸っぱくして言っております。
しかし聞かない人がめちゃくちゃ多いです。なぜなんでしょうか。

◆境界性パーソナリティ障害の傾向が強い人は10〜20代の早い段階で症状が出ている

といっても私は医者ではなくカウンセラーなので、病名の診断はできません。(よく「こういう症状があるけどあの人は境界性パーソナリティ障害ですか!?」って聞かれるんですけどね)

なので上記の見解は自分の経験と、当カウンセリングに来られるあらゆる相談者さんの特徴を統計して出したものです。

相談しに来られた年齢が30代以降でも、境界性パーソナリティ障害の傾向が強く出ている人、すでに病院で診断をされた状態で来られる人は、やはり10〜20代の早い段階で症状が出ているのです。

私自身は10歳で自傷行為が出たので発症時期を10歳と仮定していますが、医療の現場では青年期より前(12歳より前)に境界性パーソナリティ障害を診断することはできません。

なので10歳のお子さんを病院に連れて行って「境界性パーソナリティ障害ですか?」と聞いても、精神科医の先生は診断できないでしょう。

じゃあ診断される12歳まで待てばいいかと言うとそうではなくて、「まだ境界性パーソナリティ障害診断にまで至らない可能性があるのだから、早急に家庭でできる手を打つ」ことが望ましいと私は思います。

私ももしかしたら10歳の時に手を打っていれば、その後34歳まで病気が続くと言うことはなかったかもしれませんしね。

* * *

という訳で本日は「ある日突然、感情の起伏が激しくなっただけで境界性パーソナリティ障害だと決めつけないでね」というお話でした。

今回の本文中に載せた境界性パーソナリティ障害の症状を表す画像は、私のサイト内にある「境界性パーソナリティ障害、分かりやすい8つのチェックリスト」に載っております。
 ↓

自己診断と素人判断は危険ですが、病院も万能ではないので誤診が起きることがあります。

患者さん本人が自分の症状とチェックリストを照らし合わせることで誤診が防げるかもしれませんので、よかったらご活用くださいね。

私は病名を診断できませんが、「それは別の病気なのでは……」と薄々感じることはできますので、病院へ診断に行く前に一度ご相談いただいてもかまいません。

では本日はこの辺で。ごきげんよう、さようなら。

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