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DESIGN : スクランブルスクエア 母の日 コピーライティング

今回はグラフィックデザインではなく、コピーについて。
以前にもOUWNの記事で登場したスクランブルスクエア。2020年から今年まで、母の日・父の日のビジュアルをOUWN石黒が担当しています。
自身ではコピーを考えるのは苦手だと言い、「今回は反省会だな」という言葉も出てきていますが… ?いつものデザイントークとは一味違う内容になっています。

変化を経て、よりストレートに

石黒 : 2020年から母の日・父の日のビジュアル・コピーを設計させてもらっていて、今年で3回目になりました。最初の2020年はコロナが始まった年で、時代の変化が大きかった時。3回作っているけどその年によってかなり変化しているから、今回noteで話したいなと思いました。

石黒 : 2020年のはコロナが流行する前に制作したもの。公開はしたけど、当時は休館になっちゃったから規模的にはかなり縮小された感じでした。2回目の2021年も少し縮小されて、実際には10分の1くらいのスケール感になってしまったかな。
ビジュアルメインで制作していたんですが、入れていたコピーが先方に刺さったみたいで気に入ってもらい、3年続けてコピー設計をしています。

ー 2020年は「JUST BE YOURSELF.」ですが、2021年から「THANKS FOR MOM.」に変わってるんですね。

石黒 : 一番最初の2020年は制作していたのがコロナ前だったので、やっぱり世の中に元気がありました。良い意味で個人プレーができた時代でもあったから、「自分らしく伝えよう」みたいな個の意識にフォーカスした気持ちで書いたもの。だけど、2021年からはより分かりやすくストレートにしていきたいなと思って、「THANKS FOR MOM.」に変えたんです。「よりストレートに伝わりやすく」っていうのは、コロナ以降、世の中の全体の意思としてなったんじゃないかなと思います。

ー そうですね。本当に今しかない、今の時を大事に、というか。2020年はどちらかというと自分側に焦点をあてていたんですね。

石黒 : 2020年の制作時は、「自分を出していこう」みたいな方が大きかったと思います。2020年から2021年が激変の年で、かなり状況が緊迫してたから、もはや考えるとかじゃなかった。気持ちをどうやって届けるかっていうことと、素直に伝えようっていうことでしかなかったな。

石黒 : 今年、2022年はワクチン接種が始まったこともあり、コロナ的には昨年の5月よりも落ち着いていたと思いますが… 戦争が始まったから、 悲しい出来事が多すぎて。コロナもあって戦争もって、本当に何が起こるか分からない時代だなと思いました。2021年はやるべきことをやらなくちゃいけないって感じだったけど、2022年はそこにプラスして別角度からもう少し考えながら進まないとって。気持ちは変わらないんですが、より真面目にっていう気持ちで書きました。

自分の中から言葉を探す

石黒 : デザインを作る時って、2時間くらいあればたくさん案は出せるんです。頭の引き出しを使ってバーっと一先ずは作れる。こういう案件はこういうデザイン案、とかの引き出しがあったりするし、逆にあえて全然違うフィルターを通して作ったりもできる。頭や手が慣れてるから、瞬間的に出して深くするってことができる。でも文章となると… めちゃくちゃ時間かかります。ずっと悩んじゃう。

ー アイデアを出す時は、机に向かって考えるんですか?

石黒 : そうですね。基本的に机に向かって考えるけど、デザインは机に向かってない時も考えられる。デザインだと頭にイラレ入ってるから、ある程度頭の中でできるんです。違う場所でも頭の中でカチカチ動かして、画像を動かしたり…。食事してても考えられます。そういうときこそアイデアが生まれたりして。それでPCの前に座ったら、さっき頭で動かしたようにやってみる。もちろん少し誤差はあるから、そこで直したりはするけどね。

石黒 : でも文章の場合はできないです。文章は文字を書かないといけないじゃない?慣れてないからなんだけど(笑)、違うなと思ったら消したり、そうすると汚れてきたりしてよく分からなくなっちゃう。それならPCの前で文章を打って、違うと思ったらデリートして。その方が文章量も分かるし、語呂の感じも分かる。平仮名の次に漢字なのかとか、デザイン的にも見てるかもしれないです。だけどやっぱり、根本的に文章の方が苦手なんだと思います。

ー デザインが得意だからですね。
何か他のことをやってる時の方が言葉が思い浮かぶとかもないですか?

石黒 : ないですね(笑)。コピーに関してはPCに向かった方ができるし、参考に本を読むとかもない。もうコピーは閃きでしかない。実直に向き合って作る。これ、多分下手なデザイナーがデザイン作るときのやり方だよね。何も見ない(笑)。
自分の中にある言葉しかないから、難しい言葉を盛り込んだりとかもできないし、長文とかもできない。デザインをする上でキャッチコピーが必要な場面が多いので、そういうときは書いてます。

ー 絞り出していくのもすごいですね。

石黒 : こうやってコピーを毎年作っていくってことって今までないんです。シーズンビジュアルをワンシーズン作ることは多々あるんだけど、前回のものと時代を照らし合わせながら継続的に進めるっていう作業はあんまりないことだから、自分的には貴重な経験。
スクランブルスクエアはこのご縁で、2021年にはインナー向けのコピーも考えさせてもらいました。社内の人たちが働く時に共通認識を持てるように、私たちはどういう気持ちで進めていくのか、っていう部分に対してのコピー。これも責任重大で、自分としてはめちゃくちゃ大変でしたね。でもなかなかできることじゃないので、本当に貴重な経験でした!
来年の母の日の時期はまた世の中がどうなってるか分からないけど、今より良くなってるといいな。それを願ってます。

CL : SHIBUYA SCRAMBLE SQUARE / @shibuya_scramble_square
PRD : JR Higashi Nihon Kikaku
CD+AD+C : ATSUSHI ISHIGURO(OUWN) / @ai_ouwn

 オフトーク : 石黒節の言葉

ー コピーを考えるのは好きな方ですか?

石黒 : 考えるのは全然好きじゃないです。ご存知の通り、苦手意識もあるし…今回のnoteは反省会にしよう(笑)。

ー (笑)石黒さんならではの言葉は強みだと思いますよ。

石黒 : 「話しててもよく分からない」ってよく言われるんだけど… 何でなんだろう。

ー うーん… 倒置法っぽいというか、最初に話した言葉が次の文の最後と繋いでたりとか… 少し言葉が離れてる感じでしょうか?

石黒 : それって何でそうなっちゃうんだろうね?

ー (笑)
私的にはですが、多分頭の中が広いのかなって。こことここで自分的には繋がってるから、先にここを言って後でここを言っても繋がってる…みたいなことでしょうか?

石黒 : なるほどね。でも本当、自分のメールとかLINEとかもそうなんだけど、話してるだけの文章なんだよね。文章というよりも会話というか、ただ言葉が出てるだけというか… 他の人にもそうやって言われたことあるよ。

ー でもそれが良さでもあるじゃないですか。

石黒 : どうだろう(笑)。もしかしたらこういうコピーとかでは、そういうのが良いって言ってもらえる時もあるのかな。
プレゼンでコピーをいくつか持って行って見せた時も、何言ってるか分からないですねって言われる時もあったりして(笑)。でも、コピーが今回のようにすごく刺さる時もたくさんあって…もちろん自分的にはすごいたくさん考えた上で出してるんだけどね。ブレブレで(笑)。伝えるためのコピーって、より分かりやすく、複雑でも腑に落ちるっていうのを心がけないといけないんだなって思います。

ー そうですね…
でもその、より分かりやすくっていうフィルターが既に石黒さんの中に、あるのかなって…

石黒 : ないか(笑)。ないわ(笑)。

ー なんか違うところにありそうな気がします(笑)それが面白いんだと思いますよ!

石黒 : でもコピーは面白いよね。やっぱりデザインする時もキャッチコピーや文章をあてた方がテンションが盛り上がるし、デザイナーだからこそ作れるコピーってあったり、グラフィックの補足説明にもなったりする。ただ考えるのは本当に力を使うから、最近やってたカラーブックも大変だったな…
この話は、また次に続きます!

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聞き手 ・ 執筆 : 星成美


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