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時間の経過

交代制で来てくれている助っ人達にとっては、2.3日の勤務は出張気分で良い時間なのかもしれない。フレッシュな状態で働けるというのは実に素晴らしい。

尾瀬に来て約1ヶ月が経とうとしている。5ヶ月間しかない訳ですから、シーズンの約20%が終了したことになる。5月からの忙しさで時間が経つのもあっという間だ。

尾瀬の激務をこなしながら、箱根のグランピング施設の運営や温泉旅館の新規立ち上げ、他にも同時進行で進めている事業や、企画準備など誰も知るよしもない案件をひっそりとこなしている。目の前のお客様との対応、SNSの情報発信など尾瀬のやるべき事全てを同時にこなしていると1日のエネルギーは全て使い果たしている。今日も仕事が終わって部屋に戻るなり、気がつくと1分くらいで寝落ちしていた。目が覚めてお風呂入ってnote書いてとやっていたら、毎日17、18時間くらいの尺を使っていることになる。

それでも、自分の仕事に誇りを持ち、自分にしか出来ない仕事をやり続けて来たからこそ今の自分があると鼓舞するのだ。周りがやらない事をやるという事は、それだけ違う何かが身の回りに起こるという事。ただただ時間が経過するのではなく、時間の経過と比例して小さな出来事の蓄積がやがて大きなものに変化する。それは私の人生において全てに共通していることだ。さぁ、まだまだ20%。頑張ろう。

レンゲツツジ

小屋の周りにはレンゲツツジが色づき始めていた。
せいぜい今は小屋から5分以内くらいが行動範囲なので、こうした植物の成長を見れるのは嬉しいものだ。
雨予報が好転し、雨具の出番がなくなった今日は、お客様も大喜び。見送る私も良かったねと一緒に喜んだ。

幻想的な霧の世界でそれぞれが楽しむ山時間

至仏山も見えず、景色なんてない。
それは登山者にとっては本当に残念なことだ。
お金と労力をつかって遠い見晴地区まで来たわけで、景色が見れた方が良いに決まっている。
しかし、ツアーのお客様などは簡単にキャンセルが出来なかったり、行くしかない状況で来られているお客様がいるのも現実だ。そんなお客様が、景色がなくとも楽しめるコンテンツになるのが『山小屋グルメ』なのである。夕飯が終わって消灯時間までは3時間~4時間もある。チェックインしてから夕飯までは5時間もある。

美味しいランチやおつまみ、デザートを食べながら、『次はいつの季節にリベンジしようか』とか『本当はこの時期はこんな景色だよね』とかグルメがコミニュケーションをアシストしてくれるのは間違いない。
その僅かな数時間を楽しめるかどうか、何で楽しむかが山小屋の印象の明暗を分けるといってもいい。

地図を広げて晴れるかどうか分からない明日に期待する。最高な時間じゃん。ほろ酔いで気分良く山談義しながらまた会おうねと再会を誓う。美しい光景じゃん。お客様達の姿を見ててそう思うのです。

お客様と

『尾瀬小屋泊まりたかったのに予約取れなかった』
他の山小屋に宿泊されたお客様がレストランで一杯やりにくる。申し訳ない気持ちとありがたい気持ちでお客様を全力でもてなす時間。僕がこうして対応している時間に厨房は忙しく、他のスタッフは片付けや営業終了準備に追われている。その彼らの動きはお客様に見えないし、彼らが直接ありがとうを言われる機会がほとんどない。だからこそ、僕が正しく伝えている。尾瀬小屋の素晴らしい部分は人であり、皆さんをこうしてもてなせているのは、影で一生懸命働くスタッフがいることで成り立っていると。

お客様にとっても、自分にとっても、スタッフみんなにとっても、時間の経過を充実したものにするために。

尾瀬小屋
工藤友弘

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