どんな時期、タイミングで成長戦略を計画し、そして実行すべきか
P-CFOとして走り始めたばかりの在インドの見上真生です。
MBAとインド子会社での事業会社運営経験をベースに、P-CFO仲間のサポートもあり、未熟ながらも数社のグローバルベンチャー企業のP-CFOとして、なんとかやってこれています。
今日は「どんな時期やタイミングで成長戦略を実行したらいいのか」について、僕が2021年よりサポートしているグローバルベンチャー企業を題材に、ケース・スタディ式でお話しします。
どんな企業のサポートをしているのか?
まずは、ここで取り上げるグローバルベンチャー企業の解像度をあげたいとおもいます。
僕が考える成長戦略は、PLCでいう成長期に入る「キャズムの壁を越えるようなイメージ」。シード~アーリーフェーズ、PMFは達成、拡大期にあり、トップラインが、前年度の200%や300%みたいに急に上がる線をどう作るか、という感じですね。
PMFは達成と言っても、経営リソースであるヒトモノカネITは以下の通りです。
どの成長戦略オプションでもヒトモノカネITのリソースが不足していることは否めない状況です。
そのような経営状況の中で、理想論ばかりのアドバイザーには僕はなりたくないし、かといって現実的で堅実な事しか言わないようなリスクを取らないアドバイザーも違うと思っています。
成長戦略は、CEOや経営陣と週一の壁打ちを通して情報を集め設計し、僕なりの2つのオプションを出しました。
一つは、MBAをベースとした経営の定石に沿ったセオリー通りの王道オプション。経営者が掲げるビジョン、ミッション、中経目標に沿って財務を中心とした成長戦略を描きました。長期的な戦略になり、マイルストーンが明確にあります。
もう一つは、経営リソースを加味したカスタマイズオプションです。長期的戦略にぶらさがるように、短期的な計画が単体であり、なんかそれならやれそうかもと思ってもらうような柔軟性があります。
P-CFOとして僕なりに考える「客観性のある数字とロジック」によって設計することに意識を向けたことに加えて、最終的に意思決定をするのは経営陣であるので、社内の状況を尊重し寄り添ったプランBを出すことで経営陣だけでなくチームにも納得してもらえるよう工夫しました。
では、その成長戦略を”いつ”、どの”タイミング”で実行すればいいのか?
成長戦略を実行するタイミングは?
成長戦略を”いつ”、どの”タイミング”で実行したのか。
僕がサポートしているグローバルベンチャー企業でも、2021年に「今だ」という時期がありました。一つは、狭き門である政府の補助金プログラムに採択された時、そしてもう一つは、資金調達に成功した時でした。”潮目が変わった”と感じました。
潮目がかわった数ヶ月前から、外部・内部環境がなんとなく整合し出して、これは「何かありそう」「何か起きそう」と感じていました。いよいよ成長戦略をしっかり練って、その潮目が変わるときに備え準備をしなければといそいそと資料を作り、経営陣への説明に熱をいれていました。
成長戦略を実行できたのか?
しかし、実際にはどうだったのかというと、そのグローバルベンチャー企業の”潮目”が変わったタイミングで成長戦略を実行することはできませんでした。経営陣がリスクをとってチャレンジできる環境に置けなかったのです。今でも悔やんでも悔やみきれません。
潮目が変わった時にスピード感を持って成長戦略を実行できていれば、今その企業は、もう少し違った状況になっていたのではないかと、”たられば”を考えてしまいます。
なぜ成長戦略を実行できなかったのか?
理由は、僕の2つの提案の納得度が低かったとしか今はまだ言えません。
「MBAをベースとした経営の定石に沿ったセオリー通りの王道オプション」は、ベンチャーのフェーズでは実現性が低いという印象を持ったのかなという実感です。言っていることはわかるけど自分ごと化しない、という感じ。
下の図を見ればわかるように、私のサポートしているグローバルベンチャー企業は、シード~アーリー手前の組織化よりも規模化が必要なフェーズでした。僕は、大企業に20年ほど勤め、組織化されていることが当たり前の世界にいたので、組織化していない企業にこの戦略がいかに響かないものかを理解しきれていませんでした。
「経営リソースを強く加味した中で、カスタマイズオプション」には、さらなる計画の細分化と実行のリードが必要だったと思っています。
世界の変化が早く予測不可能なVUCA時代、かつベンチャーのように戦略と実行の境界線が曖昧で、スピード感が早い環境です。
1-2ヶ月ごとに実行したことが先行指標となる、ストーリー性のある成長戦略と次の計画、というかむしろ「次の一手(より細分化された計画)」をアップデートしていく必要があったのではないかと考えています。
そして、計画の実行フェーズの頭出しをリードするくらいでないと、経営リソースがギリギリな状況のベンチャーには「一歩踏み出せるかもしれない、実行できるかもしれない」という希望をもたせることができなかったのかもしれません。
P-CFOとしてカネ系を起点に、ヒトモノITまでを客観的に捉えた経営戦略の設計をサポートしていくためには、グローバルベンチャー企業という特性をまずしっかり自分ごととして理解し、提案のカスタマイズや僕なりのフレキシブルな実行のサポートをする必要があった、というのが僕の振り返りです。
CEOや経営陣は成長戦略をどう考えているのか?
最後に、P-CFO視点ばかりではなく、グローバルベンチャー企業のCEOや経営陣の視点に立って考えてみます。
考えたらキリがないのですが、こういった疑問を一つずつ解消することができれば、相手と同じ目線になり、成長戦略に耳を傾けてもらい納得度を上げていくことができるのかもしれないと感じています。
まだまだP-CFOとして未熟な僕ですが新たなことにチャレンジするベンチャー企業の成長を支援したいという想いは強く、顧客の実現したい世界のために、P-CFOの価値をどう使ってもらい、企業の成長や利益に繋げられるのかをこれからも模索しながら、邁進していきます。
P-CFOは、財務戦略を中心に経営戦略、成長戦略まで経営者と共に考え、形にしていくことができます。定石を使いつつ、経営者の考えや事業の状況に合わせて柔軟なサポートをしていくことができます。企業の規模やフェーズ、国内外問わずサポートが可能です。
一般社団法人日本パートナーCFO協会
Mr.&Ms.Mikami LLC, Founder CEO 見上真生
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