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若手がやめていくという悩み。そもそも…

「押すなよ、押すなよ、早く押せよ!」というネタが大好きでした。あのネタがもう聞けないとは…。残念で仕方ありません。
 
さて、5月の連休を過ぎたころになると、「4月に採用した若手が転職を悩んでいる」なんていう悩みを聞くようになります。そうすると、人材育成や研修企画を担当している人に「なんかいい研修ない?」みたいな要望が届きます。
 
でもちょっと待ってください。確かに何か研修を行えば「とりあえず」の効果はあるかもしれません。しかし重要なのは「なぜ」の部分です。「なぜ、転職したいのか」。ここに触れずして効果的な施策などありえません。

なぜ、転職したいのか?

ここを知る前に整理したいのが、戦略人事の視点です。
企業には実現したいビジョンや戦略があります。それを実行するために人材・組織戦略があるのです。そして、人材・組織戦略を実行する方法は基本的に2つしかありません。「採用」と「育成」です。
 
今回の「若手が転職を悩んでいる」という問題に対し、「なぜ、転職したいのか」という問いが重要であると示しました。そこでまず考えなくてはいけないのは、「採用」なのです。
 
多くの日系企業はエントリーシート、適性検査、数回の面接で採用か否かを決めます。いきなりここがギャンブルになっていることにお気づきでしょうか?これくらいのことで、その人がわが社の戦略や社風にあい、中長期的に貢献してくれるかどうかなんてわかりません。しかも一度採用したら企業側は終身雇用の壁があり、契約終了(解雇)なんてことは簡単にできません。働く側にしても、ネット上の情報や企業イメージのみで、実際に自分にあう会社かどうかなんてわかりません。
 
これを防ぐためにある制度がインターンです。外資系企業ではインターンの情報を採用に活かすのは当たり前です。その方がお互いにとってメリットがあるからです。なぜか日系企業ではインターンを採用に活かすことが禁じられています。(政府は今後見直すと表明済み)
 
実際に働いてみることでわかることはたくさんあります。とくに企業側は、いい加減横並び発想ばかりでなく、採用を戦略的に行うべきです。
 
そして、お互い納得のうえで入社した後は「育成」の出番です。ここで重要なるのが、人事部ではなく直属の上司です。

育成は上司の責任

よく、現場の責任者から、「育成は人事部の仕事」と言われることがあります。間違っているとはいいませんが、不十分です。なぜなら、戦略人事の視点で考えれば戦略の実行責任者は現場の責任者ですから、その責任者が戦略にあうよう若手を教育するのは当然のことです。
 
そして、育成するためには、若手の能力や個性を把握することが必要になってきます。この把握すらできていないのが現状ではないでしょうか。
 
若手の強み(弱み)を知っていますか?
 
性格や価値観を知っていますか?
 
家族や友人などの情報を知っていますか?

 
これらを知らないから「悩んでいること」にも気づかないのです。そして、突然辞表を提出されて、「聞いてないよー!」となるのです。
 
「なんかいい研修」を行う前に、考えるべきことはたくさんあるのではないでしょうか。

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