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2020年11月の記事一覧

「自殺=生への執着の断ち切り」と捉えてみる

「自殺=生への執着の断ち切り」と捉えてみる

昨日、三島由紀夫氏のことについて書いたのだが、
語りそびれたことを思い出したので、
ここに付言しようと思う。

昨日の記事 『三島由紀夫に見た死の美しさ』

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彼は45歳にして自決するに至ったのだが、
やはり、もし生きて執筆を続けていたら、
どんなに素晴らしい作品を完成させたか期待せずにはいられないのだが、

その期待こそ、
彼がこの世に残し

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三島由紀夫に見た死の美しさ

三島由紀夫に見た死の美しさ

本日、2020年11月25日は、
三島由紀夫さんが自決為されて50年の忌日らしい。

彼の人生を現在という安全な地点から語るなど、
おこがましいこと甚だしい上に、
到底語り尽くせるはずもなかろうが、

少しばかり、私が彼から受けた強烈な心証というのを語るのをお赦し頂きたい。

また、
先に罷免しておきたいのだが、
私自身彼の作品の一部を読んだに過ぎない。

それでも、
彼の作品には一つ一つ強烈な印

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、

日本語で文章を書いていると、

読点を何処に打つか、
先ず打つべきか打たざるべきか、

悩むことが多々ある。

英語等では、
特にこんな事態は起こらないのだが。

調べてみると、
読点の置く位置には一応のルールがあるらしいが、

やはり、
それも全日本語文を網羅するような規則ではない。

また、
人の文章を読む場合でも、
その用法には実に個性が表れるものである。

私は、
脳内で書く文を暗唱して、

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俺の心は悪鬼のように憂鬱に渇いている。

俺の心は悪鬼のように憂鬱に渇いている。俺の心に憂鬱が完成するときにばかり、俺の心はなごんでくる。
                          (『桜の樹の下には』梶井基次郎)

自我の過去の集積に没んだ感情を刳り出されたような情趣を覚えさせられる、
故に、共感せざるを得ない、
こういう文章に出会ったのは久しぶりのことだ。

やはり、こうした長い年月と経験から徐々に醸成される感情を、
僅かニ

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愛しき「不吉な塊」

愛しき「不吉な塊」

久しぶりに梶井基次郎氏の『檸檬』を読んだ。

最後にこれを読んだのは、確か、3〜4年前、大学生活を始めたばかりの頃だったと思う。

「不吉な塊」という言葉が、
当時の自分の抱えていたあらゆる心情を包含して表しているように思われて、
興奮と言おうか、悦びと言おうか、
そういう何とも言えない酸味を味わったのを覚えている。

さて、暫くの時を経て、再読するに感じたのは、
あの時自らの裡に抱えていた「不吉

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