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題名読書感想文:12 児童書はうんこの聖域、そして激戦区

 題名だけで読書感想文を書くという横着の極みみたいなテーマをチラホラやっております。今回のテーマはもちろん「うんこ」です。

 うんこは極めて身近なものであり、特徴ありまくりのため、時代を問わずインパクトは絶大です。だから、年代を問わず、誰かは眉をひそめ、誰かは爆笑する、強烈な物体です。

 当然、それを扱った本はたくさんございますし、タイトルに持ってくるなんて一般常識レベルで世に溢れている現象です。

 震災が起きるたびに取り沙汰されますけれども、排泄物の処理は何かとつけて人類につきまとうテーマです。ですから、真面目に調査研究している方がいらっしゃいますし、書籍にして世間に啓蒙する場合もございます。

 本を出したら当然ながら読んでもらいたい。だから他人の目を引くタイトルにする。そうなると、どうしてもうんこ本を出す人類はタイトルでうんこに手を出してしまう傾向にあるんです。「学問のひとつとしてやってますよ」「真剣ですよ」みたいな本でもそうなんです。

 文学だったり経済学だったり、果てはうんち学も出版済みです。うんち学に至っては、入門をいざなっている。割とガチめな理系本が多い講談社ブルーバックスもうんこに手を出しているんです。

 うんこはその強烈なイメージのせいか、真面目に扱ってもなんか顔がほころんでしまう不思議な言葉となっています。だからなのか、タイトルにうんこが入っているだけで、様々な大人が心の奥底で密かにはしゃいでいる姿が白日の下にさらされた風に見えるんです。それは私のここまでの文章をご覧くだされば、十二分にご理解いただけるかと存じます。

 真面目ぶらずに、はしゃぎを前面に出す場合も当然あります。例えば、ダジャレを完備するパターンです。

 さて、うんこは多くの生命体にとって関係性が切っても切れない物体です。生きてる間は大体うんこをする。だから、年代を問わず理解してもらえますし、子供相手でも笑わせ、そして興味をひくものなんです。そのせいか、本の中で児童書は最もうんこを扱った本が多い。うんこの聖域であり、激戦区です。レッドオーシャンと言ってもいい。血便みたいな話になってますが、とにかく多い。そもそも「みんなうんち」という本があるわけです。

 「みんなうんこするんだよ」というメッセージが込められているのでしょうけれども、みんなをうんこ扱いして罵倒しているようにも読めます。

 「いちにちうんち」と韻を踏んだタイトルもございます。

 これは「みんな1日1回くらいするんだよ」という意味なのでしょうか。1日署長みたいな感じなのでしょうか。1日署長みたいな感じだと、やっぱり片隅でクタッと横になって夜を待つんでしょうか。

 擬人化は児童書でもよく使われる技法のようでございまして、当然ながらうんこにも適用されます。何なら「うんこちゃんけっこんする」のように、うんこが婚約する本もあります。

 「大体の生物が生きていれば勝手に増えるうんこに結婚の必要はあるのか」という疑問はもちろん野暮の中の野暮です。あらすじを見ると、うんこちゃんが人間に想いを告白するストーリーのようです。とりあえず、結納をどうするのかは気になります。

 eスポーツなどを見てもお分かりの通り、世の中は何でも競技化する流れがあるようです。うんこだって油断はできませんで、「だれのうんちがせかいいち?」の通り、世界選手権が既に開催されているようです。

 参加対象者はうんこをする生命体全てでございますから、これはもうオリンピックとは次元が違います。文字通り異種格闘技戦です。陸上競技が様々な部門に細分化されているように、うんこ競技でも細分化が進んでいると推測されます。

 うんこは子供が興味を持ちがちなため、うんこを入口にして学習に繋げようという魂胆が昔からございます。もはや王道と言ってもいい。生命活動の根幹であるためか、特に生物学方面との相性がいいらしく、その手の本もしばしば出版されているようです。

 そこで注目されるのが、うんこを主食とする生物です。微生物のような分解者ならともかく、人の目に見える大きさの生物ですと、出す側より食う側のほうが圧倒的に少ないため目立ちます。生命の不思議さを痛感できる題材のため、本になりやすい。

 しかし、タイトルが「うんこ虫を追え」です。こんな任務を背負った少年、もしくは少年だった大人はニッコニコで遂行するでしょう。何なら、少女、または少女だった大人もそうかもしれません。

 「うんこを食べる生き物」という事実にフォーカスしたタイトルもあります。

 敢えて食べることを強調したのは、「みんな『食べもんじゃない』と思ってるかもしれないけど、食べるやつだっているんだよ」との主張によるものだと考えられます。同時に、「食べもんじゃない」という先入観を利用して目立たせようともしているのでしょう。

 一部のうんこ本を取り上げただけでこの量ですから、当然ながらうんこの図鑑も出版されています。何なら「うんちくいっぱい 動物のうんち図鑑」と、こちらもダジャレ完備です。

 ところで、うんこと向き合うのは日々の排便だけではない場合もあります。例えば、伝統的に農業をされている方が該当します。肥料としての活用ですね。しかし、「鶏糞を使いこなす」のように、「特定の生物のうんこをどう使うか」一本にしぼった本はなかなか珍しいと思われます。

 鶏糞もまた肥料として長らく活用されてきた、歴史あるうんこです。上記の本を読んで一人前の鶏糞使いを目指す人が日本のどこかにいるかと思うと、延々とはしゃぎしたくなってしまいます。ただ、果てのないはしゃぎは身体によくありませんので、今回はこの辺りでお終いとさせていただきます。

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