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【小説紹介】この春摂取したコンテンツ、全部書く【映画紹介】

こんにちは、大学一年生のOwlCatです。

大学に入学して2か月以上経過し、気温も授業出席難易度も着実に上がっていてとても気分が悪いです。

ただ、受験期よりは精神的余裕がだいぶ増えたので、映画や小説の世界に没頭することもできるようになってきました。

せっかくコンテンツに触れる回数が増えたということで、この春に摂取したコンテンツの感想などをつらつらと書いてみようと思います。

どこぞのドラゴンには頼らず、自分の声でスキを伝えてみせます。


3月/映画

デューン 砂の惑星PART2

3月最高の映画!!
もはや一本のSFというよりは神話
「世界観」って言葉が一番似合う。良すぎる。
見てる間ずっと圧倒されっぱなしでしばらく何の感想も出てきませんでした。
やべーかっけーしか言えない。
最高

14歳の栞

サブスクNG・円盤化NGという異色のドキュメンタリー
この作品は登場人物が全員実在の中学生で、未成年の権利を保護するために特殊な対応が取られています。
「これどうやって撮影したの!?」ってレベルの距離感で中学生の何気ない生活に迫っており、ノスタルジーでずっと死にそうになれます。
今まで見たドキュメンタリーの中でもトップクラスに好きかも……。

PERFECT DAYS

めちゃくちゃシブい役所広司が見れて満足!
淡々とした「完璧な生活」と、ゆっくりと変化する「その周囲の世界」の重ね方が本当に美しい。
マジで撮り方が美しすぎて、巨匠ヴィム・ヴェンダースの巨匠たるゆえんが端々から伝わってきます。
好きなシーンはいくつもあるんですけど、終盤の役所広司のどアップシーンは「映画館で見れてよかったー!」と心から叫んじゃいました。

うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー

往年の名作ループもの
誰もいない東京の夜の雰囲気が良きでした。
あとやっぱり例の亀のトンデモサイズ感がすごい。
原作者の高橋留美子氏がこの映画にブチギレたという都市伝説がずっとあったんですけど、「実は怒ってない」という新情報がつい最近出てきたようです。

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章

「デ」が8個も入っていてお得。

主人公組の配役が完璧すぎてめちゃくちゃビックリしました。こんなにぴったりな声優のチョイスあるんだっていう。
原作とはかなり構成が変わっているものの、感情を揺さぶるシーンには原作以上にスポットライトを当てているので、ちゃんと泣きそうになりました。
「知ってるよ!」のとこ、ヤバい。

4月/小説

新世界より(上/中/下)

貴志祐介作品の中でも特に超長編で知られる作品。
文庫本で上中下巻に分けられるレベルの長さですが、文体が読みやすいので意外とスラスラいけます。(最初の説明パートはちょっとキツいかも)

屍者の帝国

言わずと知れたSFの名作。
ハズれるわけがないですね。

こういう「あちこち巡りながら一つの結末に収束していく」系の冒険SFを啜って大きくなったので、DNAレベルのワクワクを感じながら一気読みしました。

インストール

なんかもう、上手いしかでてこない
『蹴りたい背中』もそうですが、語り口で「女子高生」を表現しているのがとんでもなく高度で……。
主人公が抱える「自傷ではない、モヤモヤとした悲観的な感情」を、自分も高校の時に経験してなんならそのまま大学まで引きずっちゃってるなと気づかされ、少し切なくなりました。

明るい夜に出かけて

この本に限らずですが、とても僕の語彙力で語れるものではないので、とにかく「良かった!」しか言えないです。
コンビニとラジオを中心にした、主人公の狭い夜の世界が、ちょっとずつ広げられていく様子がとても良い。
「都会はどこを歩いても、コンビニからコンビニへの旅になる。」という表現が特に好きで、たまに見返してます。

アクロイド殺し

アガサ・クリスティの代表作。
古い作品というイメージしかなかったのですがめちゃ面白かったです。
事件の真相以外にも登場人物全員が何かしらの秘密を抱えていて、それが事件の推理とともに暴かれていく展開が現代でも余裕で通用するレベルなので本当に恐ろしいです。

黒牢城

『氷菓』などで有名な米澤穂信氏がついに直木賞を受賞した作品。
主人公がめちゃくちゃ頭がキレる上、登場人物が超有能な武将ばかりなのでとんでもなく高度な推理ゲームが展開され、本格ミステリのエッセンスが濃縮エキスになって流れ込んできます
「武士道」と「武将の覚悟」によってキャラの行動が推定されるというのが新鮮で、日本史好きの自分にとってはかなりハマる作品でした。
黒田官兵衛、天才すぎ。

アリス殺し

ずっとめちゃくちゃな夢を見ているような感覚に浸れる、特殊ミステリ。
夜中に一気読みしたのですが、その日の夜に本当にわけわからない夢を見ることができて満足しました。

羊と鋼の森

とっても良い小説。
小学生みたいな感想しか出てこないのですが、とっても良い小説だったのでこう言うしかないです。
「周りの人から全てを吸収して、純粋に自分の職に向き合って少しづつ成長していく主人公」が一番良いですから。

4月/映画

gifted ギフテッド

子役が天才。
すんごい演技力。
ギフテッドの役だけど、端々に幼さを残して演じているのが上手すぎて。
あと、法廷で祖母が喋る長台詞シーンの圧が凄くてとても好きです。
いい映画でした……。

オッペンハイマー

2024年春の映画の中でも特に注目を集めた、クリストファー・ノーラン最新作。
一人の科学者の半生を通して、「いま私たちが生きている世界」がどんなものなのかを伝える。

結構登場人物が多いので、人名だけでも予習して見ることを強くオススメします。
「難解」という感想を見かけますが、人名(役職)を把握していればかなり分かりやすくなります。
原子爆弾の開発が主題の一つではあるのですが、一番重点が置かれていたのはあくまでオッペンハイマーの「栄光」と「没落」でした。
テーマとしては結構シブいため今までのノーラン作品とは一線を画しているのですが、映像の魅せ方がとても丁寧なので最後まで釘付けにさせられます。
特にオッペンハイマーの心象風景の演出が凄くて、観客がひたすら音にさいなまれ続けることになりめっちゃキツい。
凄いコメントの難しい作品なんですけど、自分としてはとにかく見てよかったと思います。

ちなみにこの映画のために、人生で初めて「グランドシネマサンシャイン池袋」のIMAXレーザー/GTテクノロジーのスクリーンに行きました。
日本最大のスクリーンとのことですが、実際に見るとちょっと笑っちゃうくらいデカくて最高でした。

リズと青い鳥

素晴らしく繊細な作品でした。
人の無意識の所作を見落とさずに描き込んでいるのが、京アニらしくてとても良かったです。
あと、学生特有の空気感というか距離感が凄くリアルに感じました。自分は女子高生の会話なんて知る由もないんですけどね……。
何より演奏が圧巻。終盤の全力の演奏は、画面を通してこちらの空気まで震わせてくるような感じがしました。

JUNK HEAD

7年間、監督がほぼ一人で作り上げたという壮絶な制作秘話で有名な作品。
まず驚かされたのは、ストップモーションの細かさでした。
上映時間101分という長さもあって、ある程度カクカクした「ザ・ストップモーション」的な動きを想像していたのですが、めちゃくちゃ滑らかな上に複雑な動きも多くてガッツリビビらされました。

何より好きなのが、妙に有機的なアイテムの数々。
機械やコンクリートに囲まれた無機質な世界観に、肉感の凄いクリーチャーや食品(?)がポコポコ出てくるため、非現実感が凄くてかなり没入できました。
何かの肉体みたいな物体で食べ物を栽培している様子が特に好きです。ああいうのどうやったら思いつくんすかね……。

名探偵コナン 100万ドルの五稜星

春の興行収入ランキングを一瞬でかっさらった、毎年おなじみのコナン映画。
ぶっとんだキャラが年々増えてきているせいか、もう主人公サイドが大犯罪者だろってレベルでめちゃくちゃしてるんですけど、このお祭り感が「劇場版だな~」と感じれて好きです。
ラストの「あの展開」にはめちゃくちゃ驚かされました。
この映画はエンドロール後のためのものと言っても過言じゃないです。

アンテベラム

大傑作!!!
4月に見た映画の中でもイチオシの作品です!
これの感想言うために、しばらく続けていたネット絶ちを終わらせました。

注意:公式のあらすじ・予告動画がネタバレ気味なので見ないようにしてください
(ちなみに、ポスターがホラーテイストですが一切グロいシーンはないです!)

何か言ったらネタバレになりそうなのでほぼ何も言えないのですが、本当に、吐き気がするほどの衝撃を覚えました。
上映時間は106分と短めですので、是非見てみてください。

僕のワンダフル・ライフ

主人公のワンコが、何度も生まれ変わりながら様々な出会いと別れを経験していく物語。
全ての犬好き(動物好き)にオススメしたい良作!
……なんですけど、作品の性質上何度も犬がお亡くなりになるのでキツい人にはキツいかもしれません。
あと、人間サイドも結構不憫な方が多いです。

そんな悲劇もある分、ラストの感動はひとしお!
自分は根っこからのネコ派なんですけど、見終わるころには「犬もかわいいな……」と完全にほだされてしまいました。
動物って最高。映画って最高。

メメント

クリストファー・ノーラン監督の出世作である時間逆行ミステリー
ちょうど再上映を行っていたので渋谷のミニシアターで見てきました。
こだわり抜かれた心象風景演出、綿密に積み上げられたプロット、どれも「ノーランらしさ」抜群で終始面白さが止まりません
劇中で起こる出来事や主人公の過去など、要素を色々取り出すとかなり複雑なのですが、それを113分で完全に説明しきってしまうのが凄すぎます。
全ての謎が明かされてからのラスト、エンドロールへの入り方も完璧
しばらく余韻から抜け出せませんでした。

5月/小説

屍鬼(上/下)

今新品で売られているのは文庫本のみ(?)らしいのですが、今回は単行本で読みました。
上下巻合わせて1200ページ超え、文庫版だと5冊に分割されるレベルのよくばりボリュームなのですが、先の読めない展開が最後まで続くので最後まで惹きつけられました。
何よりも「いつ終わるか分からない不穏感」「徐々に悪いものに侵食されていく感覚」をこんなにたっぷり味わえる小説は他にはあまり無いと思います。
登場人物の数もこれまたボリューミーなのですが、その分自分が「村」のコミュニティに閉じ込められてしまうような、狭いコミュニティの閉塞感をそのまま体験できるという良さがありました。
個人的には、単なるホラーというよりは緻密な群像劇なのだと思います。

最後、読み終わった日はかなりキツイ悪夢を見ました

隻眼の少女

久しぶりに本格ミステリーを浴びました。
「温泉町で巻き起こる連続殺人」みたいなテーマは古今東西でやられまくっているのですが、この作品はとにかく「驚愕」としか言いようのないラストで他のミステリーと一線を画しています。
実は多重解決的な側面もあるので、『名探偵のいけにえ』みたいなミステリーが好きな人には特におすすめです。
不気味な犯行の数々が、超高度な推理によってどんどん姿を変えていく様は圧巻。
そして繰り返しになりますが、ラストで全てをひっくり返してくれます。

黙過

命の最前線を舞台に、倫理の壁を問う医療ミステリー。
下村敦史氏の作品は初めて読んだのですが、超絶読みやすくてビックリしました。
この方の作品は肌に合うのかもしれないので、今後も色々読んでみたいです。

いくつかの短編に分かれている本作ですが、その中でもやっぱり最後の短編が印象に残りました。
謎は明かされても読者への「問い」は残るというのが少し新鮮かもしれないです。
読んだ感想は人によって様々だと思いますが、自分は倫理の壁がどれだけの厚さを持っていたとしても結局科学は進み続けるんだろうなと感じました。

風が強く吹いている

大大大傑作。
文章でこんなに人を震わすことができるなんて。
多分今年読む中でもトップクラスに好きな本になりました。
感想が全然言語化できないのですが、三浦さんの落ち着いた美しい文体から、急にバチバチにアツい展開が挟まって一気に物語が加速する瞬間がたまらなく最高です。
終盤は特に興奮でおかしくなりそうでした。

天使の囀り

どんどん読者を狂気にからめとるような、えげつない不気味さがずっと続く怪作でした。
数あるホラー小説の中でも、生々しいグロ演出の「濃度」がヤバくて、読んでてずっと嫌~な気持ちになれます。
ずっとホラーなんですけど、文体が大変読みやすいので結構スラスラ呑み込めちゃいます。そのぶん後から気分に影響が出てきますが……

片目の猿

ハードボイルドな文体がクセになる作品。
まさに小説でしかできない表現を盛り込んだミステリーで、中盤以降の急展開がとても良かったです。
出てくるキャラクターたちがどれも印象的で、もっと長く読みたい!と思わされます。それぞれのキャラの過去も知りたい……。

鬼の跫音

2連続で道尾秀介。

うおー、怖い。
超短い短編集なのにしっかりオチで「落としてくる」のがニクい。
中でも『よいぎつね』という収録作が一番好きで、これは「主人公が故郷に戻って、過去に主人公が犯した罪を追憶していく」という話なのですが、この「過去の罪」が主人公を追い詰めていく演出がめちゃくちゃ良かったです。

本作はちょっと小説が苦手な人でも読みやすいボリューム感なのでぜひ気軽に手に取ってみてください。

推し、燃ゆ

あんまり純文学を読めてないので、とりあえず有名な本を読もうと思って手に取りました。
聞いていたよりもずっと良かったです。
純文学って多分読んでもらわないと伝わらない良さが多すぎて、とても感想なんて書きようがないんですけど、思春期の薄っすらとした「破滅しそう感」の描き方がめちゃくちゃ好みでした。(『インストール』に通じるものがあります)
特に最後の文章が好きすぎて、しばらく頭から離れそうにないです。

体育館の殺人

ロジックがバカ強い最強学園本格ミステリー
もう徹底的に、一点の曇りもなく犯行を解き明かしていくのが爽快!!

タイトルの通り、この作品は体育館で行われた密室殺人の謎を解き明かしていくシンプルな「ザ・王道」のミステリーです。
最近増えている特殊設定ミステリと比較するとむしろ珍しいくらいの印象かもしれません。
が、それこそがこの作品の良さ。
なんていうか……あえて具をなくした高級ラーメンみたいな感じです。
麺とスープだけで勝負していくラーメン屋があるように、本作ではある「一つの証拠」を武器に全ての謎をひっくり返していきます。
ずっと迷路に入り込んでいくような事件捜査が一瞬で解決に向かってしまう、本格ミステリの醍醐味をガッツリ食らうことができるんです。これが読んでてめちゃくちゃ楽しい!!
続編もミステリ業界で高い評価を得ているとのことなので、早いうちに読んでみたいと思います。

リバース

嫌すぎ。
マジで嫌な気分。
「イヤミスの女王」ってワードが本当にふさわしいと実感できる一冊です。

内容は「主人公の過去を告発する文書が突然送られてくる」というもの。
全体を通してずっと嫌な空気なのですが、徐々にその不穏さが重量を増していくので読んでてずっとハラハラさせられます。
読み終わってからの余韻がヤバい……。

5月/映画

悪は存在しない

今年見たコンテンツの中で一番悩まされた作品
ずっと自分の中で評価が定まらなくて、ただ「とにかく凄いものを見せられた」という衝撃が1~2週間くらい残り続けました。
確実に、少し自分の価値観が変化してしまったという実感があり、そういう意味でもかなり記憶に残る作品でした。

この映画の面白いポイントはいくつもあるんですけど、自分の言葉で語れる一番の面白さは「キャラクターの会話劇」です。
全く特殊なシーンではない、何気ない車中シーンとかの会話で映画館の観客が笑う。
芸人の寄席とかではなく、普通静かにしていなければならない映画館で思わず笑いが起きる。これってめちゃくちゃ凄くないですか。
しかも演じているのは芸人でも人気俳優でもない、映画初出演者ばかり
つまり、「普通の人」がやるような素の喋り方を完璧に映画内に落とし込んでちゃんと面白いシーンをつくっていることになるので、その凄さはもう想像がつきません

そして、この映画の一番肝となる部分は僕の語彙力じゃ絶対表現できないので、是非実際に見てほしいです。
上映時間も106分と短めですし……。

正直かなり人を選ぶ作品ではありますが、間違いなく傑作だと僕は思いました。

おしまい

というわけで、僕がこの春に見たコンテンツは以上です。
数えてみると映画が14本、小説が21冊という結果になりました。

中間・期末の試験が近づいているので、今後は現実に向き合う時間も増やしていくことになりますが、夏休みにはまた色んな作品と出会うことができると思います。
その時にはまた、備忘録代わりに感想noteでも書こうと思います。

それではさようなら。


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