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選択肢という誘惑

こんにちは。

今回はダン・アリエリーさんの『予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』という本、中でも9章について、私の受験期の失敗談を交えて紹介したいと思います。

私の受験

私は大学受験時代、いわゆる参考書マニアでした。これは受験の有名な失敗例です。参考書を買っては全部読む途中で他の教材に買い替える。そんなことを繰り返していたら、受験が終わってしまいました。

ですが、これにも理由があります。ぜひここで参考書マニアを代表して言い訳をさせてください。

参考書を必要以上に買う理由

私は学習参考書には受験生の不安を無くす免罪符の役割が一部あると思っています。裏を返せば、受験生は今のテキストに不安があるという理由でも新たな参考書を買うわけです。

実際に私の受験時代の思考回路を以下に書きます。

参考書を買う(買っただけで満足し勉強しない)

その罪悪感を消すために本屋で参考書を見る&より良さそうな参考書を買う

勉強途中で本当にこの一冊が最も効率的なテキストなのか不安になり、より良い参考書探しに本屋に行く…(ループ)

もし過去の自分に忠告できるのであれば、「そんなことをせずさっさと一冊に決めて三周しなさい」と言うでしょう。もし、子供がやたら沢山の参考書を買っていたら褒めるのではなく注意して見るべきです。(参考書のうち数問を出題し、解けるか試すなど)


選択肢を残すという手段の目的化

予想通りに不合理の9章「扉をあけておく」では、まさに私のような人に対して「危険だよ」と言っています。

以下の文章はこの章の要約になります。

<選択肢を残すという不合理>
私たちは「すべての選択の自由」を残しておくために必死になる

しかし、選択肢を残すということは他の何かを手放すことでもある

例:子供に様々な習い事をさせる
→親子の時間、一つのことに秀でる機会を手放している
          ↓↓
本当に重要な事に十分時間を割くことを忘れている

<そこで生じる問題>
選択の自由のせいで本来の目的からそれてしまう
(無理に色々と手を広げすぎてしまう)

<なぜ問題が生じるか>
人は選択肢が消えていくのを見るのがどうしても我慢できないから(実験で証明済み)

<解決策>
いくつかの選択肢を"意図的に閉じる"

(非常に迷う二択の場合)
決断しないことによる影響(コスト)を考える
  &
どちらを選んでも生じる違いは僅かという点を考えに入れる

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あまり興味のない服の「ラスト一着」に飛びついたり、選択肢(企業や業界)を捨てきれず必要以上に受けたり、内定先を一つに絞れなかったり…身の回りに沢山あるこの危険。

私は特にはまりやすいタイプなので今後気を付けていきたいです。


考えるより行動せよ

表題のようなことが書いてあるビジネス書が現在多く存在します。

これは考えるのがダメだと言いたいのではなく、私のような参考書マニアになるなと言いたいのだと思います。

特に研究やビジネスでは明確な答えが存在しないため、目的を明確にし、そこから逆算し何の情報を集めるべきかを事前に考え、必要最低限の情報を集めることが必要だと思います。

最も理想的な情報収集とは、ノイズを排除し、分析目的に対して寄与度の高い情報だけを必要最小限に集めることである。このやり方を常に心がけておくだけでも大きく違ってくる。

波頭亮『思考・論理・分析「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践』より引用


また、就活のような働いたことが無いのに受ける企業を探すという状況では本を使った情報収集のみ行っていても決断には中々繋がりません。

いくら知識を入れたところで働くイメージはわかないので、行動(体験)しながら考えるのが良いと思います。なぜなら、読書や座学による知識と体験から得られる知見を両方獲得することが情報収集において大切だからです。

これについて少し説明します。


座学からの知識と体験による理解の違い

生まれてから白黒しか見たことが無い人が居るとします。しかし、「赤」とは何かという本を読みあさっているこの人は、誰よりも「赤」について詳しいです。

さて、この人に赤色がわかるでしょうか?

白黒と赤を野球とサッカーなどに置き換えても、知っていることと理解していること、実践できる事は別問題ということが分かります。
上記の例はかなり極端ですが、実際に「赤を見る」ことの大切さは理解できたと思います。

ここで私が言いたかったのは座学の限界です。量、応用範囲共にインプットだけでは限度があります。

私はラップの曲を沢山知っていても実際にラップしようとすると全然ど下手でした。ただ、実際にラップしてみたお陰で曲の聴き方が変わり、注目する箇所が増えました。
その後は、その新たな学びを実践したり誰かの真似をしたりすることで以前よりは上達しました。
(ここも経営学と経営等に置き換えられそう)

このようにインプットとアウトプットは両方とも欠かせない情報収集,スキルアップの手段と言えます。
このことは分かっているつもりでも私自身よく忘れてしまうので、気を付けたいです。


最後に

まとめ

選択の自由のせいで本来の目的からそれてしまうことは多々ある。"何が必要か"だけでなく、本来の目的に対し何が要らないかも意識し、手に余る選択肢はいくつか意図的に閉じる。

情報収集をする際は、分析目的に対して寄与度の高い情報だけを必要最小限に集めることを意識する。

知識と体験による理解は別。座学での情報収集だけでは限界があるので、アウトプットも心がける。
どんな経験からも学ぶ姿勢が成長に繋がる

これらの解決策も知っているだけでは意味がないので、実際に実践して身につける必要がありそうです。

余談ですが、私は元々家を物で散らかしやすいのと、最近選ぶ行為自体に疲れてきたこともあり、社会人になって引っ越した際にはROLANDさんの家ようなシンプルな内装にしたいなと思っています。(選択肢を意図的に閉じた例として動画を載せておきます)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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