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現代アートをもっと楽しむnote

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現代アートをつくったり見たりするのがもっと楽しくなるnoteです!
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#旅

社会に希望を取り戻すアート作品をつくりたい2021年~タグボートアートフェア出展企画紹介

2020年もあっという間に終わってしまいましたね。2020年の最後に改めて、自分がアーティストになってからずっとテーマにしてきた「生命」や「医療」のことを考えました。 数少ないアート作品の展示機会を確保してくださってるギャラリータグボートさんには本当に感謝です。今は、2021年3月の展示「tagboat art fair」に向けて作品制作をしています。 展示企画は当初のものから変更して、「系統樹」という2017年からやっている作品を発表することにしました。2017年にフィ

韓国と北朝鮮のアートの関係ってどうなってるの?情報の検閲について考える

2018年の韓国・Gwangju Biennaleで、北朝鮮のアーティストさんの作品が韓国で初めて公開されました。2019年9月に韓国の現代美術館の関係者にお会いできたので、アートによる南北交流っていうのがなされているのかを聞いてみました。(ちゃんと情報精査したわけではないので、参考程度にお聞きください) Gwangju(光州)っていうのは、韓国で民主化運動が起こった都市なんですね。『タクシー運転手 約束は海を越えて』という映画で当時の様子がよく描かれています。 2018

韓国テジョン(大田)のアーティスト・イン・レジデンスレポート~助成金等の条件や設備など

2019年5-8月まで参加していた韓国テジョンでのアーティスト・イン・レジデンスのレポートです。2019年段階のおはなしなので、詳細は応募や参加の前に再度、ご確認ください。 Artist residency TEMI現在参加中の韓国のレジデンスはTEMIという名前で、韓国のまんなからへん、大田(テジョン)というところにあります。 話を聞いたら、図書館を改築してできているみたいですね。滞在費無料に加え、1,500,000ウォン(約14万円)の画材補助金が出ます。渡航費や生活

記号化した概念を無意識下で伝播させるキース・へリング

アメリカを代表するポップアーティスト、キース・へリング。調べてみたら、1990年に31歳で亡くなったんですね、すごく若いしかなり最近! 1988年にエイズと診断され、財団を設立するとともに、アートを通じてHIVやエイズ予防を訴え続けています。 今日は、ロサンゼルスのBroadという美術館とニューヨークのWhitney美術館で展示してた作品と合わせてご紹介しますよ! キースへリングはかなり描き込んだ作品なんかものこしてるんですが、わりとあちこちで見かけるのは、こんな感じの

海外のアーティスト・イン・レジデンスに参加する前に聞いたほうがいい5つのこと

こんにちは!アーティスト・イン・レジデンスマニアのOumaです。2016年にバルセロナのレジデンスに初めて参加して以来、2020年5月までの間に合計13か所、10か国のレジデンスに参加しています。 基本的に滞在費は無料であること、かかっても電気・水道代くらいのところに応募しているんですが、条件の良いところでは渡航費や月の給与が出るところもあります。 海外のレジデンスに参加するときに、地味に確認しておいたほうがいいことがあるので、今日はそれをまとめました。 1)空港への送

エストニアの村のアーティスト・イン・レジデンスMoKS~質の高い現代アートが田舎に存在できる理由について考える

エストニア南部の村Moosteのアーティスト・イン・レジデンス、MoKS。本当にスーパー田舎なので、自分の仕事にフォーカスするぞ!と思っていたんですが、けっこういいアーティストさんたちがとっかえひっかえ来るので、嬉しい誤算でして。びっくりするほど現代アートとか興味なさそうな(勝手な偏見です)田舎なのに、なんでここではうまくいってるんだろうというのを考えてみました。 田舎のレベルが日本と海外ではけっこう違う日本で「田舎」と言われてももはや田舎と感じないのですが、日本の田舎は海

エストニア南部のアーティスト・イン・レジデンスMoKS体験vol.2~秘密基地みたいな地下工房

エストニアのアーティスト・イン・レジデンス滞在記、第2弾です。 第1弾は部屋とアトリエ周辺のスペースをお届けしました。 MoKSの地下工房かなり大きなレジデンスなんですが、設備もけっこういいんですねー。地下には大きく2室。それにシャワーとサウナルーム、トイレがあります。地味に困るのが、電気の位置が分からないw 慣れたので暗いまま地下に下りられるようになりましたが、正直、最初は怖かったです。 シャワー室の壁がやや崩れたレンガなんですよ。小さい螺旋階段を下りて地下に下りてい

大きな音と存在はそれだけですごく感じるPaul McCarthy「Bang-Bang Room」

2018年に上海のRockbund Museumで見た大型インスタレーション「Bang-Bnag Room」について。 会場の中央に鎮座した作品、めちゃめちゃ大きいです。 そしてうるさい笑。 扉がどったんばったんしながら開き、そのうち扉だけでなく壁全部が展開し、また1つの小さい部屋みたいに戻って行くという作品です。 折り畳み式の部屋が展開図みたいに開き、閉じる、っていうだけの作品なんですが、扉がばったんばったん言いながら閉まったり開いたりするので、とにかくうるさい。(

ウーゴ・ロンディノーネ「孤独のボキャブラリー」レイヤーによって変わるコミュニケーション

スイス生まれのアーティスト、ウーゴ・ロンディノーネ。2019年のあいちトリエンナーレでもメイン作品として発表されていた作家さんです。 かわいい! ↑ こちらの写真はあいちでの展示風景なんですが、2018年にデンマークのアルケン近代美術館で展示されていた時は、ライトアップされていてこんな感じになってました。↓ 華やかな服装のピエロさんたちとも合ってて、このライトの演出は私はけっこう好きです。それにしても、展示っていうのはつくづく、「作品単体」だけでなく、①どこに設置するか

TONY MATELLI作Sleepwalker(夢遊病者)が教えてくれる安全と危険の間で揺らぐ心について

ニューヨークにハイラインと呼ばれる、三階くらいの高さのところを通る遊歩道があります。↓ こんな感じのところですね。 そこで見かけたのがTONY MATELLIのSleepwalker。日本語だと「夢遊病者」というような意味になります。 すごく詳しい記事があったのですが、こちらの彫像、差別的だということで何度か強い批判・撤去の対象になっているようなのです。 私は割と好きな作品なので、批判をする前にもう少し丁寧にこの作品が伝えてくれる世界を紐解きたいなと思います。 この作

韓国釜山で出会った、お互いがもっている「音を交換する」アート作品

2019年秋に、釜山現代美術館で展覧会のオープニングを見に行ってきました!今日はその中でも興味をもったGentil, Gentle: The Advent of a New Communityという展示から音を使った作品をご紹介です。 人への興味を喚起させてくれる作品サイトに作品詳細が載ってるかと思って油断していたのですが、すみません。誰のなんて作品だか分からない・・・!展示自体の名前は「Gentil, Gentle: The Advent of a New Communi

生命を情報で表す「ヴィデオ・アート」の先駆者ナム・ジュン・パイク

1932年に韓国で生まれたナム・ジュン・パイク。とても好きなアーティストの1人ですが、今見ても作品がぜんぜん古びてないんですよね。 韓国の大田市美術館と上海のHOW MUSEUMで見たパイク作品を見ながら、パイク作品について考えてみました。 テクノロジーを使うものって30年くらい経つと古くなった感じがすることが多い気がします。 たとえば、昔のSF映画とか見ると、デザインとか画質とかが「昔だなぁ」って感じがするじゃないですか、あんな感じです。 パイク作品はそれを感じさせ

エストニア南の村、Moosteでのアーティスト・イン・レジデンス体験レポート vol.1

2019年初めて降り立ったエストニアでの滞在は首都タリンではなくMooste。この町でのアート滞在制作について、ご紹介します! 最高だけど行くまでが大変2019年3月現在、滞在しているのはエストニア南部の村、MoosteにあるMoKS residency。2017年にフィンランドのレジデンスで会ったポーランド人の詩人さんが教えてくれました。彼女が当時言っていたのは「最高だけど、行くのが大変」。実際に参加したことがある人の言うことはまさにその通りで。 タリン(Tallin)

上海SWATCHで開催されたセラピーをテーマにした展覧会「LIGHT UP Therapy Resort」

2017年の年末から上海のSWATCHアートピースホテルというアーティスト・イン・レジデンスに参加していたのですが、その時にホテル内で行われていた展覧会「LIGHT UP Therapy Resort」をご紹介です。 治療とは何かなんとかサークルっぽいミニピラミッドの中に入れる作品と蚊もあるんですが、、 今、見たら、SWATCHのページでこの作品に入ってる人の背中の写真があって、それ私でしたね。(どうでもいい) キュレーションしたのは以前、SWATCHに滞在したキュレー