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初恋をキミに捧ぐ

コロ日4 29日目
2024年8月22日(木)

本格的に気候が東南アジアになってきたそんな今年の夏。なんだか気苦労の絶えない日々。

 今の気持ちを、どう言葉に乗せれば良いか分からない。伝えたいこと、悩んでいること、葛藤していること、悲しいこと、たくさんあるのに、それがモジャモジャと塊になって解けない。そんな感じ。長くなります。

 8月に入ってすぐ、彼女がまた持病の悪化で入院してしまった。
 あまりに突然のことで、心の整理がなかなかつかなかった。今までよりも遥かに悪い状況だったということもあり心配で、何をしていてもずっと頭の半分くらいは彼女のことを考えているようなそんな日々。誰かと飲んでそのことを忘れようとしない限り、BADに入ってしまいそうな気がした。アル中になる人ってこういうところから始まるんだな、と初めて気持ちがわかった。

 その日は夜、2人でちいかわレストランに行った。彼女がものすごい倍率をくぐり抜けて当選して、ずっと前から計画していたやつ。前日少し体調が悪そうで、その日もまだ少し回復していなかったのでずっと寝ていたと言っていた。でも寝たら回復したから行くね!と言われ仕事終わりに合流。少し病み上がりっぽくはあったけど普通に元気そうで可愛くて、久々に会えて安心していた。草むしりティラミスとかふざけたスイーツなどを食べてはしゃいで帰宅。

 彼女曰く、その帰り道から記憶がないとのことだったけれど、帰り道も普通に帰ってきて会話は出来ていたので、具合が悪かったとか全然気が付かず呑気に過ごしていたあの時の自分を殴りたい。少し心配ではあったので彼女宅にお泊まり。これは今考えてもベストチョイスだった。これについてはナイス判断と自分を褒め称えたい。殴ったり褒めたり忙しい。

 翌日は普通に仕事だったので彼女の家から行こ〜と思っていたそんな夜、事態は悪化。

 夜中ずうっと横でうなされている彼女を横目に一睡もできず、2回ほど吐いたりした後に朝4時頃に痙攣のようなものを起こし始めたのでこれは流石にやばいかもしれないと思い(遅い)彼女の母上にLINE。こんな早朝に起きてるわけないよなーと思いつつもダメ元で連絡したら即レスきてびっくりしたけどまさかのNYにいらっしゃった。なるほど、時差……となり、たまたま妹ちゃんも起きていたとのことで家に来てくれることに。奇跡。しかし私はその日も朝から仕事があったため付き添えず、あれよあれよとひとまずタクシーを呼び病院へ連れて行くことに。

 ふたりを無事にタクシーに乗せ、ふう一安心、役目終了。と思っていた矢先、お母様からLINE。

「タクシー乗ってる途中で吐いて救急車を呼んだらしい。心配だから後から追いかけたりできる?」

 行くよね。

 初めて彼女の病院まで行ったはいいものの、親族でもない私が救急車で運ばれてきた彼女に付き添えるわけでもなく、遠くから聞こえてくる聞いたことのない辛そうな彼女の叫び声などを聞いてしまって、胸が張り裂けそうになる。特に何が出来るわけでもなく、ずっと付き添ってくれていた彼女の妹の涙に寄り添う。そんな8月初頭。

 その日は大事なミーティングとかが朝から入っていたけれど、なんだか仕事なんて本当にどうでも良くなって、命より大切なものなんてないと心から思った。まじで、生きてるって凄いこと。

 その後、状態が悪くICUに入り人工透析をして人工呼吸器をはめて、意識が戻るかもわかりませんなどと言われて本当に覚悟した。こんなにも身近な人の死を意識したのは初めてのことかもしれない。結構恐ろしくて、答えのない問いを永遠に考え続けてそのストレスをお酒で発散する毎日。

 あの時ああしておけば、こうしておけば、もっとデートをしておくんだった、もっとたくさん会ってたくさん触れ合って色んな楽しいことをしておくんだった、などと思ってしまって、脳がそういう覚悟を決めてしまって嫌になった。起こってほしくない最悪の事態ばかりを想像して鬱になる。やめてくれ無駄なイマジネーション。

 もし、ここで恋人を亡くしてしまったら私はきっと一生彼女のことを忘れられない気がした。最近流行りのThe Boyfriendというゲイの恋愛リアリティショー(めっちゃよかったちなみに)の女性版Girlfriendが作られたら出てやる、くらいに思わないと平静を装っていられなかった。アデルのSomeone like youをカラオケで熱唱して泣いた。上司に褒められた。たくさんの人に励ましてもらった。優しい世界。

 結局、無事に意識は戻り順調に回復。透析も取れてリハビリはまだまだ必要だけれど、思ったより早く退院出来て先日ようやく3週間弱ぶりくらいに会えた。こんなに嬉しいことがあるか?というくらい魂の底から喜んだ。西野カナの気持ちがわかった。生きてくれて、頑張ってくれてありがとう。本当に。

 レアな難病を抱えている彼女は、タンパク質をたくさん食べれない。日本でも500人くらいしかいない遺伝性の病気なのであまり知られていないし、私も付き合ってから初めて知った、そんな病気。

 人は通常、タンパク質を摂ると有害なアンモニアを出すらしい。そのアンモニアを、普通は肝臓で無害な尿素に変えて排出している。彼女は、この変換機能がうまく機能していないため、有害なアンモニアが処理できずにどんどん血中に溜まっていってしまう。
 血中に溜まりすぎると脳の中枢神経がやられてしまうので、行動異常が起きたり、言語障害が起きたり、傾眠、嘔吐、痙攣など色々な症状が出て生活がままならない状態になってしまう。あまりにも脳に影響が行き過ぎると脳症になって最悪死に至ることもある。そんな病気です。
 私も全てを理解しているわけではないので間違っているかもしれないけれど、たぶん大体合ってる。そんな病気があるんだね、ほんとにね。

 正直私はすこぶる健康体で病院にお世話になったのも何年前ですか?レベルの優良児だし、周りにそういう人もいないから看病とかもしたことがあまりないので、彼女と付き合ってから初めての体験ばかり。どこまでが大丈夫で、どこからがやばいのか、という判断もあんまりわかっていない。今回ももう少し早めに判断していれば、、などと責任を感じてしまったりして少し泣ける。

 でも本来、恋人と付き合うというのは、きっとこういう色んなことへの覚悟を決めることなんだろう。人生、色んなことがあるね。その色んなことの中に、こういう事もあるってことを私は知らずにいた。死ぬなんて考えたことない。病気で寝込むなんて思ってもいない。でもきっとみんないつかは死んでゆくし、心だって病むし病気だってする。それでも一緒にいたいと思えるのは、本当の愛なのかもしれない。誰かを愛するということは、あなたも私も同じだ思うことであって、生きてくって、そういうことだって母も言ってた。

 何にも考えてなかった1年前の自分からは考えられないくらい、今、人生の大事な岐路に立たされているような気がする。

 きっとこれも何か意味があるに違いないと思うけれど、私自身葛藤している。大好きだし、ずっと一緒にいたいと心から思うけれど、こんな私が彼女を今後も支えていけるかという自信と覚悟が今あるかと問われると正直わからない、多分まだない。一方で、私しか支えられなくね?と思える部分もある。2つのせめぎ合う心が、私を悩ませる。
 「好きなんだろ?いい加減覚悟を決めろよ」と分身が囁く。「いいのか、本当に?」別の分身も囁く。「ええい黙れ、私が決める!」魂が叫ぶ。

 『僕の初恋をキミに捧ぐ』という漫画を思い出す。まさにタクマが彼女で、マユが私。
 「神様、お願いだからタクマを奪わないで」という繭のセリフには15064973億回共感。今になってわかる少女漫画の良さに震えながら、私の愛はキミに捧ぐことに決めようか。

 人生ってなんてドラマチック、明日も愛を持って精一杯息して生きてこうね。

おやすみ。

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