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成長戦略について(危機環境をチャンスに変える経営理念の要諦)

「人の行く裏に道あり花の山 いずれを行くも散らぬ間に行け」という株式市場では有名な格言がありますが、ご存じでしょうか?

「茶聖」と呼ばれる千利休の作とも言われています。これは企業経営とくに中小企業の成長戦略にとっても非常に有益、有効な格言だと考えます。
他社と同じことを行っていたり、環境変化を一緒に嘆いていても、成長はないどころか衰退する。他社と逆のことをやれ。しかも「散らぬ間にやれ」すなわち他社が追随してくる前等「旬のうちにやれ」ということです。

今回のコロナ禍は、財務的人的体力に余裕のない中小企業にとっては大きな経営環境の悪化となりました。しかしながら、これを積極的に成長機会に結び付けている企業の事例も多くあります
すなわち「裏の道の花を見つけた企業の事例」です。既に「裏の道」ではなく多くが追随しているので花の盛りは去っているかもしれません。要するに機を見るに敏であった企業の例ですので、参考にしていただければ幸いです。

1. キャッシュレス決済(QRコード決済)

コロナ禍の初期から現金の受け渡しは感染リスクを増すことで注視されました。またコロナ緊急支援融資を金融機関から受ける際には日々刻々の売り上げデータを保存し月次、日次ベースでの増減状況を示すことが有効になります。
POSデータなどない小規模店舗にとって、キャッシュレス決済は「感染予防」「金融機関対策」そして「デリバリー需要」等の観点から極めて重要性、親和性が高くいち早く対応した中小企業は成長の機会をつかみました。


2. リモートワークシフト→オフィス需要激減→チャンスに転換

ネット視聴時間の増大や動画マーケティングのブームを呼んでいますが、貸会議室を安価な映像コンテンツ撮影スタジオとして売り出した企業が成功しています。

3.リモート会議が当たり前→会えない、面談できないと嘆かずチャンスへ

「渡航費をかけずに頻度多く勝負できる今は海外企業を取り込む絶好の機会」ととらえて、海外市場、海外企業との営業会議を大幅に増やしている企業が成功しています。
こういった対応力、回復力、発想力によって成長機会を得ることは重要と口でいうだけでは「散らぬ間に行く」ことは難しいでしょう。

これを「経営理念」に落とし込んでオーナーも幹部も従業員に至るまで「人の行く裏の道の花」を見つけるための具体的発想と具体的行動に結ぶ付けるDNAを会社全体に植え付けることが要諦です。

「会社経営の成否の50%は経営理念の浸透度で決まり、30%は社員のやる気を引き出す仕組みづくりで決まる。経営戦術は残りの僅か20%である」

(松下幸之助)

経営理念は経営者の思い付きを額縁に入れて社長室に飾ってあってもけっして社内に浸透しません。ましてやコロナ禍という環境変化をチャンスととらえて「花の山」を目指す発想、行動などは期待しようがありません。


浸透する経営理念というものは、
①当該企業が過去に乗り越えた危機脱出のエピソードや環境変化を成長・飛躍につなげた具体的史実・事実
②経営者の人生哲学や信条
①と②を掛け合わせた「積」から生まれなければけっして社内に浸透しません。

さらにそのエピソードを全社が共有・認識してこそ「あの時も当社は危機を逆にチャンスに変えた。今回も活かし方について考えてみよう。」という土壌がなければ、ご紹介した様な事例は生まれてこないでしょう。


まとめ

成長戦略と経営理念。一見すると遠く離れているような具体と抽象に感じられますが、実は不即不離の関係にあります。遠回りの様でいてこれが最も近道です。

とくに「100年企業」を目指す経営者の皆様は、具体的エピソードと自らの人生観、成功体験に立脚した「経営理念」を作り上げ、浸透させて「成長の機会=花の山」を見つけてほしいと願っています。

一般社団法人日本パートナーCFO協会
100年企業プロデューサー 村山 豊

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