マガジンのカバー画像

ボクのゴールデンなコロきゅう

6
ボクは6さい。4月から1年生…のはずだけど、コロきゅうだから、おうちでゴロゴロなまけてる。 なまけるのは、だいすき。 ちょっとさいきん、大きくなっていそがかったから。 ひさしぶり… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

ボクのゴールデンなコロきゅう

ボクのゴールデンなコロきゅう

  1 

 ひだまりのベッドでねがえりを打ってみると、すぐそばにカメオツくんが座っていた。

「うわ、びっくりした」
 おどろいたボクを見て、カメオツくんはみじかい足をパタパタとさせて笑う。
 そしてまん丸の大きな目を開いて、まん丸のかおをクイっとこっちに近づけて、クククッと声をおさえるようにして笑った。だからボクもたのしくなって笑った。

「なあに! カメオツくんったら」
「さくちゃん、ひ

もっとみる
ボクのゴールデンなコロきゅう

ボクのゴールデンなコロきゅう

   2

 おひるをたべたあと、ボクとカメオツくんは、にわであそぶことにした。

 自転車をおいているところに、おかあさんがピクニックのシートをしいて、そこにブロックをおいてくれている。

 おてんきがいいときには、にわであそびなさいって。

「カメオツくん、いつもなにしてあそんでるの?」
 ブロックをつなげながら、ボクはなんとなく聞いた。
「さくちゃんのことをみてるよ」
「そうなんだー」

 

もっとみる
ボクのゴールデンなコロきゅう

ボクのゴールデンなコロきゅう

   3

 コロきゅうがエンチョーしたみたいだ。

 ゴールデンウィークがおわったら、がっこうに行けることになっていた。
 このあいだ、ボクのクラスの先生もでんわしてきてくれて、
「連休明けには、学校で元気なお顔を見せてくださいね」
 そう、いっていたのに。

「思ったより、感染者数が減っていないし、そうなりそうな気がしていたから驚かないけど、それにしてもねー。先が見えないってつらいな。とはいえ

もっとみる
ボクのゴールデンなコロきゅう

ボクのゴールデンなコロきゅう

  4

「さくちゃんは、なんども、生きてきたんだ。どれも、いっしょうけんめい生きていたんだよ」
 カメオツくんは、話した。
「前のボクは、どんなふうだったのかな?」
 ボクが聞くと、いろいろだよ、とカメオツくんはわらった。

「気になる! おしえてくれる?」
 そういったら、カメオツくんはまん丸の目をうごかした。

「小さなむらで、一番えらいひとだったこともあるよ。やさしくて、たたかいがうまくて

もっとみる
ボクのゴールデンなコロきゅう

ボクのゴールデンなコロきゅう

  5
 
 コロきゅうが、もうすぐおわるらしい。
 カンセンシャのかずがへってきたから、っておかあさんがいっていた。
 すこしずつ、みんな、そとにでかけられる。

「よかった。さくちゃんは1年生だから、早く学校にいけそうだよ。これでやっと、クラスのみんなに会えるね」
 おかあさんは、うれしそう。
「がっこう、いかなくちゃダメ?」
 ぼくがそういうと、そりゃね、とおかあさんはこまった顔になった。

もっとみる
ボクのゴールデンなコロきゅう

ボクのゴールデンなコロきゅう

  6 最終話

 ボタニカルな内装の店に入ると、リクトはすぐに見つかった。3Dグラスをかけてビールを飲んでいた。
「お待たせ」
 肩を叩いて知らせると、リクトは顔をこちらに向けて3Dグラスを外す。
「おつかれっす」
「何観てるの?」
「これ? 昔のアメリカのシネマ。最近はまってて。『アベンジャーズ』って知ってます?」
「観てないわ。でもあの時代のシネマっていいよな。けっこう丁寧に作られてて」 

もっとみる