見出し画像

編集者とのトラブルを未然に防ぐための作家の処世術

作家と編集者の間の関係は、一冊の本を世に出すまでの中で、最も重要な要素の一つです。

最近、新人作家と編集者との間に生じたトラブルが話題になりましたが、この出来事は、作家と編集者はどういう関係であるべきか、の命題を私たち作家に投げかけてきました。

では、作家は編集者とどのように向き合うべきでしょうか? ここでは、その答えとなる処世術を四つほど紹介したいと思います。

1. コミュニケーションを主導する

作家は編集者とのコミュニケーションを待つのではなく、意識して定期的に連絡を取るようにしましょう。さらに、疑問や懸念がある場合は、早めに声を上げることが大切です。これにより、誤解を避け、共通の理解を築くことができます。

もしも連絡しているのに全然返信が無い、等のトラブルがある場合は、代替手段を模索する必要があります。

いずれにせよ、編集者も忙しいので、ある程度は「待ち」の姿勢も必要ですが、いつまでも呑気に待っていていいわけでもありません。もしトラブルを避けたいのであれば、コンタクトが取れた際に、次のコンタクトはいつになるのか、おおよその目安を聞き出すか、決めておくようにしましょう。そうすれば、その時期が到来したら、特に気後れすることなく、こちらから連絡を取ることが出来ます。

2. 明確な目標の設定と共有

自分自身で明確な目標を設定しましょう。そして、自分のビジョンを明確にした上で、編集者に対して自分の意図をはっきりと伝えることが重要となります。

何も言わなければ、当然、編集者はこのままでいいのだと思い、特別なアクションは起こしません。自分がしてほしいこと、例えば特定のクラスタ(歴史にちなんだ作品であれば、その歴史に詳しい集団)へリーチさせるための取り組み(広告、宣伝など)をしてほしいなど、明確なビジョンがあれば伝えていくべきです。

ただし、要望が通らない可能性が高いことも頭に入れておきましょう。これは、出版社には営業部や広報部があり、そこが主体となって作品の売り出し方を決めることが多いからです。作家の要望は、通ればラッキー、くらいにとどめておきましょう。

3. フィードバックの受け入れ方

編集者からのフィードバックを受け入れ、それを作品を改善するための具体的なステップとして活用しましょう。自分の作品に対して批判的になり過ぎず、また防衛的になり過ぎないよう心がけてください。

時にはこだわりを捨てることも大事ですが、こだわりが無いのも考え物です。実際、私は担当編集から、「あなたが書きたいものはなんですか」と怒られたことがあります。出版社はクライアントではありますが、同時に、同じ立場でものづくりをする協力者でもあります。適切な距離感を図りながら、失礼にならない範囲で自分の意思も伝えつつ、編集者の意見を取り入れす姿勢が肝要です。

このあたりの距離感は経験を積まないと身につかないので難しいですが、とにかく、編集者を信頼しましょう。

どうしても信頼できない編集者に当たってしまった時は……その時はその時で、戦い方がありますので、それは、経験豊富な先輩作家に相談するとかして、なんとか解決しましょう。

4. まず相手の事情を理解する

編集者が抱えている課題等の、相手の事情にも理解を示しましょう。相手の状況を考慮し、柔軟な姿勢を保つことで、より良い協働が生まれます。

結局のところ、編集者も人間ですし、サラリーマンです。作家とのやり取りの外で、どんな問題を抱えているか、わかりません。当然、仕事であるからには、作家とのやり取りでは完璧な対応をしてもらいたいところですが、だからと言って、こちらの主張ばかりを押し通そうとする姿勢には問題があります。まず相手の状況も慮り、その上でやってほしいこと、お願いしたいこと、を伝えるようにしましょう。

時には、作家という肩書きが免罪符であるかのように、「俺はクリエイターだから少々変わっていてもいいんだ」とばかりに社会人にあるまじき振る舞いをする人もいますが、別に誰もそんな態度を許してはいません。作家だって立派な社会人です。相手の事情も理解しながら、丁寧な応対が出来るように、心掛けていきましょう。

こういった取り組みを実践することで、作家は編集者とのトラブルを防ぎつつ、自身の作品を成功へと導くことができるでしょう。

問題を予防することは、編集者とのより良い関係構築にも繋がります。何よりも、自分自身の作品に誇りを持ち、プロフェッショナルとしての成長を続けることができます。

編集者という、他人とのコミュニケーションは、時として作品づくりよりも大変なことですが、プロとしてやっていくからには、決して逃げないで、真っ向から向き合っていくことが大切です。

頑張って、やっていきましょう!


逢巳


※カクヨムでただいま連載中! よろしければぜひ読んでみてください!

※AmazonKindleでエッセイも配信中です! 読み放題にも対応! こちらもぜひよろしくお願い致します!


記事を読んでいただきありがとうございます!よければご支援よろしくお願いいたします。今、商業で活動できていないため、小説を書くための取材費、イラストレーターさんへの報酬等、資金が全然足りていない状況です。ちょっとでも結構です!ご支援いただけたら大変助かります!よろしくお願いします!