透明なカメレオン

読んだ本の感想と自分の中にあったもの

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今は決めない

「20代」とか「同世代のアイツ」とか適当に生きてると色んなプレッシャーが刺してくる。 3月に体調を崩して1ヶ月半仕事を休職した今を「チャンス」と無理やり思い込ませようとしていた。「きっとどこかにやりたい仕事がある。この私にしかできないことが。そして今がそれに出会うためのチャンスなんだ。」 一方で「こんな私を採ってくれる会社はあるの?」「その転職先が今よりキツくない保証があるの?」「そもそもやりたいこと分かんないよ」って本音はずっと苦しんでいた。 今日、大学時代一番好きだ

    • 檻の中のタカは幸せか

      動物園に来るといつも考えてしまう。 「ここにいるのと、自然で暮らすのはどちらが幸せか」 キリッとして木の上に立つタカの姿はタカとしてのプライドを感じる。彼には本来何百メートルも好きなだけ飛んでいける翼がある。でも檻の中では、その力が思う存分活かされる瞬間はない。 しかし、逆に言えばその「空を飛ぶ力」は獲物を狩るための手段で、ここにいる限り飢えることはなく、翼を持つ必要はないのかもしれない。 一方、すぐ近くでサルたちが檻の中を自由に駆け回っていた。まるで公園を走り回る子供

      • 4月26日

        「告白しよう」ってセリフとタイミングまで決めて会ったのに結局改札前で呼び止めて震えながら「付き合わない?」しか言えなかった。 彼女の反応は「少し考えさせて欲しい」 これはダメだ。脈ナシだ。帰りの電車の中で「変に抱え込まずスパッと返事してもらって大丈夫だよ!」なんて優しさぶった負け惜しみのメッセージを送った。 昨日「返事がしたいから明日電話できない?」と彼女から連絡があった。振られると分かりきっていると人は全くドキドキとしないのか。「わざわざ電話で返事くれる丁寧さに感謝です

        • 「コット」を観た

          コットが叔父の合図で駆け出した時涙がでた。 コットは、周りと少し変わっているから、家が大変だから、腫れ物扱いされていた。 夏休みに、そんなコットを厄介払いするように叔父と叔母の家に預けられた。叔母が一生懸命可愛がろうとしてもコットはそれの受け取り方を知らない。けれども、何度も何度もクシで髪をとかしてもらううちに、叔母への信頼が生まれていく。 一方で、叔父はコットとのかかわり方に迷っていた。なるべく距離を取ろうと避けていた。しかし、叔母が用事で仕方なく出かける間、自分の仕

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        • ヒトゴト日記
          16本
        • 映画感想
          12本
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        • 読書日記
          5本
        • 「幸せになる勇気」を読んで
          4本

        記事

          トトコちゃん、がんばれ

          メールやSNSの返信が終わり、暇になったので新感線のポケットに入っている冊子を何となく手に取る。 柚月 裕子さん作の「トトコちゃん、がんばれ」という短い詩が載っていた。 トトコちゃんとは、庭先に来るすずめのこと。 ひょっこり立ち寄り、巣を作ったかと思ったら二ヶ月くらいで旅立っていく。そして、また翌年巣を求めて戻ってくる。 戻ってくると言っても、同じトトコちゃんとは限らない。すずめの寿命は半年から1年ほどしかないらしい。 生きるのが精一杯で、周りに助けてよって勝手に期待

          トトコちゃん、がんばれ

          最高の人生とは

          「みんないい顔してた!最高だった!!」 電話越しでもすごい嬉しそうな顔をしているのが見えた。それはお世辞とかが一切ない、本当のことばだった。そんなことばが言える日が私にも来るのかな。 それを聞いて嬉しいはずなのに、どこか寂しい気もした。 病気を乗り越え元気になったじーじが"満足"してしまった気がして。遠くへ行ってしまう気がして。 違う場所で、全然元気じゃなく、頑張れていない私が情けなくて。

          POOR THINGS-哀れなるものたち 感想

          まずは、本当に同じ人間がこのストーリーや登場人物を思いつくのかが信じられない。それくらい狂ってる。それこそ薬でもやってたのではって思うほど。 全ては実験のためと洗脳され育てられたマッドドクターゴッドが身ごもったまま投身自殺を測った女性を拾った。その女性の脳にお腹の中の赤ちゃんの脳みそを移植して… よく「今の記憶のまま子どもに戻りたい」って思うけどその逆で幼い頭脳で大人の身体を手に入れたベラ。好奇心と子どもには強すぎる本能=性欲に従い、その美しさ故周りの男たちも振り回される

          POOR THINGS-哀れなるものたち 感想

          SPY×FAMILY code white

          川徳の古着市のついでに映画館へ! (結局古着市は微妙で戦利品なし…) ジャンプ+で初めて読んだ時、アーニャの可愛さやサクサク読めるストーリーに「なんだこの完璧な漫画!?」って驚いた。しばらくしてアニメ化決まった時も「そりゃそうだろうな〜」ってなぜか鼻が高かった笑(流石に渋谷のスクリーンジャックとかは驚いたけど笑) 映画も安心してクスクス笑えて楽しかった。そしてアーニャが"ちち"と"はは"と一緒がいいと拗ねるシーンはちょっとグッときた。やっぱり家族っていいな。 子どもだっ

          Ghost Worldを観て

          父と二人、シネコヤへ。 美大生のあさいともこさんの書いた詩集を読んで、恋人と上手くいかない苦しさに憧れを感じた。 上映時間10分前になり入場が始まる。 短髪金髪彼氏と黒髪ショートのカップル、素朴そうな学生、コーヒーとメロンソーダを追加で注文する2人組。共通点なんてまるでなさそうな10人が小さなシアターの前に座る。 Ghost Worldの主人公イーニドは人を馬鹿にして、環境に毒を吐き、周りにある全てに棘を刺していく。その姿をみてムカつくよりも、過去の私のようで可哀想に思

          インフルと孤独とヨンボとの別れ

          「あっ多分体調悪いな」 何となくの嫌な予感がした夜、朝を待たずして寒さに目が覚めた。体温計を脇に挟むと37.8度の表示。直感で分かった、これはインフルかコロナと。 2日後には39度台まで熱が上がって、3mがハーフマラソンのように遥か彼方に感じた。去年コロナにかかったときは、実家にいたから父にご飯を用意してもらえたけど、一人暮らしだとそうもいかない。ましてやこの地に恋人や友人と呼べれる存在もいない。孤独は寂しいと思ったことはあったけど、危ない、死ぬかもしれないと感じたのは初め

          インフルと孤独とヨンボとの別れ

          ひと-小野寺史宜を読んで

          ここ何年かで一番響いた本だった。 聖輔は優しいな。 そして、もっと優しくなりたいな。 そしたら、諦めるのをやめられるかな。 聖輔は諦めるのをやめたし、きっと幸せを手に入れた。 僕も幸せになりたいな。 誰かを好きになりたいな。 誰かから好きって言って欲しいな。 ちょっと寂しいな。

          ひと-小野寺史宜を読んで

          同窓会を終えて

          今日は高校の同窓会に行ってきた。 楽しめるかなと不安だった同窓会。 とってもとっても楽しかった。 色んな友だちに沢山また会った。 ほりはずっと仲良くしてくれた。ありがとう。 同窓会に行くのが不安だった。 自分だけ何もしてない情けない自分な気がして。 大企業や有名な会社で働くキラキラした人も沢山いた。けどちゃんと胸を張って人の話が聞けた。話を聞くのがわたしのいいところ。 ちゃんと私も大人になっていて、スっと不安が消えてった。

          今から、東京へ

          今から東京へ向かう。 卒業して初めて参加する高校の同窓会がある。 昨日までは、「早く来ないかな」とドキドキしていたのに、今は「大丈夫かな」って不安でドキドキしてる。 今のわたしは、当時描いていたわたしときっと違う 今のみんなは、もしかしたら当時わたしが描いていたようなキラキラしたみんなになっているかもしれない バカにされないかな、イヤな思いをしないかな、 明後日わたしが何て言ってるか楽しみだ。

          電車に乗って、10km走る。

          半年前に買ったばかりのガスコンロが壊れた。 リサイクルショップで買ったから仕方ない。未使用品だったけど。 保証もちょうど一か月前に切れていた。 仕方ない…仕方ない。 その日は、近くのコンビニでお菓子を買ってきたり、面白くもないYoutubeをぼーっとながめていたら、夜になっていた。 このままだとまたダメになる。 とりあえず次の日は家を出よう。 数日前にFacebookで見つけた、10km走って温泉に入り、ビールを飲むというイベントに参加。身内だけのイベントだったらどうし

          電車に乗って、10km走る。

          楽しみだった土曜に

          「明日は5時半に起きてユーフォニアムを観に行くぞ」 今週半ばに思いついてそのあとどこに行くかも決め、電車とバスの時間を調べ準備万端。目をつむるも、ワクワクが止まらず何度も目が覚めて、結局5時前にスマホをいじりだした。 寝不足から、ぺりっと剥がしたくなる若干の気分の悪さを感じながらも何とか身体を起こす。あーだこーだと頭の中で言い訳をつくって、朝のランニングをお休みし、映画の後に背伸びしてカフェで遅い朝食もありかなと思ったけど、味のないオートミールと酸味だけのヨーグルトを腹に入

          楽しみだった土曜に

          苫小牧に向かうフェリーにて

          電波が悪くなり、昼寝もトレーニングも終え、もう一度スマホをオンしてみても繋がらない。 仕方がなく、本とノートを手にして外の海が見える席に座った。 30cmもの真っ暗な土を必死に茎を伸ばし、春の世界へ顔を出す黄水仙。頑張ろうとして頑張るやつと、仕方がなく必死に耐え抜くやつ。この両者に違いはあるのか。 広大な砂漠も、険しい山々も、果てしない海も人の好奇心は止められなかった。 僕は今、消費専門家だ。 何十冊も本を読んで貯めた知識も、もがき続け手に入れたスキルもない。「誰にも

          苫小牧に向かうフェリーにて