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私がオタクになった理由

きっかけは中学校でした。

当時の自分は運動も勉強も出来ず何より人見知りが激しかったので、クラスに居場所が殆どありませんでした。

いじめがキッカケで人見知りになったのか、人見知りがキッカケでいじられていたのか今では思い出せませんが、

とにかくクラスの数名からちょっかいをかけられ、私の人見知りと人間不信は加速していきました。


小学校の頃から友達だと思っていた人もいじめグループに加わったり、学校だけでなく習い事中も色々言われたりして正直ギリギリの精神状態だったと思います。


「居場所がほしい」
新たに居場所を作らないと」
でなければ、自分はもうもたない


本能でそう察しました。


始動

手始めに学校の図書室へ向かい、どうしたら人が喜ぶのかについて書かれた本を読み漁りました。


そうして中学生の私が導き出した答えは「人の話を聞くこと」でした。


人は誰しも聞いてほしいことを抱えています。


誰か俺の自慢を聞いてくれ
音楽の話がしたい
車の魅力について語りたい

そんな「聞いてほしい」欲を満たすことが人見知りで口下手の私でもできる、友達の作り方だと考えたのです。



誰か、話を聞いて欲しそうな人
自分を受け入れてくれそうな人
どこかにいないかな……。


オタクとの遭遇

だれかいないかな

そうやって、朝の人が少ない校舎をぐるぐる徘徊していた時、教卓を囲んで話し込む5人グループが目に留まりました。


あ、あいつもいる

中には1人友達が混じっていて、何となく輪に加われそうだと感じました


「おはよ、何してんの?」

「おお!丁度いいところにきた。君はどの子が一番可愛いと思う?」

へ?

何のことかと思い教卓を覗き込むと、そこには美少女が描かれたクリアファイルが30枚ほど並べられていました。


うわっ


あまりのお花畑空間に頭がくらくらしながら、一人の少女を指さしました。

「この子、かな?」


「おぉーー」

唸る周囲

「さやちゃんとはお目が高い」

「へ?そうなの?」

「いやぁこの娘はいいよ、健気だし」

「そうそう!あのエピソードの時とかさ……!」


あ、なんか良いかも

皆何言ってるかマジで分かんないけど、ここは凄く幸せだ



これがオタクとのファーストコンタクトでした。


それ以降、朝早くに学校へ行き彼らの話を聞く ということが習慣になっていました。


他の人に邪魔されないし、話を聞いているだけで自分を受け入れてくれるなんて


自分の新たな居場所はここかもしれない


そう思い始めていました。



私がオタクになった理由

ただ、オタクの話を聞くくらいでは私自身オタクにはなりませんでした。

居場所がほしいという下心で動いていた私には、彼らの好きな対象物よりこの空間自体に魅力を感じていたからです。

自分は普通な聞き手でいい
正直彼らは少し、強烈だ
一歩引いたところから眺めていたい

これが本心でした。
あの日までは





ある日の休み時間

私はオタクグループのところへ行き、いつものように話を聞いていました。


「癖あるのな、ジョジョ立ちって」

「3部はこれで4部はこうよ」

「すげぇ完コピじゃん笑」


「お、楽しそうじゃん」


僕らの笑い声に突然突き刺さったいやらしい口調

「お前オタクだったんか笑」

ニタニタと笑う嫌な表情


振り返ると奴がいました。

同じクラスのいじめっ子


あ、終わった

自分が奴に目をつけられていると知られれば確実に距離を置かれてしまう

かつての親友も巻き込まれるのが怖くてあっち側へついてしまった。

折角みつけた居場所なのに


奴は長々と、周囲にも聴こえる大声でニタニタ話し続けました。


「見ないでくれ」

「頼むから放っといてくれ」


そう心で叫びながらなんとか耐えました
自分は。

ある程度慣れてますから、自分は。


でも、もうここには居られない
彼らに迷惑をかけてしまった


私が俯き塞ぎ込み無言で教室へ帰ろうとした時でした


「なんだアイツ、つまらん」
「無視無視」
「あーいうの居るよな笑」
「んで、さっきの話の続きなんだけどさ、」


彼らは平然と話を再開したのです。



この瞬間だったかもしれません。
私がオタクになったキッカケは


この時、私を避けるどころか同情すらせずに会話を続ける彼らにどれだけ救われたことか……。


いじめられた時は距離を置かれるだけでなく同情されてもおしまいなのです。

同情されるとその時点で対等ではなくなります。

上下関係がうまれ、守る側と守られる側になり、親友になれなくなる。


このようにして、いじめとは真に人を孤立させる行為なのです。


しかし彼らは違いました。

目の前でいじられても対等に、何事も無かったかのように接してくれる

周りの目なんて気にせず、かつ他人に介入し過ぎない。

皆んなが同じ「好きな物事」の方を向いている関係。



すごい
良い

「彼らと友達でいたい」
「彼らのような人になりたい」


私はその頃から彼らと「同じ」方向を向き始めたのです。


〜あとがき〜

オタクの定義について

私はこの前オタクの定義について記事を書きました。


「オタクは知識量ではなく新たな文化やモノを受け入れる早さで定義されるべきだ」

「新しくて気味悪いものでもまず受け入れて遊んでみる」

その抵抗のなさと違和感を受け入れる速さこそオタクの持つ要素である。


上記の記事でそう定義したのも、先ほどの経験が大きく影響しています。

流行り廃りや評価に流されず、自分の目でみたものを信じて貫き通す姿勢。

若干美化しすぎな感もありますが、私はオタクのこういう姿勢が好きなのです。

願わくば私もそんな人間になれたらいいなと思っています。

オタクはかっこいいのだから



最後までお読みいただきありがとうございました。

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