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「編みかえ」したセーター

 こんにちは、owarimao です。
 このあいだ「昭和のお母さんは毛糸を何度も編みかえて子どもに着せていた」という話を書いたところ、多くの方から関心をお寄せいただきました。

 下の写真は、私が実際にほかのセーターをほどいて編み直した作品です。

 もとは何だったかというと……
 だいぶ前、棒針編みの通信講座を受講していました。そのとき課題で編んだ「ハイネックのプルオーバー」です。下の写真はテキストに載っていたお手本です(私の作品ではありません)。

 いかにも「基本的」な形のセーター。原形をもとに自分サイズの製図をして、目数段数を割り出して編みます。袖山に合印をつけて、いせこんで、待針をたくさん打ってから縫いつける、いわゆる「セットインスリーブ」の袖付けをしています。手間がかかるんですよね〜。前中心の模様のほかに、よく見ると全体的に小さな交差模様が散らばっています。
 ちゃんと仕上げるには仕上げたのですが、私はなぜかこの作品がぜんぜん好きになれず、ほぼ一度も着ませんでした。
 やっぱり「課題」として作らされるものは、自分が本当に編みたい、着たいと思うものとは違うのです。こっちのセーターのほうが技術的には高度なことをしているのに、かえって野暮ったく思えてしまうのだから、服というのは難しいものです。
 編みかえたほうの作品は、『毛糸だま』2017年夏号に載っていたサマーセーター(89p.掲載。デザイン:yohnKa) をお手本にしました。
 本来サマーセーターとしてデザインされたものを、あえて太い毛糸で編んだのです。理由は「袖の短いセーターが欲しかったから」。主婦は袖をまくって水仕事をすることが多いので、袖が長いと邪魔になります。またハイネックのセーターは、首のところが肌に直接触れるので汚れが気になります。だから「袖短め、襟ぐり大きめ」。寒ければマフラーやアームウォーマーをつけることにします。
 ただし、素材を変えたことでマイナス面も出てきました。
 このセーターはすその部分が二重になっていて、その一部を縫い止めてポケットにしてあるのがデザインポイントです。
 お手本よりも太く張りのある素材を使ったため、折り返したすその部分にヴォリュームが出すぎたのです。着ているうちにだんだん気になってきたので、ほどいて目数を減らし、模様編みの部分とあまり幅が変わらなくなるように調整しました。面倒でしたが、これをしなかったら、このセーターもやっぱり着なくなってしまうだろうと思ったので。
 全体の形とポケットのほかに、もう一つ気に入っている点があります。それはこの地模様。

 図の上では裏編みの三角が並んでいるだけなのに、実際に編むと表編みの縦縞が現れます。また三角の向きが変えてあることで、陰影の微妙さが際立ちます。ビルの窓に光が当たってキラキラ輝いているみたい。こんなふうに、図からは想像できないような編地になる模様が大好きです。

 ちなみにこの模様は、裏から見ても魅力があるんですよ。

 裏から見ると縦縞はなくなって、立体感のある四角が重なっているように見えます。編物の不思議さが感じられます。
 ちなみにこの模様(裏から見たほう)は、ベルンド・ケストラーさんの本にも収録されており、これを使った三角ショールの作品が掲載されています。↓

日本文芸社、2020

 遠目にはマス目に見えて、近寄ると三角模様のジグザグパターンも魅力的。

『ベルンド・ケストラーの 表編みと裏編みだけの模様編み』日本文芸社、2020

 ほんとにそうですよね!
 編みかえたセーターは、この冬もしょっちゅう着ていたので、少し毛玉が目立ってきました。でもこれからも大事にしたいと思います。
 ところで、着ていない課題作品はまだ何点もあるんですよね。全部編みかえるのは大変だな……。

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