「日本人」という型に私を押し込めないで 〜マイクロアグレッションの話〜
「ハーフだからかわいいね」
「(日本在住の外国人に対して)日本語上手ですね。」
巷でよく耳にする言葉だと思います。
でも、悪意なく、なんなら褒め言葉として言ったつもりのこんな言葉が人を傷つけてしまう可能性があること知っていますか?
私は留学前にこの話を知ってはいたのですが、何が辛いのか、何がいけないのかをわからずにいました。
しかし、留学中に同じ類のことを経験して、その痛みがわかるようになりました。
今回は、そんなテーマについて書いてみたいと思います。
留学中に、日本を好きな人に会うことが度々ありました。
それは本当に嬉しいことで、私も喜んで日本について説明していました。
また、その人達は日本文化や日本人の傾向についても詳しくて、色々と知っていることを伝えてくれました。最初は日本のことをよく知ってくれていて嬉しいと思っていました。
「君は日本人だから、綺麗好きだね!さすが!!」なんて言われた時には、自ら「日本人」としての型にハマれるように行動をしてしまうことすらありました。
しかし、文字通り「全て」の私の行動の理由を「日本人だから」「アジア人だから※」に帰結させようとしてくる人が2人いました。いずれもアジア人でした。
(※「アジア人だから」と言ってきたのはいずれも、日本のことが本当に大好きなアジア人による同族としての親しみを持っての発言です。)
「抹茶と紅茶、どっちが好き?日本人だから抹茶だよね?」
「君はパーティーは嫌いだよね?行かないよね?だって僕らアジア人じゃん」
「西洋風の城を見たことないでしょ?だって君は日本人だし、日本にはないでしょ?」
「(博物館でレポート作成のための写真をたくさん撮っていたら)君はアジア人女性だからめちゃくちゃ写真を撮るんだよね。アジア人の女の子は何でもかんでも写真を撮るからね笑笑」
などなど、例をあればキリがありません。
文字通り一挙手一投足を取り上げては、
「今のって日本人だからだよね!」とか「アジア人だからだよね」と言いました。
日本好きが興じて言っていることはわかっていました。
また、アジア人としての共通点を見つけられて嬉しかったのだとも思います。
そのため、たとえ違和感を覚えても、最初のうちは気にしないようにしていました。
しかし、その人に会う度に毎回毎回同じようなことをされるので、だんだんストレスに感じるようになり、疲れました。
ここで、全ての行動の理由を「日本人だから」に結びつけられる息苦しさが、いまいちピンと来なかった方もいるかもしれません。
では、日本での日常に置き換えてみましょう。
「赤と青どっちが好き?女の子だから赤だよね」
「男の子なのに、甘い物好きなんだね」
「O型だから大雑把っしょ?笑笑」
「女の子なのに、いっぱい食べるね」
「末っ子だから甘やかされたでしょう」
これを毎回会う度に、しかも全ての行動に関してやられたら、結構メンタルにきませんか?
自分にはどうにも変えられないような事柄を理由に、全ての行動の動機づけをされる。
これに違和感を覚え始めた頃は、「人によるよねー」と言ってかわすようにしていました。
しかし、
日常的にそれをされて、
でも悪意はないことはわかっていて、
それでもやっぱりストレスに感じてしまい、
しまいには相手に苛立ってしまう自分自身に苛立ち、、
どうしても耐えられなくなった時に、
「国籍で人を決めつけない方がいいよ。」
と勇気を出して伝えました。
やはり相手にも悪意はなかったようで、その時は謝ってくれました。
それでも同様のことがまたあったので
「あなたっていつも私のことを日本人やアジア人としての型に押し込もうとするよね。」
と伝えました。
しかし、それでもまだよくわかっていないようだったので、これはきっと自分がやられてみないとわからない類の痛みなんだろうなと思いました。
私が日本にいた頃はその痛みを理解できなかったのと同様です。
その痛みを知る機会が無かったのは幸運であり悲運でもあると思います。
なぜなら、自分が嫌な思いをせずに暮らせていた証拠であるとともに、人を傷つけている可能性に鈍感であったことを示すからです。
さて、この出来事を私の親友に相談したところ、
「マイクロアグレッション」
という言葉を教えてくれました。
マイクロアグレッションとは、
人と関わるとき、相手を差別したり、傷つけたりする意図はないのに、相手の心にちょっとした違和感や嫌悪感や不快感を与えてしまう言動や行動をしてしまうことです。
私の経験した一連の出来事には、マイクロアグレッションという名前があったことを知りました。
私が思いつく解決策としては
もし相手と自分が特に親しくない間柄(たまたま居合わせた人や友達の友達)の人に短期間だけ言われたのなら
気にしない
ぐらいがちょうどいいのだと思います。
私だったら、真剣に捉えすぎずにスルーします。そういう人もいるんだなーって。
ただ、お互い注意できるような間柄の人や身内が同じようなことをやっていたら、注意するかもしれません。
それは、私自身が身内や、身内のように感じられる人には、ちゃんとしてほしいと思う人間だからです。
これは個人的な解決策であって、誰にとっても当てはまる正解という訳ではありません。
みなさんも自分だったらどうするかを考えてみてください。
それがあなたの答えだと思います。
本日もご覧頂きありがとうございました!
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