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「World Order」
僕が産まれて
世界がまだ赤ん坊だった頃
それは酷く曖昧で抽象画のようだった
花はまだ名前を持たなかったが
僕は色を知り、また香りを知った
世界はまだ幼稚で幻すら見せたが
僕はそんな世界に精一杯しがみついていた
僕が産まれて
世界の頬にニキビができ始めた頃
世界は知らぬ極彩色で溢れていた
あらゆるものの名前を知り
ケプラーの法則が僕の世界へのまじないであった
世界は自分の広さを誇り
僕は世界をこの掌に収めようと背筋を伸ばしていた
僕が産まれて
世界の眉間に皺ができ始めた頃
世界のあちらこちらにコーヒーの染みを作った
道具は常に蠱惑的で
世界は数字と自由で満ちていた
初めてジレンマを世界は、したり顔で差し出したが
その時、僕には世界でただ一人の人が与えられた
僕が産まれて
世界の白髪が目立ち始めた頃
世界は少しずつ褪せてきていた
世界は徐々に背を丸め小さくなり、今は四角い窓だけとなった
だが心の中に世界は大切にしまわれていた
そんな僕の心の青空の深さは、そのまま人間の深淵であった
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