人間の彼氏はいない。Jリーグが彼氏だ
「彼氏いない歴=年齢」がいよいよ洒落にならない年齢になってきた喪女(モテない女性)、須羽リセル。
これまで異性とお付き合いしたことも告白されたことも、人生の中で一度たりともない。
私がサッカーJ2ヴァンフォーレ甲府サポーターであることを知っている友人は、みな口々にこう言う。
「出会いならスタジアムにたくさんあるでしょ!?」
私もそう思っていた。
スタジアムには人がたくさん集まるから、いくら喪女の私でもそのうちにサッカー好きの彼氏ができると思っていた。
しかし世の中はそんなに甘くない。
歳を重ねても垢抜けず、性格は明るく見えて実は根暗で卑屈。時に相手を引かせるほど人との距離の詰め方が下手だ。
そのような人間がJリーグサポーターになったからといって彼氏ができるわけではない。
喪女はどこに行っても所詮喪女なのだ。
しかし今の私は特に彼氏を欲してはいないし、気持ちは満たされている。
むしろJリーグが彼氏だ。
これは生粋の喪女・須羽リセルに、Jリーグという彼氏ができるまでの物語である。
甘い関係を夢見て、夢で終わる
「須羽さん、ちょっと気になったから声かけてみたんだけど」
照れつつもまっすぐ私の目を見て、大学の同級生である男子生徒はそう言った。すっきりと整った顔立ちの好青年だ。
ここから先は
5,161字
スポーツと旅を通じて人の繋がりが生まれ、人の繋がりによって、新たな旅が生まれていきます。旅を消費するのではなく旅によって価値を生み出していくことを目指したマガジンです。
毎月15〜20本の記事を更新しています。寄稿も随時受け付けています。
OWL magazine 旅とサッカーを紡ぐWeb雑誌
¥700 / 月
サポーターはあくまでも応援者であり、言ってしまえばサッカー界の脇役といえます。しかしながら、スポーツツーリズムという文脈においては、サポー…