見出し画像

2021年 プロ野球 順位予想(短評込み)

(セ・リーグ)

6位予想 ヤクルト
投…FA行使せず残留したエース小川が順当に開幕投手に指名されたが、「他にいない」というのが正直な所だろう。小川→田口→奥川→スアレス→高梨→ルーキー山野 で当面は行く事になるだろうが、経験不足の奥川を三番手に持って行かざるを得ない所がヤクルトの台所事情の厳しさを雄弁に物語っている。ベテラン石川、ルーキー木澤、寺島、金久保、歳内、不確定要素の高い新外国人サイズニード及びバンデンハーグ(五輪との絡みも含む)と頭数はいるが、安定した投球を計算出来る選手が余りにも少ない。
中継ぎは、マクガフ→清水→石山が勝利の方程式か。他には星、原、或いは長谷川、近藤、今野、宮台といった、言わば他球団をお払い箱になった選手に期待せざるを得ない現状であり、接戦にもつれ込んだ場合、競り負ける可能性が高い陣容。
打…捕手は中村or西田、二遊間は山田と西浦、左翼は青木でほぼ確定。オープン戦で存在感を示した内川が一塁、三塁は村上の起用が濃厚。中堅と右翼は坂口と塩見か。塩見が通年で成績を残せるか期待したい所。新外国人のオスーナとサンタナの早期合流も望まれる。
(まとめ)
投手陣の薄さは語るまでもなく、オープン戦を観る限り、チームバッティングに徹する姿勢や、小技を駆使すると言った「弱者の野球」に徹する意識が感じられず、昨年からコンディションの不調を度々訴えている山田が離脱した場合、上位浮上の目は皆無。アピールをしていた期待の若手の濱田がシーズンを待たずして離脱した点も含め、以前より懸念されていたメディカル面のケアが疎かな点は解消されていない。
また、高津監督を始め、宮出、衣川、ユウイチ、伊藤智と首脳陣の力量にも疑問符が付く。加えて青木、坂口、雄平等々高齢化も進んでおり、開き直って若手を積極的に起用し、中長期的な戦力の底上げを図るのが賢明と考える。

5位予想 DeNA
投…開幕投手に指名されたのは濱口。ラインナップは平良、大貫、京山、上茶谷、ルーキーの入江といったところか。まずまずだが、エース今永と東の不在は明らかに痛い。仮に誰かしらが不調に陥った場合、代わりになる代役も見当たらず厳しい。
中継ぎは、三浦新監督の構想を踏まえると、石田→ヤマヤス→三嶋の方程式だが、ヤマヤスが今年はどうか。伊勢、坂本、飯塚、砂田、国吉と駒は揃っているが、ピープルズ、ロメロ、エスコバーの不在は痛い。早期の合流が望まれる所。
打…捕手は組む投手や打撃の調子に合わせて嶺井と戸柱の併用が考えられる。二遊間は大和、柴田、田中俊、中井辺りか。梶谷が抜けたセンターは神里が濃厚。三塁は宮崎、一塁は本職では無いがルーキーの牧で当面は賄う形だろう。左翼は佐野、右翼は神里との兼ね合いで桑原や関根が担う可能性大。楠本や細川といった期待出来る選手はいるものの、未だ厳しいか。
(まとめ)
課題は二つ。
・ピープルズ、エスコバー、ソト、オースティンといった計算の立つ外国人選手が不在のままシーズンに入るのは厳しい。特に長打の面でソトとオースティンに依存する部分が大きいチーム編成を見ると、相手投手に掛かるプレッシャーが低減されるのは大きなビハインドとなる。一発の危険性の低いバッターが少ないと相手にとっては与し易い。
・昨年まで二軍監督の三浦大輔新監督の力量。投手交代や、DHの無いセ・リーグでの代打起用、投手交代のタイミングといった、勝利の為の(場合によっては)非情の決断を迫られる局面での、勝負師としての勘所が試される。しかしながら、三浦氏の優しさが勝負に於いてはマイナスに働く可能性がある。

昨年オフにFAで共に巨人に移籍した梶谷、井納両選手の穴はさほど感じられないが(寧ろ世代交代のトリガーになるとも考えられる)、選手・首脳陣の経験値という所や、実績のある選手で計算の立たない点が多く、且つ頼れる助っ人が開幕時点で不在となると厳しい船出となる事は間違いない。

4位予想 広島
投…開幕投手に指名されたのは、昨年故障で無念のシーズンになった大瀬良。彼を中心に、昨年の新人王の森下、九里、野村、床田、中村or遠藤が想定されるが、気掛かりなのが、昨年の過密日程でかなりの球数を放った森下や九里の疲労が抜け切れているか。
中継ぎは今年の広島のアキレス腱と言ってもいいだろう。昨年の中継ぎ防御率が悪化した事がチームの順位の沈んだ一番の要因。塹江、島内やケムナの頑張りは注目に値したが、16年〜18年の三連覇の功労者、中崎、一岡、今村の三選手は老け込むにはまだ早い。切に復活を期待したい。しかし、佐々岡監督のコメントから推察するに、ルーキーの三投手(栗林、大道、森浦)を中継ぎ及び抑えで起用するとの事から、実績組の復活は期待薄か。如何せんプロとしての実績の無い選手に頼らざるを得ないという事は、チームの窮状を顕にしているとも言えるだろう。フランスアの出遅れも厳しい。
打…捕手の中心は會澤、二遊間は菊地田中、センターは西川がほぼ確定(ショートはルーキーの矢野の出番も考えうるが)。ライトは鈴木誠也で確定。個人的に今年の新外国人で一番の注目のクロンに関しては、仮に今年芳しい成績を残せなくても、来年以降に開花する可能性があると思われる。日本野球へのアジャストの意欲とハングリー精神が感じられる。
昨年復活を遂げた堂林の出遅れでサードにクロンが回る可能性もあるが、松山の、打撃はまだしもファースト及びレフトの守備には不安があり、堅固な守りと機動力を武器にセ・リーグを牽引したかつてのカープの姿とは程遠い。
残ったレフトは守備面を考慮すると大盛、打撃なら坂倉が有力か。
(まとめ)
キャンプから、羽月、林、正随、宇草等々の若鯉のアピールがもう一つ。安倍、三好、野間も含め現有戦力の底上げが成されたとは思えない。ただ、期待のフレッシュな若手投手が躍動すれば、CS進出の枠に滑り込む可能性はあると見る。若鯉の成長が今年のカープの成績に直結すると言っても過言では無いだろう。

3位予想 阪神
投…セ・リーグ随一の布陣を備えていると思われる。サプライズで開幕投手に指名された藤浪だが、一年間ローテーションを守れれば、自ずと結果はついて来るはず。藤浪、秋山、青柳、西(勇)、ルーキー伊藤or若手の西(純)、或いは岩貞や馬場を配置転換出来る程充実している(チェンは恐らく復活出来るかと)。
中継ぎは兎にも角にも守護神のスアレスの残留が大きい。岩崎、外国人枠の絡みもあるが、ガンケル、エドワーズや昨季低調だった守屋、加治屋も勝ちパターンの一角に組み込めるレベル。オープン戦の末に小野が復活したのも追い風となるだろう。
打…センターラインから見ると、捕手は梅野を中心に、坂本と原口で必要十分。原口は代打としての活躍も見込まれる。しかし阪神の大穴は二遊間。昨年のオフに金銭トレードで山本を巨人から緊急補強した状況からも首脳陣の危機感が窺い知れる。セカンドはほぼ確定で糸原が務めるだろうが、彼は守備範囲にやや難があり、更に大きなポイントはショート。レギュラー最右翼は木浪だが、個人的にはルーキーの中野を推したい。植田、熊谷、北條は一軍の戦力としては厳しいか。期待の若手の小幡は鳴尾浜で今年はフル出場させて経験値を積ませるのが最善と思われる。
センターは守備面で少々の不安はあるものの、打撃と走塁面を考えると近本。両翼はルーキー佐藤とサンズ、守備面の不安はあるが一塁はマルテで確定だろう。
キャンプ及びオープン戦でのアピールが成功した陽川と板山の台頭にも期待。場合によっては、ベテラン糸井や高山、中谷の用兵も考えられる。
(まとめ)
ホームの甲子園(京セラの場合もあるが)は内野が土、外野が天然芝と守備の面では難しい所はあるが、昨年ワーストを記録したエラー、即ち相手に隙を如何に見せない事がリーグ制覇の鍵になる。逆に、相手のチームの隙を突くようなクレバーな野球が出来るかが今年の阪神の浮沈を握っていると考える。
また、昨年は王者巨人に大幅に負け越しており、少なくとも五分で行ければチャンスは充分にある。阪神のアドバンテージは、支配下の外国人選手を8人登録しており、リスクヘッジの側面で、アルカンタラやロハスジュニアが来日出来ていない状況でも戦力に裏付けが可能な部分である。あとは矢野監督を始めとした首脳陣の力量が試されるシーズンになるだろう。

2位予想 中日
投…巨人打倒を見越して敢えて開幕投手に指名された福谷、彼も含めオープン戦で調子の上がらない投手が多いが、所詮調整段階として目を瞑る。ローテーションとしては、福谷、柳、松葉、勝野、梅津、笠原、ロドリゲス等。個人的に期待したいのは、甲子園を制覇した経験を持つ小笠原の一本立ちと、昨年苦渋を舐めた柳の復活。
中継ぎはR.マルティネスの出遅れは不安要素だが、昨年の最優秀中継ぎの福、祖父江が控え、岡田、谷元、又吉、鈴木博の実績の有る選手もおり、オープン戦は度外視で期待出来る布陣。
打…破壊力は望めないが、如何に打線として繋げるか。センターラインは捕手に昨年存在感を示した木下、A.マルティネスがおり、二遊間は阿部と京田、センターは大島でほぼ確定。ファーストのビシエドとサードの高橋周も同じく。後は両翼だが、実績とディフェンス面を考えると、ライトは恐らく平田だろう。レフトは激戦区だが、個人的には若手の岡林を抜擢しても良いのではと思う。他には滝野やマルチロールの根尾の起用も考えられる。福田の復活があれば更にチーム力は増し、新外国人のガーバーが活躍すれば更に追い風となる。
(まとめ)
与田監督は「機動力」をテーマに挙げているが、このテーマは貧打のチームが陥る所でもあり、ポジティブに考えるならば、チャレンジャーとしての姿勢が出来ているという証左。上位進出を狙うならば、交流戦を含め、ホームの、投手有利のバンテリンドームでの勝率をどれだけ高められるかが鍵になると考える。最大の敵は、昨年の過密日程により福と祖父江のコンディションが万全か否か。彼らに今シーズンの中日の浮沈が掛かっていると言っても過言ではないだろう。

1位予想 巨人
投…先発は大黒柱の菅野の残留で、菅野→戸郷→今村→サンチェス→井納→高橋 と形成される見込み、他にも畠、ルーキーの平内や復活の兆しを見せる野上や有望株の横川と候補は多い。
中継ぎは高梨or鍵谷→デラロサ(負傷中)orビエイラ→中川 と他にも大江、高木京、支配下になれば直江と問題無し。桜井や田中豊は宛にならない。
打…新外国人のスモークとテームズが仮に居ないとしても問題無い布陣が敷ける。ウィーラーと松原or若林が代役或いはレギュラーを掴むだろう。捕手は大城を中心に炭谷、小林、岸田。セカンドは吉川尚、ショートは坂本、センター丸のセンターラインは磐石。サード岡本とライト梶谷はほぼ確定。
不安要素を挙げるならば、吉川尚の故障癖と近年の坂本の持つ腰の状況。加えて梶谷も昨年は素晴らしい成績を残したが、近年は故障に泣かされるシーズンが多く、年齢を考えると最悪の場合陽岱鋼の二の舞になる可能性も考えられる。しかし、ベテランの中島や亀井が脇を固めれば、少なくとも下位に沈む事は考え辛い。安定度はセ・リーグ随一。
(まとめ)
常勝球団且つ原監督の手腕にて、勝ち方を熟知している、数字に現れない強さを感じられるチーム。つまらないミスも少なく、本年も優勝争いは必至。

(パ・リーグ)

6位予想 日本ハム
投…テキサスにエース有原が移籍し、予想通り開幕に指名された上沢が中心となる。しかし二番手以降に不安が過ぎる。加藤→池田→吉田→ルーキー伊藤 と計算の立たない選手をローテーションに抜擢せざるを得ない。バーヘイゲン(未だ来日していない)、河野、立野と続く候補にしても頼り無く、先発が試合を壊すパターンが多くなる事が容易に想定される程の脆弱な布陣である。
中継ぎは、昨年の実績及び起用法からすると、玉井→宮西→新守護神の杉浦となるが、杉浦は実力にはケチの付けようが無いものの、ヤクルト在籍時代より怪我が付き纏う選手であり、ブルペン待機となると、シーズンを完走出来る可能性は非常に薄いと考える。昨年不調に陥った秋吉、公文が復活してようやく他チームと渡り合う事の出来る程に厳しい状況が想定される。支配下に登録された長谷川が、仮に杉浦離脱となった場合、代役になれば面白いと思われる。
打…捕手は清水(昨年イップスを懸念された所もあったがどうなるか)、宇佐美が中心。二遊間は、渡邊と中島で先ずはスタートを切るだろう(遊撃に平沼が登録されていない所に首を傾げたが)。センターは、近年守備面での不安はあるものの西川で確定。他にも、一塁は中田、両翼は左翼に近藤と右翼の太田で問題無く、今年のチームの打の注目株は三塁のレギュラーを狙う野村だろう。シーズン前に横尾を楽天に放出した背景からも、野村を一本立ちさせるという球団の考えが窺い知れる所。ここにイースタンでの実績を持つ樋口が絡むと面白くなる。
(まとめ)
このチームに関しては、戦力分析をする以前の問題として、現場とフロントのパワーバランスの歪さが浮き彫りになっている点が気にかかる。かつてAクラスの常連であった時代の山田GMが去り、現在の吉村GMが就任した以降、ドラフト戦略が軌道に乗らず、チーム強化もままならぬ中、斎藤佑、石井和、清宮と言った早大早実ラインの贔屓起用は、単に吉村の母校が早稲田大学学閥という、下らないにも程があるしがらみがある。
競技は違えど、Jリーグの場合、どれだけクオリティの高い選手を擁していても、フロントの能力が低い場合下位に低迷する、もしくは降格の憂き目に合うスポーツ全般の難しさを鑑みると、今期の日ハムは一枚岩でシーズンに臨める段階に至っていないという、更に厳しい言い回しをすると、スタートラインから大幅に後方からの発進を余儀なくされていると考えざるを得ない。
野手を中心に実力のある選手を多く抱えてはいるが、チームマネジメントの側面から見ると、他の球団より数段劣り、その問題点を洗い出す事に終始する事は必須であろう。
今の自民党で言う所の二階=吉村、菅=栗山という構図からしても、戦力強化以前に組織改革の必要性に気付かざるを得ない苦渋を舐めるシーズンになる事は明白だろう。

5位予想 オリックス
投…開幕は今や日本を代表する筆頭格に成長した山本が指名された。続くは山岡→宮城→田嶋→山崎福→ベテラン増井or張or榊原orK-鈴木 か。経験豊富のディクソンの合流が待たれる。投打に同じ事が言えるが、このチームは日本を代表する選手を擁するものの、それに次ぐ、レギュラークラスの選手及びバックアッパーの質及び量に不安を抱えている。
中継ぎはヒギンスの出遅れが痛い。抑えはシアトルから古巣に復帰した平野が務める見込み、彼にバトンを渡す布陣には不安が残る。漆原、ルーキー中川、ベテラン能見が控えるが、先発がイニングをどれだけ稼げるかが焦点となるだろう。
打…中嶋監督の起用方針を見るに、打てる捕手の起用が考えられ、一番手は伏見、サブに頓宮(この二人はDH起用も想定される)、若月の三人だろう。昨年代行として指揮を執った際の用兵や、コメント等を見るにつけ、下で活躍した選手の積極起用や若手の抜擢から、中長期的に勝てるチームを作る意識を感じられ、二遊間は安達の出遅れも含めて若武者の太田、紅林や、中川の起用が濃厚か。一塁はモヤ、三塁は福田或いは宗の起用が考えられる。
センターは佐野が固定出来るか。左翼は吉田正で確定、個人的な願望及び用兵の傾向から、右翼は杉本の起用が面白いと考える。MLBで名手として鳴らしたジョーンズだが、全盛期を過ぎており、昨年の守備はお粗末なものであったと言わざるを得ない。DH起用をメインに考慮するのが賢明な判断であろう。
開幕一軍を逃したが、大下の活躍も期待したい。
(まとめ)
以前は目先の勝ちを拾うべく、大学社会人出身の、ネガティヴに言えば小さく纏まった選手をドラフトにて獲得する傾向にあったが、大阪府舞洲に巨額を注ぎ込んで良質な施設及び選手寮を整え、本指名育成含め自前で鍛える態勢を作り、フロントサイドが中長期的にチームを強化する姿勢を整えているのは好感が持てる。短期的には結果は出ずとも、中長期的な視野に立ってのチーム補強に着手している所は興味深い。期待の若手のポテンシャルが発揮出来れば、今期の台風の目として、パ・リーグを掻き回す可能性もあり得る。

4位予想 楽天
投…開幕に指名された涌井を始め、実績充分の布陣がラインナップされているが、所謂「ネームヴァリュー」は過去の実績であり、2021年シーズンにて額面通りの結果がもたらされる保証は無い。
涌井(近年は成績的に沈むシーズンもあり、最多勝タイトルを獲得したものの、昨年後半戦は大幅に防御率を落とした)→田中将(MLBでは相手の手元で動くスプリットやスライダーで勝負するスタイル、2013年にレギュラーに定着していなかった、或いは入団していなかった柳田や吉田正、山川とパ・リーグのバッターの進境も著しく、24勝無敗のシーズンには及ばないだろうが、13勝位は計算出来るか)→ルーキー早川(大学進学後にストレートの球威が増したが、実戦にて変化球を狙い打たれる恐れあり)→岸(常に怪我の不安が付き纏い、通年の活躍を計算するのはリスクが高い)→則本(近年の成績は低調、三振を取るスタイルで金属疲労の所為か精彩を欠く)→瀧中 でシーズンに入る見込み。リカバー要員として、塩見、辛島、弓削、石橋、安樂、藤平の先発起用も可能性あり。
中継ぎは昨年楽天が僅差のゲームを取りこぼし、Bクラスに沈んだ一番の要因。昨年先発再転向で予想通り失敗した松井が抑えに戻り、牧田→ブセニッツ→松井が基本線か。昨年抑えに指名され低調に終わった森原、酒居、復活を期す福山と宋、高田、津留崎がキッチリ脇を固められるか。
打…捕手は激戦区だが、最有力は太田、続く田中貴、下妻、足立、石原、堀内。バッテリーを組む相手に応じ、或いは調子によって併用する可能性もある。二遊間は浅村と小深田、三塁は茂木、一塁は鈴木大でスタートの見込み。新外国人のディクソンとカスティーヨが不在だが、実績のある陣容が揃う。茂木のコンディションによっては、一塁に銀次の起用も考えられる。
個人的な楽天の打のキーマンは、トップバッターでセンターの辰巳を固定出来るか否かと考える。ルーキーの時から守備力は折り紙付きだったが、懸案事項のバッティングでも目処が立ち、通年で成績が残せればチーム浮上の大きなポイントとなるだろう。
左翼は島内、右翼は小郷or田中和が有力視される。
(まとめ)
昨年、浅村と鈴木大がノーヒットだった試合は全て負けており、ロメロが抜けた打線で恐らく4番を打つ浅村が勝負を避けられるケースが想定され、5番に(恐らくは茂木)掛かるプレッシャーは大きい。加えて、基本布陣に左打者が多いというバランスが気にかかる。シーズン前に日ハムから横尾を獲得したのはそれ故だろう。彼を含め、生え抜きの内田や岩見、和田恋が一軍の定位置を狙い切磋琢磨出来るかも注目すべきポイントだろう。

3位予想 ロッテ
投…開幕はソフトバンクキラー二木が抜擢された。続くのは美馬、ルーキー鈴木、小嶋、岩下、支配下昇格の本前が基本線となる。トミー・ジョン手術にて次代のエース候補種市と西野の不在は痛いが、後述する中継ぎの充実でゲームを壊さないことがノルマとなる。
中継ぎは昨年戦前の予想を覆し2位に滑り込んだ一番の要因。今年も唐川→ハーマン→益田の方程式は健在、小野、東條、田中靖、ルーキー河村、若手の有望株土居、昨年後半戦に奮闘したフローレスと充実。井口監督も全幅の信頼を置く吉井コーチの運用に大いに期待したい。
打…捕手は田村が中心、柿沼、打撃好調の吉田(二年目の佐藤は浦和で捕手としての経験を積ませるのが賢明と考える)。二塁は今年キャプテンに任命された中村で確定だが、泣き所はショート。個人的に大きな期待を寄せていたルーキーの小川がオープン戦にて負傷し、開幕一軍の目が絶たれた為、消去法で藤岡を引き続き起用せざるを得ない。政治的な絡みでベテラン鳥谷が開幕一軍となったが、彼を押し除けられる選手が居ない事が問題。二年目の福田や茶谷に期待したいが、先ずは下で実績を残さなければ昇格の目は無い。井上、レアードが調整段階という所で、三塁の安田、一塁の山口の両若手はこの状況をポジティブに捉え、定位置確保の足掛かりとなる事が上位進出の鍵となる。
センターは藤原が中心、両翼は荻野とマーティンで確定だろうが、打撃の確実性を高めれば、走力のある和田や高部、内外野を守れる菅野の起用も考えられる。パ・リーグの利点を活かせていないという点でもう一つの泣き所はDHに誰を据えるか。如何せん長打を望める選手が少ない為、今年も相手投手に応じた起用をせざるを得ないか。
(まとめ)
昨年貧打に喘いだものの上位に食い込んだ「四球を選び出塁率を上げる」戦術は恐らく他球団には既に看破されており、今年はストライクゾーンで勝負して来るケースが多く想定される。甘い球や狙い球を如何に的確に弾き返せるか、そして僅差の試合を一試合でも多くもぎ取れるかが、一朝一夕には解消されない打撃力の薄さを如何にカバー出来るかにチームの浮沈が掛かる。

2位予想 西武
投…開幕は順当に高橋光、しかし先発候補のニール、ダーモディの不在は痛い。浜屋、平井、松本、今井というローテーションが想定されるが、安定してQSを達成出来る布陣ではない。期待薄ではあるが、ベテラン左腕三人(内海、榎田、吉川)や本田、十亀が食い込めるか。ダークホースは若手の上間。
中継ぎは昨年の新人王平良→ギャレット→増田の勝利の方程式が定まっている所を評価した。昨年奮闘した森脇の不在は痛いが、伊藤、佐野、田村、宮川、小川辺りで固める想定。
打…捕手は森を中心に、岡田、柘植が控え、二遊間は源田と外崎で当確。センターは守備面を考慮すると金子。一塁は山川、三塁は故障のリスクはあるものの中村或いはルーキーのブランドンの起用も考えられる。
両翼は、左翼兼DHで2,000本安打に期待の掛かる栗山、木村、鈴木将、ルーキー若林、西川が有力。オプションとして、本職は二塁ながら山野辺の抜擢もあるか。
(まとめ)
例年の如く主力の流出を招いたが、本年は引き留めに成功した。しかしながら昨年メジャーに挑戦した秋山の穴は埋め難く、出塁率の高い彼の代役は未だ見当たらない。
しかし、18〜19年に猛威を振るい、パ・リーグ二連覇をもたらした「山賊打線」が昨年は栗山以外ほぼ全員不調の状況の中でAクラスに食い込んだ辻采配には目を見張るものがあり、昨年で打撃の低調は底を打ったと考える。西武の野手の弱点は、日本を代表する選手を擁しながらも、そのバックアッパーとの力量の差の乖離。特に外野は活きのいい選手が滑り込む余地があり、スパンジェンバーグの出遅れは痛いが、現有戦力の底上げで打撃全振りの勢いで王者ホークスに挑む構図を期待したい。

1位予想 ソフトバンク
投…エース千賀と東浜が出遅れる見込みで、開幕を託されたのは石川。2枚落ちの状況且つ来日出来ていないレイ、マルティネス抜きでも、高橋礼→和田→笠谷→大竹→武田と粗方計算の立つ面子が形成出来る点のみでもこのチームの地力の程が窺える。
中継ぎは、モイネロの出遅れを勘案しても、代わりはどうとでもなる。岩崎→杉山or津森or泉or嘉弥真→森 のパターンが想定されるが、ロングリリーフを担える松本、高橋純、伸び盛りの田浦或いは古谷と候補はいくらでもいる。
打…捕手は甲斐を中心に、ベテラン高谷が間に合ったのは大きい。基本はツープラトン態勢だろうが、海野、九鬼、谷川原と質量共に充実。ショートの今宮復帰も大きい。セカンドは、周東を始め、牧原、左腕相手ならベテランの川島の起用が考えられる。バックアップメンバーも充実。センターは柳田で確定。一塁は中村晃、三塁はチームリーダー松田、左翼はグラシアル、右翼は栗原が基本線だろうが、実力者ながら開幕一軍を逃した上林、柳町、佐藤も控える。DHはデスパイネを中心に、実績のあるベテラン長谷川も控える。仮に松田が振るわないとしても、三塁にグラシアルや栗原、中村晃は外野も守れ、様々な起用法を以て臨めるのは他のチームに無い大きなアドバンテージ。
(まとめ)
開幕にベストメンバーを揃える事は叶わなかったが、例年交流戦には圧倒的な強さを見せており、主力が整えば一気にシーズンをぶっちぎれる程の層の厚みがあり、早々他球団の付け込む隙が見当たらない。昨年手を焼いたロッテに対しても、後半戦は怒涛の連勝で払拭されたとみる。大本命。

上記の通り両リーグの予想を立てたが、143試合、何が起こるか想定し得ない要素もあり、今年のプロ野球も良い意味で予想を裏切ってくれるチームの台頭があれば、これに勝る喜びはない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?