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僕はおまえが、すきゾ!(23)

僕は優作は、彼女が家に入っても、手をふっていた。ダラリとした優作の顔が僕を不愉快な気持ちにさせていた。僕の気持ちが表情にッ出ていたのか、優作は僕の顔を見ると、すぐに真顔になった。
「んじゃ、帰るか」
優作はそう言って踵を返して、元来た道を歩いて行った。僕は優作を追い掛けた。
優作の歩幅は、古賀さんと歩いている時とは、
比べ物にならないくらい速足だった。
「速ぇーよ」、僕は優作を追い掛けて僕も速足になった。追いついて、彼の顔を見ると、優作はさっき迄、いつまでも古賀さんに手を振っていた時と同じように、顔をニヤケさせていた。
「おい!」、と僕は叫んだ。
僕は優作の肩を掴んで、優作の歩を止めた。
「何だよ」、優作はユルいだらけた表情のまま、こちらを向いた。
「お前達、付き合ってるのか?」
「はあ?」、優作は僕の質問にのらりくらりと言葉を交わしていった。
「好きなのか?付き合ってるのか?」
僕は畳みかけるように、優作に問いただした。
「どこまでいったんだ、キッスか、もしくはもう・・もう・・!」
「お前には関係無いだろ」、と優作は古賀朝子が言った言葉と同じ言葉を僕に返してきた。
「どうなんだよ!」僕は夜道で声を荒げた。
すると優作は、口元を半分あげて、こう言った。
「男の嫉妬はみっともないな」と。
そしてまた優作は歩き出した。
男の嫉妬……、嫉妬?!
「嫉妬って何だよ!」、僕は図星を突かれたように黙った。
「お前ってホント、根暗なのな」
優作の言葉一つ一つが僕の胸に突き刺さった。
何を嫉妬する必要があるんだ。優作に彼女が出来たからって、僕が動揺や嫉妬などする筈がないじゃないか。
その心とは裏腹に、僕は古賀さんを敵視していた自分を優作の言葉で、やっと認識出来た。
「僕は別に嫉妬なんか、してないぞー!」
僕と優作の関係が変わりつつあった。
 

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