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#尾崎英子
ボクのゴールデンなコロきゅう
1
ひだまりのベッドでねがえりを打ってみると、すぐそばにカメオツくんが座っていた。
「うわ、びっくりした」
おどろいたボクを見て、カメオツくんはみじかい足をパタパタとさせて笑う。
そしてまん丸の大きな目を開いて、まん丸のかおをクイっとこっちに近づけて、クククッと声をおさえるようにして笑った。だからボクもたのしくなって笑った。
「なあに! カメオツくんったら」
「さくちゃん、ひ
ボクのゴールデンなコロきゅう
2
おひるをたべたあと、ボクとカメオツくんは、にわであそぶことにした。
自転車をおいているところに、おかあさんがピクニックのシートをしいて、そこにブロックをおいてくれている。
おてんきがいいときには、にわであそびなさいって。
「カメオツくん、いつもなにしてあそんでるの?」
ブロックをつなげながら、ボクはなんとなく聞いた。
「さくちゃんのことをみてるよ」
「そうなんだー」
ボクのゴールデンなコロきゅう
3
コロきゅうがエンチョーしたみたいだ。
ゴールデンウィークがおわったら、がっこうに行けることになっていた。
このあいだ、ボクのクラスの先生もでんわしてきてくれて、
「連休明けには、学校で元気なお顔を見せてくださいね」
そう、いっていたのに。
「思ったより、感染者数が減っていないし、そうなりそうな気がしていたから驚かないけど、それにしてもねー。先が見えないってつらいな。とはいえ
ボクのゴールデンなコロきゅう
4
「さくちゃんは、なんども、生きてきたんだ。どれも、いっしょうけんめい生きていたんだよ」
カメオツくんは、話した。
「前のボクは、どんなふうだったのかな?」
ボクが聞くと、いろいろだよ、とカメオツくんはわらった。
「気になる! おしえてくれる?」
そういったら、カメオツくんはまん丸の目をうごかした。
「小さなむらで、一番えらいひとだったこともあるよ。やさしくて、たたかいがうまくて
ボクのゴールデンなコロきゅう
5
コロきゅうが、もうすぐおわるらしい。
カンセンシャのかずがへってきたから、っておかあさんがいっていた。
すこしずつ、みんな、そとにでかけられる。
「よかった。さくちゃんは1年生だから、早く学校にいけそうだよ。これでやっと、クラスのみんなに会えるね」
おかあさんは、うれしそう。
「がっこう、いかなくちゃダメ?」
ぼくがそういうと、そりゃね、とおかあさんはこまった顔になった。
ボクのゴールデンなコロきゅう
6 最終話
ボタニカルな内装の店に入ると、リクトはすぐに見つかった。3Dグラスをかけてビールを飲んでいた。
「お待たせ」
肩を叩いて知らせると、リクトは顔をこちらに向けて3Dグラスを外す。
「おつかれっす」
「何観てるの?」
「これ? 昔のアメリカのシネマ。最近はまってて。『アベンジャーズ』って知ってます?」
「観てないわ。でもあの時代のシネマっていいよな。けっこう丁寧に作られてて」