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雪波電車
かるいことばを握りつぶせば
灰が掌に跡を残す
隣には幼子が欠伸をし
母親の胸に顔を押し当てている
ぬくもりと表すには程遠い
生命を顕現する営みのバトンと
車窓は雪波を額の様に彩る
不幸かどうかも分からぬ儘に
現在のこの瞬間はあぶくの様だ
楽しくない事が不幸であると
単純な思考は錆びて動かない
詩人ランボーの様だとは言わない
全ての感傷はまだらな電車の揺れに溢れる
到着地に降り立つと空は曇天だ
白い地面に私は初めての足跡をつける
家はないので家路もない
だからこの足跡が
跡というには、こそばゆい
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