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ベトナムから日本に帰ってきて、思うこと①

「自分が今、ベトナムに住んでいることを思い出して、将来の自分は何を想うのだろう」と、ハノイのカフェで西湖をぼんやりと見ながらよく考えていた。

それは何年後になるのか、あのときの自分は知り得なかったし、予想もできなかった。けれどわたしは今こうして小さな決断の延長線上で、東京で働いている。


わたしが東京でほどよく混み合った通勤電車に乗っている間も、ベトナムのある人はGrabバイクで通勤しているし、わたしがOLをしている間も、ベトナムのある人はカフェをのらりくらりと経営していて、わたしが新橋の飲屋街で馬刺しを食べているときも、ベトナムのある人は、今日も家族のために鳥をさばいて食べている。

そんなあたりまえのことが、不思議でたまらなくなるときが、ある。


すっかり東京という街にも慣れた。あれほど嫌だと思っていた電車にも毎日乗ってちゃんと通勤しているし、朝活を始めた最近は、見もしないで決めた家の最寄駅のカフェで、アイスカフェラテを飲むことが日課だ。金曜日の夜にサラリーマンであふれた居酒屋で呑んだりもするし、週末に表参道のおしゃれなお店でランチをしたりも、する。

夜になると、時間たりなかったなぁ、という気持ちで、最後の悪あがきだ。夜更かしをしてしまうことが多い。そうして朝、早く寝なかったことを後悔しながら眠い目をこすって窓を開ける。

''日常''

ひとは、慣れるものだ。


「日本に帰ったら大変で、絶対ベトナムのこと恋しくなるよ」

よく帰国する前に、ベトナムの友達に脅かされていた。それももう、3ヶ月前の話だ。


今、日本で社会人として初めて働いている。大変?と聞かれるけど、そりゃあ最初は何をするにも大変だということを知っているし、世の中つまらない仕事はないということだってわかっている。それでも自分が自分の意思で選んだ好きな仕事を今、やれている楽しさはやっぱりあって、悔しいことはいっぱいいっぱいあるのだけれど。それと同じくらい、嬉しくて楽しいこともあって。オフィスを出た後に、その日あった嬉しいことを思い出して、急いでもいないのに東京の夜の街を走り出してしまうような日も、いっぱいいっぱいある。

ベトナムに戻りたいかと聞かれれば、いったん間を置いて考えたとしても、きっとわたしはこう答える。

「実際、今の日本での生活を、とても気に入っている」。


*


海外で働く人が、最近増えていると聞く。ベトナム時代の友達と連絡を取ると、「最近若い子が増えた」とみんなが口を揃えて言う。

ベトナムで働いていたときはよく、日本人と話すときには、「どのくらいここに住む予定?」「いつ日本に帰る?」「もうベトナムで働いたら日本帰れないよね」という類の会話が飛び交っていた。

そういう悩みを持つ、今海外で働く人が見たときにちょっと安心してもらえるといいなぁと思ってメモ。

日本の働き方は改善されつつある、と思う
ベトナム人は、生活と仕事のときの自分を分けていない。仕事中も楽しそうだし、お菓子を永遠と食べているし、「オンとオフ」みたいな概念があまりない。そもそも祝日が日本の半分しかないし、ベトナムは基本的に8時から5時までしか働かないけれど、土曜出勤の会社が多い。べトナム人は思っていたよりもずっと、働き者だと思う。

一方で、日本に帰ってきてからは、みんなの切り替えように改めて驚いている。金曜日の夜の電車で見かけるサラリーマンのテンションと、月曜日の朝のそれとでは明らかに違いがあるし、みんなが「オンとオフ」の概念を持っていて、ちゃんといろんな顔を持っている。それくらい、仕事中は自分を演じているのだとも、思う。

というのは、ベトナムと日本の働き方の違いのほんのひとつ。

日本に帰ってきてむしろ、休みが多いなぁと感じている。(会社にもよると思うけど)。祝日も連休もとても多くて、なんでも始められる気がしている。

働き方は変わりつつあって、今日本では「給料」よりも「やりがい」や「自由な働き方」が求められているのは明らかだと思う。(大きな会社で福利厚生が整っていても、もっと自由に働ける会社を探しているという、会社帰りにWantedlyを見ている友人の多いこと・・・!)ということで、そういう需要に合わせて会社自体が徐々に変わってきていると感じた。むしろ日本で朝から晩まで嫌々働いているなら、ちょっと探せば条件の良い会社はたくさん出てくる。(逆に朝から晩まで働いているけれどそれが楽しくて、苦じゃないのなら、きっとそれは天職で、幸せなことだと思っている)。

面白い人はどこにでもいる
ベトナムで面白い人にいっぱい出会ったけど、先進国日本の面白い人だってもう、そりゃあめちゃくちゃ面白い。だって東京は、こんなにも情報に溢れている。同い年や年下でも活動的な人がいっぱいいて、最初はそれに圧倒されて、落ち込んでしまうことがたくさんあった。けれど、自分は自分でみんなとは別の場所で、経験して感じてきたものがちゃんとあって、それは大切にしたいことだ、と思う。

最近、ベトナムでやっていたように、少しずつ東京での「自分の居場所づくり」を始めようと思っていて、もうちょっと外に出ようと考えている。ベトナムよりも広い東京で、またゼロからちゃんと創りたい。まだ駆け出しだけど、面白い人はそこら中にいると知っているから、きっと大丈夫だ。


何がいいいたいのかといえば、「ベトナムで働いたらもう日本で働けない」とかそういう問題は、別にない。場所はあまり関係なくて、それよりも「なにをやっているか」を大切にしたほうがいいなぁと、わたしは思う。



嬉しくて嬉しくて、たまらなく嬉しくて、走り出してしまいたくなるような帰り道が、朝が、週にいっかいくらいあると、いいなぁ、と思う。どこにいても。

いつも見てくださっている方、どうもありがとうございます!こうして繋がれる今の時代ってすごい