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LUMIX G100とゆく|用宗で過ごす4時間の小旅行

 静岡市駿河区用宗(もちむね)。
 JR東海道本線静岡駅から西へ2駅のそこは、駿河湾に面した小さな港街だ。しらす漁が有名で、直売所もある。市街地のにぎやかな雰囲気とは違い、ゆっくりとした時間が流れている。
 今回、Panasonic様よりお借りしているLUMIX G100とともに、この用宗を散策した。

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 目が醒めると青空が広がっていた。わたしは、のそのそと起き上がり、大きなため息をつく。その憂鬱は、キリッと冷えた空気の中に溶け込んでいった。
 今日は久しぶりの休日。そのはずが、昼下がりから仕事が入った。社会人、自分の思い通りにならないことも多い。仕方ないが、気が重いのも事実である。

 家事のあとの自由に使える僅かな時間。さて、どうしようか。家で過ごすのも悪くはないが、どうしても仕事のことが頭から離れない。
 それなら、今日はカメラ片手に出掛けよう。
 相棒は、その片手にすっぽりおさまるLUMIX G100だ。

 洗濯物を外に干して、ため息はしまって。
 さあ、4時間の小旅行へ。

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 静岡駅から西に2駅。時間として7分。午前10時、用宗駅に到着だ。
 柔らかい陽の光が降り注いでいる。静岡の冬は、風さえなければ暖かい。

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 最初の行き先は、持舟(もちぶね)城址だ。
 用宗駅裏の標高70mほどの山にある。かつて存在した持舟城は、今川氏の属将であった一宮元実によって築城された。1500年前半のことといわれている。山と海に囲まれ、駿府の街を一望できるこの城は、1582年、徳川家康が攻めた後、廃城となるまで、駿府守備の要衝の地として活躍した。
 ちなみに、用宗(もちむね)はこの持舟(もちぶね)が転じたものだといわれている。

 駅を出て、LUMIX G100でスナップする。線路を渡り、駅の裏側へと向かう。いい天気だ。

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 持舟城址の入り口には案内がある。ここから登っていく。
 想像していた以上に急勾配だ。ダウンジャケットを着てきたのは間違いだった。暑い、暑い。
 見上げれば、紅葉が色付いている。山茶花は花を咲かせ、足元にハートの花びらを散らしていた。

 少し歩くと、開けた場所に出た。富士山が見え、眼下には東海道新幹線が走っている。新幹線がゴーッと音を立てて走り抜けたあと、辺りには鳥のさえずりだけが響いていた。

山茶花と椿はよく似ているが、その見分け方はいくつかある。
そのうちのひとつが、花の散り方だ。
山茶花は花びらが散り、椿は花ごと地面に落ちるそうだ。
眼下には東海道新幹線が走行している。

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 舗装された道から、山道へと入る。数歩歩いては、写真を撮る。
 LUMIX G100は、黒の発色が強いと感じていたが、光の滲み方に柔らかさを感じた。これは、使用しているレンズLEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH.によるものかもしれない。この描写がまた新鮮で、街中スナップでは得られない感覚であった。

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 山頂についた。用宗駅から撮りながら歩いて、約30分。ここが、かつての持舟城本丸が存在した場所だ。展望は抜群で、静岡の街が見渡せる。

 富士山と駿河湾に挟まれた静岡、駿河の国。遠く昔に生きた人々は、この景色をどのような眼で見つめていたのだろうか。
 木の葉が舞い散るなか、季節外れの紫陽花が咲いていた。君もまた、どのような眼でこの景色を見つめているだろうか。

 2021年を生きるわたしも、今この景色を見つめている。この時代を、この街で生きている。思うことは、たくさんある。
 誰もいない静寂のなか、自分と向き合う瞬間。日常から離れて見つめたこの景色は透き通っていて、わたしの心を均してくれた。

 心の声を聴き、シャッターを切る。心が動いた瞬間にシャッターを切っている。わたしはそんなことすら、忘れていたのかもしれない。

 思うままに写真を撮り、思いきり冬の空気を吸い込んで、わたしは持舟城址を後にした。

Lightroomでパノラマ合成。静岡が一望できる。

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 再び線路を渡り、今度は海へ向かう。用宗漁港の交差点についた途端、マスクの下に、磯の香りがふわっとやってきた。港はすぐそこだ。
 用宗漁港はしらすが有名で、生しらす丼を食べるなら港内にある漁協直営の「どんぶりハウス」がおすすめである。わたしは、ぐうと鳴るお腹をおさえる。

 キラキラと光る水面を撮りながら、東へ進む。
 次の目的地は、広野海岸公園だ。

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 公園の入り口についた。平日のためか、すれ違う人は多くない。しかし、地域の人たちが「こんにちは」と挨拶してくれる。あたたかい。

 海のすぐそばにあるこの公園は、とても広い。遊具が数種類あり、見晴らし山とよばれる小高い丘からは広い駿河湾が見渡せる。特に海賊船の形をした帆船遊具は、SNSで見た記憶のある方もいるだろう。

 わたしは、海を眺めた。今日は、遠く伊豆半島まで見渡せる。波の音が心地よい。
 海は、子どもの頃から身近だった。気がつけば、疲れたときは海を見ていた。大人になってもそれは変わらない。

 スナップしながらのんびりしていると、時計の針は12時を回っていた。あっという間だけど、とても充実している。わたしは再び、港の方へ歩き出した。

一本道の先に公園がある。
帆船遊具
見晴らし山

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 さて、小旅行も終盤。最後の目的地は、用宗みなと温泉。たくさん歩いてかいた汗を流そう。
 用宗みなと温泉は、天然温泉露天風呂や安倍川水系の天然地下水を利用した高濃度人工炭酸泉などが楽しめる。女湯の露天風呂には、富士見小屋とよばれる小窓から、富士山が望める。平日昼間の露天風呂、最高以外に言葉が見つからない。

 風呂あがりにビール!といきたいところだが、これから仕事であるため、しらすネギトロ丼セットを注文した。残念ながら、生しらす丼は売り切れていた。今度は新鮮な生しらすを食べに、用宗を訪れたい。

テラスで富士山を眺めながら食事がとれる。

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 今回、LUMIX G100で700枚ほど撮影した。AFが速くて正確な印象を持った。
 空間認識技術で一気に合焦点付近まで持っていき、そこからコントラストAFで微調整する方式だそうだ。コントラストAFの合焦に時間がかかるデメリットを感じさせず、かつ精度の高いAFを獲得できる。小型なミラーレス一眼で、このAFの快適さは、良いポイントだ。

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 午後2時。用宗駅に戻ってきた。
 4時間の小旅行だった。随分贅沢な時間の使い方をした気がする。

 写真を撮っている間は、目の前にあるものが全てだ。被写体と自分の間にカメラがある。そこに存在するのは日常の憂鬱ではなく、自分の感性だ。

 いつもと違う景色を探しに、ちょっぴり足を伸ばしてみる。きっと、そこには新しい世界が広がっているだろう。

 「何だか疲れちゃったなあ」と思ったら、カメラ片手に、小さな旅に出てみてはいかがだろうか。シャッターを切るたび自分と向き合えるし、旅には面白い発見がつきものだ。
 そのカメラの選択として、LUMIX G100はおすすめである。

 帰りの電車がやってきた。また日常がやってくる。もう少しだけ、頑張ろう。用宗と4時間の小旅行に感謝して、わたしは電車に乗り込んだ。

 それでは、良い写真生活を。

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※本noteの作例は、全て以下の機材を使用して、撮影しました。

■Camera:LUMIX G 100
■Lens:LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH.

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↓前回の「LUMIX G100とゆく」はコチラ。



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