2022年6月 - 今月のスナップとエッセイ
6月14日、東海地方は梅雨入りした。6月23日、これを書いている今日、窓の外は灰色だ。
梅雨入りした日の夜。あまりの寝苦しさに、目を覚ました。午前2時半。除湿器が、ごうごう音を立てている。あれ?あなた、昨日まで、あまり仕事していなかったのに。
首元を汗が伝う。湿度がまとわりつく。扇風機は「僕にはもう無理です」という顔をして、風を送り出していた。
隣で夫が「暑い」と唸る。もう、エアコンだ。エアコン。
スイッチを探す。どこ…。ようやく見つけて、ボタンを押す。何も起こらない。なぜ…。電池が切れている。えええ…。今度は電池を探す。あ、あった…。
ピッ。エアコンは無事稼働した。
冷たい風が部屋を駆ける。
ふう、あと何時間眠れるかな。リモコン片手に、眠りに落ちてゆく。
季節が変わった。夢と現の狭間に、雨音が聞こえる。そんな、2022年6月のスナップとエッセイ。
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夫婦揃っての平日休暇。この日、“御殿場高原 時之栖”へ向かった。レストランやホテルなどがあるリゾート施設だ。
我々のお目当ては、レストラン“グランテーブル”の、地ビール6種類飲み放題。地ビールとは、御殿場高原ビールだ。平日ランチ限定のメニューである。
今からn年前。二十歳になり、酒を知った。最初は、酎ハイやカクテル。甘い酒を好んだ。一方で、ビールは、なかなか馴染めなかった。独特の苦み。飲めなくはないが、好みではない。
しかし、今では、無類のビール好きだ。
そのきっかけとなったのが、御殿場高原ビールである。
その昔、父が「これ美味しいから飲んでみなよ!」とすすめてくれた。それは、御殿場高原ビールのシュバルツだった。
半信半疑で、小さいコップに注いでもらう。シュバルツは、黒ビール。良い香りがした。口をつける。すっと喉を通る。ビターだが、どこか甘い。あの時の感動といったら、忘れられない。
夫は、このグランテーブルに思い出があるという。幼い頃、家族で訪れたそうだ。静岡県民に愛されるここで、わたしたちは、思い出を語り合いながら、スペアリブを頬張り、ビールを飲んだ。
「子供の頃来たとき、もっと広く感じられたんだよね」
何杯目かのビールを飲みながら、辺りを見回す夫。わたしは「そういうことって、あるよね」と笑った。
結局、7杯飲んだ。ほろ酔い(?)だ。
その日は、富士山三島東急ホテルに宿泊した。昨年オープンしたホテルで三島駅南口に位置する。晴れていれば、富士山が臨める部屋。あいにく富士山は見えなかったが、眼下の電車を眺めながら、映画を見て、ハイボールを嗜んだ。まだ飲む。
夜、夫が「サンライズが通過するのが見たい!」と言った。時間を調べて、一緒に待った。彼の夢は、寝台特急・サンライズに乗ること。わたしは、独身の頃、ひとり旅で乗車したことがある。たしかにあれは、特別な夜だった。
夜行列車は、一筋の光となって、わたしたちの瞳に映った。彼の瞳もキラキラしている。サンライズ、いつか一緒に乗ろうね。流れる街灯りと線路の揺れを感じたあの夜を、いつか一緒に。
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今月の街スナップは、お借りしているLUMIX G100が活躍した。G100とともに、LEICA DGレンズも4本お借りしている。それぞれのレンズでスナップした。
どれも良いレンズだ。その写真に対し、“コクのある写り”とコメントを頂戴したとき、「その言葉、ぴったり!」と思った。さすが、Leicaの名を冠しているレンズである。
単焦点レンズ2本、ズームレンズ2本。4本のレンズで、30mmから400mm(35mm判換算)までカバーできる。何でも撮れそうで、どう撮るか考えさせられる撮影だった。
わたしが普段使っているのは、35mmだ。焦点距離が長くなればなるほど、その難易度は増した。
大変良い経験であった。このレンズなら、何が撮れるか?当たり前のようにしていたスナップに、新しい刺激がもたらされた。
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誰のために撮っているわけでもない。記念写真でもないし、商業写真でもない。何で撮ろうが、どう撮ろうが、誰にも関係ない。撮りたい時に、撮りたいものを撮る。それが、わたしの写真。
いつの日も、今を残したいという思いで、シャッターを切っている。幼少からの変わらぬ思いだ。
あの頃と違うのは、自分の写真を、この海に放流していることだろう。インターネットという大海原に。
わたしの写真が、誰かの目に留まる。その誰かが、何かを感じる。その何かが、いつかの未来に繋がれば…。そう思うことがある。ちょっとした希望だ。
誰のために撮っているわけではない。だけど誰かに届く写真が撮りたい。
写真が溢れる世界で、2022年を撮るなかで、わたしが残せるものは何だろう?
今日も、大海原に思いを送り出している。それはまるで、ボトルメールのようだ。どこかの誰かが受け取ってくれたら、それだけで嬉しい。
皆さんはどのような思いで、写真を撮っているのだろうか。シャッターを切る人の数だけ、思いがある。その思いを、ぜひ聞いてみたい。
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さて、夏だ。もう夏が来た。冒頭に、梅雨入りの話をした。しかし、その梅雨は6月27日に明けたらしい。
この文末を書いている今日は、6月30日。カンカン照りの1日だった。橙色の夕空が、街を照らす。
連日、気温は30℃を超えている。息も苦しい暑さの中を、ただ生きている。日本の中では、40℃を超えた地域もあるようだ。まだ6月なのに。
青空が遠くまで広がり、入道雲が天まで昇る季節。あれは、理想の夏。
2022年の夏はどうだろう。とても穏やかな気持ちではいられない。蒸し暑さに負けず、写真が撮れたらいいな。でも無理はだめよね。皆さんもお気をつけてください。
それでは、良い写真生活を。
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