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DESIGN : COLOR by COLOR 配色ひらめきツール

石黒が初の著者となりOUWNが丸ごと一冊作った配色の参考本「COLOR by COLOR」が、ついに本日発売となりました!カラーごとに様々な配色パターンやデザインの作例が掲載されています。デザインと撮影見本259点・配色1691点・デザインパターンは665点(!)とボリュームたっぷり。配色の参考にはもちろん、眺めるだけでも楽しい一冊に仕上がりました。

この本のために作ったカラー

配色ひらめきツール COLOR by COLOR

ー 「COLOR by COLOR」いよいよ発売ですね!

石黒 : やっと完成しました…!本当に良かったです。作り始めたのが1年半前くらい。出来上がったのを見ると感慨深いです。
この本はデザイナー1年目の人やこれからデザイナーになりたい人、ネイリストさんやお花屋さんなど色を参考にしたい様々な人に向けて、初心者の方でもパッと見ることができるような、出来るだけ優しい内容を盛り込んだ参考本になっています。

ー 今回は実際に色を使った作例がたくさん載っていますが、このために新しく作ったものが多いですよね。

石黒 : OUWNで取り組んだ仕事のデザインも載せていますが、基本的にはこのために作ったものばかり。最初に本の話を出版社の方からいただいた時、作例は支給してもらってやるのかなと思ってたんですが… 1から全部自分たちで作るっていうのが最初の驚きでした。一体何個作るんだろうって思いましたね。

石黒 : 数が多くてもクオリティを落とさないようにするにはどうすればいいかって考えて、まず最初に作例に入れるテキストやグラフィック、パターンなどを何百個と出していきました。テキスト1つでも何かのコピペを使ったりしないように心がけて、新たな掛け合わせを考えて作っていきました。
本は色ごとにページが分かれているから、ピンクの章、イエローの章って段階を踏んでいくんですよ。そうなると章によって案件に対しての慣れ度が違ってくるから、章ごとに作品の雰囲気やバランスが変わらないように、1つの章をやって次にいくのではなく全ページを少しずつ進めていった。この色を触ったら次は違う色をちょっと触って…みたいな。本当にめちゃくちゃ持久戦でした。全然入稿しないので、担当の方には迷惑かけたと思います。(苦笑)

ー 確かに1周回ったらバランスを見て変えたくなったりしますもんね。

石黒 : 基本的にOUWNの仕事の進め方としてもそうなんですよね。1個に注ぐというよりも全体的に上げていき、俯瞰しながら細部を詰めていくんです。

感覚的に見れる目次ページ

石黒 : 目次のページでは全部の章の色がバーっと並んで見れるページがあって、ページとしても綺麗だし、「この配色が綺麗だな」って思ったらそのページに飛んで作例を見ることができます。感覚的に見れるページもたくさんあるので、いろんな人が楽しめるんじゃないかなと思います。

中村 : 気軽に見れる本になってると思います。ハードルの高さも低めで、たくさんの人が見やすい内容なんじゃないかなと。

石黒 : 編集の方からは、OUWNのデザインの特性として色の掛け合わせが綺麗なものが多いから、そういう部分を出したいって言ってもらったんです。だからグラデーションの部分を2段にして、3色掛け合わせのグラデーションパターンを載せました。
自分は普段から色を濁らせないように心がけていて、上にピンクだったらY(イエローのインク)を足していって赤にしてから黄色にするとか、インクの流れを急に変えたりしない。50:50とかの途中色をあまり作らないようにしています。

ー OUWNの作品は鮮やかな印象があります。

石黒 : 自分は複雑な色の掛け合わせ、インクの量の掛け合わせはそこまで得意じゃないと思ってるから、純粋なC100とかM80とか、そういうもの同士の掛け合わせが好きかなと思います。だからよく作品に対してカラフルだったり、画が強いっていうイメージを持ってもらうことが多いのかも。

ー 中村さんは自分が使いやすい色、好きな色などありますか?

中村 : 私はOUWNに入る前は、ベビーピンクとか、少し黄色が混ざってるようなくすんだ色をよく使ってました。だけどOUWNに入ってからはカラフルな色使いを意識するようになりましたね。今までよりもパキッとした色を使うようになって、新しい発見があるなぁと思いました。

若干の色の違いを表現する

ー 制作過程を見ていたので色々と大変な部分があったと思うのですが、特に難しかったのはどの辺りでしょうか。

石黒 : 今回、章に応じて色数が多い章と少ない章があって。その色の割合は編集の方が決めてくれているのですが、ピンクとブルーは色数が特に多かった。なので同じようなデザインにならないように作っていましたが、難しかったのはそのあたりかなと思います。

中村 : ピンクとブルーは色の幅が広いんですよね。

石黒 : グラフィックもそうなんですが、説明部分のテキストが本当に大変でした…。テキストは途中で星さんにも協力してもらったんだけど、最初に自分で文章を考えた時、例えばピンクだと暖かくて可愛らしい印象がありますよね。それって少し黄色寄り・青寄りになったとしても、可愛らしい印象はどっちにもある。根幹は同じで、最後の最後でのニュアンスの違いをグラフィックにも言葉にも入れていかないといけないから、そこが本当に難しかったな。

ー そうですよね。私もブルーの中でもさっきの色を「海っぽい」と表現したけど、こっちの色の方が海っぽいかも…?と感じたり。同じ言い回しにならないように、そして主観的にならない説明というのも難しいですよね。

石黒 : あとは作例を作ってる時、OUWNの手癖でつい凝っちゃう、色を巧みに使いすぎちゃう部分がありました。普通の案件だったら「バナナのポスターを作ってください」ってお題で黄色いバナナとか絶対置かなくて、紫のバナナを置いて背景を黄色にするとか、そういうことをして面白くしていくんだけど、この案件では黄色いバナナを置くってことなんですよね。だからその落とし所っていうのが最初は難しかったりして。でもやっぱり1つの作例にアイデアを入れたい気持ちがあるし、面白くしたい。
載せているデザインパターンも全部違うものなんですが、トリッキーにしすぎても良くないし、そのバランス感は調整しましたね。

中村 : 色によってモチーフに対するイメージがあると思うので、それをどう変えていくかっていうのも考えました。もともと持っているイメージも入れつつ、それに偏りすぎないように。

ー 「透明」など、ちょっと特殊なカラーも掲載されていますね。

石黒 : そうなんです。透明っていうのは色としてはないけど、配色本だったらトライできるっていうことを編集の方と話して入れました。前にOUWNがやったスクランブルスクエアのグラフィックなどが分かりやすいんですが、重なるレイヤー感だったり後ろをぼかしたり、そういうもので透明って表現できる。だから表紙にもぼかしを入れて、透明も色の1つとして表現しています。

モチーフの後ろにぼかして設置することで、タイトルにクリアな印象を与えたカバーデザイン

アイデアの引き出しを開けていく

石黒 : 259点のデザイン・1691点の配色・665点のデザインパターン。あらためて聞くと本当にすごい数ですよね。とにかく作品数がとんでもなく必要だったので、中村さん含めOUWNのスタッフにもデザインをやってもらったけど、「手当たり次第面白いグラフィックを量産で」って言って…

ー それは逆に自由すぎて難しいってなりそうです…(笑)

中村 : そうなんです。最初はテーマも何にもない状態からだったので、まずはテーマから考えようって思ったんですが、やっぱり行き詰まっちゃって。逆にそういうのを考えず一旦形から作ってみようってやっていったら、どんどん作れるようになりました。ガチガチの頭で考えず、のびのびとやった方が良かった。素材作りみたいな気持ちというか。

石黒 : 確かにちょっと素材作りに近かったかもしれないね。このパーツが面白いねってなったら、この色が合いそう、このテキスト入れたら面白そう、って組み合わせていった感じです。

ー コピーとかもよく見ると面白いですよね。
これとかも「KOI?LOVE?JAPAN!」って… 「えっ?」って二度見しちゃいました。

石黒 : そういうぶっ飛んでるの、いいよね(笑)
それは他の参考本とかを見て、少し意識した部分です。配色の部分に関してはできるだけ分かりやすくを心がけていますが、それ以外の部分は見ていてクスッとなるようなことをしたいなと。この「Calendar Girls」も、グラフィックが女の子のテキスタイルだからつけたテキスト。適当に考えてそうしているんじゃなくて、何だこれ面白いねって思ってもらえたら良いなって。
1本ネジ外れてる感じで恥ずかしいテキストも多いけど、デザインをしっかりとストライクゾーンに落とそうとしていたところがあったので、テキストは振り切っても面白いなと!

石黒 : デザインはストライクゾーンを狙うと言っても、この本はいつものクライアントワークではないから、自分たちのデザインの振り幅は出そうと思いました。密度感や構成はいつも通り盛り込んで作るけど、良い意味でOKラインを広めにとって、普段はなかなか使えないような挑戦的なグラフィックを使ったり。ディティールの面白さの幅を増やしている感じです。そういうところが個人的には面白かったな。

中村 : 私は自分の引き出しがまだまだ狭いなって思ってたところがあって、デザイナーならではのしがらみみたいなものがあったんですけど、今回カラーブックでのびのびと作ることができて、自分ってこういう表現もできるんだ!っていう発見がありました。新しい扉を開けていったら、色々できるんだなって。

石黒 : 「これ私が作ったんですよね?」とか言ってたもんね(笑)

中村 : こんなのも自分から生み出せるんだ…って感じることもありましたね。そういう発見ができて良かったです。

つい見てしまう面白さを

中村 : 奥付にちょうちょが入ってるんですが、そういうところもOUWNっぽい部分かなと。奥付ってただ文章だけとかになりがちですけど、最後の最後まで綺麗に終わりたいって思ったので、テキストの組みだったりと細部までこだわってます。

石黒 : 色相環が並んでいるページとかもそのままやったら絶対普通になっちゃうから、手書き文字を入れたりノンブル(本のページを表す数字)を少し切ったり。教科書みたいなものでもあるので、やりすぎるのもどうなんだろうって話は社内で何度もしました。でもやっぱり入れて出そう!って提案したところ、「こういうページはいつもカチッとして面白味がなくなっちゃうから、すごい良いと思います」って言ってくれて。そういうのも嬉しかったですね。
本当に良い本になってると思うので、これを眺めながらお酒飲みます(笑)。

ー この本はどんな人に使ってほしいと思いますか?

中村 : 色は好きだけど、どういう風に使っていいか分からないって人は結構いるのかなと思うので、そういう人に使ってもらいたいです。最近、デザインや美術に関心がある人が増えていると感じるので、ちょっとデザインに興味がある人に向けても、良いきっかけになるといいなと思います。

石黒 : 作例やテキストの部分では分かりやすさを担保しつつ、さっき話したコピーの部分やグラフィックで面白さを詰め込んでいるので、パラパラと眺めるのも楽しいと思います。なので色の参考に使いたい人はもちろん、単純にデザインを見たい人にもいいと思うし、幅広く見てほしいです。
6月23日、本日より発売です!

★『COLOR by COLOR 配色ひらめきツール』
オンラインストアはコチラから

COVER DESIGN:
ATSUSHI ISHIGURO / @ai_ouwn
BODY DESIGN:
DESIGN PRODUCTION : OUWN / @ouwn_0402
CD+AD+D : ATSUSHI ISHIGURO / @ai_ouwn
D : YUMI IDEI / @yumi_idei +
ERIKO NAKAMURA / @hello_eriko +
AYUMI ENOMOTO / @bbrs___ +
FUMIKO ISHIKURA
TYPE SETTING : KAKINO Mfg. Co., Ltd.
EDITOR : YUTA SUZUKI
W COOPERATION : NARUMI HOSHI
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AUTHOR : ATSUSHI ISHIGURO / @ai_ouwn
ISSUER : JUN OGAWA
PUBLISHER : SB CREATIVE
PRINT : SHINANO inc.

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聞き手 ・ 執筆 : 星成美


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