検察が顧客情報の入手方法をリスト化している件

▼全国紙では目立たないが、複数の県紙やブロック紙で1面トップになった共同通信配信の記事があった。解説記事によると酒井沙知子記者と斉藤友彦記者。中国新聞の2019年1月4日付から。

顧客情報入手方法リスト化 290団体分保有〉2019年1月3日 18時38分

検察当局が、顧客情報を入手できる企業など計約290団体について、情報の種類や保有先、取得方法を記したリストを作り、内部で共有していることが3日、分かった。共同通信がリストを入手した。情報の大半は裁判所などのチェックが入らない「捜査関係事項照会」などで取得できると明記。提供された複数の情報を組み合わせれば、私生活を網羅的かつ容易に把握できるため、プライバシーが「丸裸」にされる恐れがある。

 捜査当局が顧客本人の許可を得ず、包括的に情報を取得、活用するのは違法との識者の指摘もある。刑事訴訟法が想定していない事態と言え、議論を呼びそうだ。

▼こういう動きを、個人の情報を「串刺し」にする、という表現を使っている人がいた。捜査する側からすれば、とても便利なのだろう。

たとえば東京在住の人なら、この記事を東京新聞が掲載していたから読んだ人もいるかもしれない。この文章を読んでいる人の多くが知らないニュースだと思う。

▼全国紙のスクープは、ブロック紙や県紙に載らないか、小さくしか載らない。たとえば朝日新聞のスクープは、読売にも毎日にも日経にも産経にも、載らないか、小さくしか載らない。どの新聞のスクープでも同じだ。いっぽう共同通信のスクープは、ブロック紙や県紙には載るが、全国紙には載らないか、小さくしな載らない。おおむね、こういう傾向がある。

もったいないことだと思うが、裏がとれなければ追いかけることはできない、という理屈だろう。わかりやすい例が、先日4回に分けて紹介した、共同通信の石井暁記者が放った、自衛隊の秘密情報部隊「別班」をめぐるスクープだ。

▼こうしたニュースも「〇〇紙が報道したところによると」というかたちで大きく報道すればいいのに、と思うが、なかなかそうはならない印象だ。公共性とは何か、考えさせられる。各メディアによって価値判断の基準が違う、という理屈だろうか。やはり、もったいないと思う。

(2019年1月20日)

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