「うつわ」を超越した白磁―「黒田泰蔵」展
梅雨が明けたばかりの猛暑日、大阪市立東洋陶磁美術館の「黒田泰蔵」展を訪れた。昨年11月の開幕を心待ちにしていたはずなのに、気づけば閉幕間近の7月。毎度のことではあるが、駆け込みになってしまった。汗だくの状態で美術館に入った。
黒田泰蔵は、輪郭線が薄くマットな質感が特徴の白磁作品で知られた作家だ。私が黒田作品に初めて出会ったのは、2015年の春、東京・六本木の森美術館で開催されていた「シンプルなかたち」展だ。黒田作品は数点しか出品されていなかったが、アーティストトークで黒田の