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帯のリメイクに「はまった」わけ

「作家もの」と「映え」の不協和音


あなたが買いたいモノってどんな風ですか?
日常の高品質でしょうか?

そういうの、もちろん欲しいけど、高価すぎると、
なかなか手がでませんよね。

いまの時代は、
心が暖まるとか、ときめくとか、いやされるとか、
そういうデザインで買いやすいモノが望まれているように思います。

たとえば通販サイトでたくさん(♡)が付いている作品には、
例外なく、ときめきを感じます。
人間の好みには共通点があることがはっきりする瞬間です。

そういう作品を創りたい欲求は強いです。

ただし、ときめく作品の共通点は、とにもかくにも写真が秀逸で、
作り手の目からは、クエッションマークが付いちゃうのがけっこうあったりしますね。

見た目はいいけどちゃんと使えるかな?と、心配になったり
この程度でこの価格?「映え」だけじゃんと、虚しく感じることもあります。

写真の技術って考えようによっては、作家の天敵かもしれない。
そう考えるわけは、
写真映えする子ばかりがチヤホヤと注目されると、
否応なしに「映え」が重要視されて
作家の潜在能力を引き出す障害になるからです。

リメイク作品例 壊れたガーネットのネックレスに、他の石(アメジスト、オニキス、クォーツなど)を組み合わせて編んだジュエリー。


日々の生活を便利にする日用品をまごころこめて作るという発想

日々の生活を便利にする日用品をまごころこめて作りたい、
昔の日本には、そういう気風がありました。
いまはそう思えるほど余裕がないのかもしれません。

2年くらい前のことです。
モノが多くて、大きめバッグに詰め込むまでは簡単だけど、
どこに何が入っているのかがわからなくなる日々を送っていました。

良いバッグがないかと、ネットに限らず、百貨店やアウトレットで探していました。でも、これという商品には出会えないまま時が過ぎて行きました。

見た目のデザインは洗練されているけど、そのせいか、どれも同じようなものばかりだと思いました。

そのときは、作家さんの一点ものとか、オーダーメイドという発想はありませんでした。

それでアンチな気持ちで、増えすぎたモノを持ち歩くためのバッグを自分で作ってみたくなったのです。
そう、最初は作家としてではなく、純粋に自分のためでした。

材料に頭を悩ませて、
素材が良ければそれなりに可愛くなるかしらなどと、
このときはとりあえず、手持ちの着物や帯のリメイクで作ることにしました。

それまでは、手芸は主に編み物やジュエリーで
バッグは初心者でしたから、そう簡単にはいかないとわかっていました。
それでも、とにかく始めてみたのです。

失敗しても成功しても、作り続けるのは新しい課題が生まれるから


持ち歩くモノを整理できるバッグでストレスを軽減したい、
持ち物のところ番地がわかれば便利と考えて、
さいしょに作ってみたのが棚バッグ

ポケットは20個、収納力は抜群で、あらゆる持ち物の番地が決まるけれど、写真のとおりへんてこなモノでした。

A3が収納できるバッグ、正絹の帯と着物で作りました。
これくらい持ち歩いていました


でも、いちいちもとに戻すのが面倒だし、けっきょくのところ失くすんです。

問題は可視性ですね、どこに何が入っているのか見た感じではわからない。
それから見た目もよくない。デザインも何とかしなければと思いました。



この2点を改善して作った作品が下の写真です。
箱を土台に、棚バッグほどじゃありませんが、前と後ろにポケットをたくさんつけました。箱の上には巾着が縫い付けてあります。

両面ポケットだらけ。紐を解くとパカッと開き、きんちゃく袋が現れる


正絹のつくり帯と胴裏で作りました。

思ったとおり、可視性は最高でした。見た目も及第点はつくでしょう。

でも、このバッグのいけないところは、中が見えすぎることです

バッグには、中身を守る役割があります。本当のところ、中は巾着ですから守っているともいえますが、こういうことって感覚ですからね、どうもしっくりこなくて、けっきょく使っていません。


この反省から、次は下のような、大きな箱にすっぽりとさまざまな形の箱を並べて入れたようなバッグを作りました。

材料は、兵児帯、帯芯、帯揚げ、帯締め、プラかごテープ

持ち手を引っ張るとマグネットで閉じていた蓋が開いて、上から中身を一気に見ることができるます。

可視性と中身を守る役割の双方を満たしたバッグです。

それは良かったけど、
形が決まっている箱だと、入れられるモノが限られるのが不便だし、
箱だから固いのが、布製のバッグとして物足りない……

それから、置ける場所がないと蓋を開けるのが難しくて
使い勝手が良くないのです。

ざんねんながら、棚とか箱とかの発想では、目標は達成できませんでした。


最高の素材


でもとりあえず、使い勝手の良いバッグの課題が3つわかりました。

1)どこに何が入っているかわかる(可視性)
2)持ち歩いているときは中身を守る(安全性)
3)片手でも開け閉めができる(操作性)

ところが、この3つを満たそうと作り続けていくうちに、結論よりも先に「帯」という素材の魅力にはまり込んだのです。
(帯ってバッグの材料として最高)と信じるようになりました。

帯はもともと結んで締めることが前提で作られているのでかなり丈夫なのです。
それから表面に凹凸がある生地が多く、汚れがつきにくいというのもあります。
そして品質の割に中古品はリーズナブルなので、制作費用を低く保てます。和柄のデザインも魅力です。

そんなわけで帯や反物を買い足してはまた作り、また作りと、バッグがどんどん増えています。

用途に応じてさまざまなサイズで作り続けています

小さいのから並べると、小銭入れ、カードケース、ミニバッグ、サコッシュ、ポーチ、ミニトート、カートバッグ(ゴルフ用)、ランチバッグ、iPad用ショルダー、ノートパソコン用ショルダー、書類バッグ、トートバッグ、ファスナー付きトート、ボストンバッグ、特大旅行カバン……

作れば作るほど、次なる課題ができてしまいます。
それでたくさん考えたことをシェアしたいと、
記事を書くことにしました。


この8月、本職のほうに一区切りついたこともあり、
noteだけでなく、手作り作品を売るサイト、ミンネでも勉強中です。

これからも課題とそれによってできた作品をnoteで紹介していきたいと思います。
ぜひ読んでくださいね。

最後までお付き合いありがとうございました。



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