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奥能登へのアクセスを邪魔してはいけない話 「北國新聞」2024年1月9日付を読む

▼〈今は命を守るための道/アクセス確保 喫緊の課題〉「北國新聞」2024年1月9日付の1面肩の見出しだ。適宜太字は引用者。

しつこく書くが、今は、自立して動ける人以外、奥能登に車で行くのは控えることをオススメする。ただでさえ、先週末は雪が降った。他人を「支援」しに行ったつもりが、自分が「遭難」するおそれすらある。1月1日からの数日は、気候が穏やかだったのが不幸中の幸いだった。

〈能登半島地震の被災者を救うために実行すべき喫緊の課題は、「奥能登へのアクセス道路」を確保することである。

 今回の震災で救援が遅れている背景には、能登半島ならではの事情がある。

 ▼日本海に突き出た細長い能登半島の最奥部で特に大きな被害が出たこと▼細長い半島ゆえに、最奥部へのアクセス道路が限られていること▼最奥部に通じる数少ないアクセス道路が大きな被害を受けたことーこの3つである。〉

それに、能登半島は大きい。珠洲市の市役所から金沢の石川県庁まで130キロも離れている。

〈そうした中、限られたアクセス道路を通って全国から緊急車両が駆けつけ、能登の親戚を助けようと一般車両が通行する。それ以外の目的で県外から訪れた人たちが、一般車両で金沢ー奥能登を往復する姿も目立つ。その結果、特に七尾市以北で道路が渋滞し、緊急車両の通行に支障が生じる場面も出ている。(中略)

 奥能登へのアクセス道路が円滑に通れないようでは人命救助や生活再建はもちろん、奥能登における「ありとあらゆる震災対応」に遅れが生じる。今、奥能登に至る道は、単なる道路ではない。能登半島に暮らす人々の命を守るための道なのだ。〉

記事の末尾には、奥能登という「過疎の最前線」に、救援の手が届かない、怒りすら滲んでいる。

▼とにもかくにも、のと里山海道が寸断されたのが痛い。大規模崩落は19か所に及ぶ。

東日本大震災の際は南北に走る東北自動車道から沿岸部に向け「くしの歯状」に復旧を進めることができたが、半島部の能登では、そもそも復旧現場に到達するためのアクセス路が限られる。大雪が降れば作業中断を余儀なくされ、気温5度以下で路面の舗装を行うのも応急処置を除けば難しい。〉(28面)

▼24面の見出しは〈「最後の別れ」どこで/他市町で受け入れも 奥能登/火葬炉8基 稼働は1基

関連記事で〈他県の寝台車活用/犠牲者の拡大に伴い、遺体を運ぶ車が必要になるため、10日に他県の寝台車を活用した搬送が始まる。石川県が全国霊柩自動車協会県支部に協力を要請した。〉

▼22面「石川北」面の連載ルポには、〈岸壁2メートル高く「漁できん」/木ノ浦 岩のりむき出し/海底隆起「島」陸続きに〉という見出しと、見出しどおりの衝撃的な写真が載っていた。

地震で海底が隆起したせいで、岸壁は2メートルほど高くなり、漁が再開できても、船に乗り込むのも難しそうだ。岩場はむき出しになり、冬の味覚として人気の岩のりが海中ではなく、岩肌にへばりついているのが見える。地震直後、見る見るうちに海水が引いていったという。「船は出せん」「漁もできん」。威勢のいい漁師らの嘆きが被害の大きさを物語る。〉(白山支社・古府拓也)

このルポを読んで思ったのだが、もし海底が隆起した場所に原発があった場合、海水を吸って原発を冷やすことそのものができなくなる。いまの日本の原発は、そういう想定をしていない。

▼29面には、小さいが、大きいニュースが載っていた。〈ドローン 孤立集落に薬/業界団体 初の試み、3キロ運ぶ

〈国内のドローン関連企業などでつくる日本UAS産業振興協議会(東京)は8日、輪島市内で、ドローンを使って孤立集落に薬を届ける取り組みを初めて行った。(中略)協議会によると、災害時にドローンを活用して物資を届ける試みは国内で初めて。

国内初の事例だそうだ。もっともっとドローンが活用できたら。心からそう思う。

(2024年1月9日)

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